「どこへ逃げようと逃がしはしない」
「必ず見つけ出して消す」
「魔物は全て討ち滅ぼす それがオレ達の仕事だ」
「さぁ オレは何者なんだろうな どう説明しようか…」
「とりあえずオレは『ワイグ』と呼べ」
「それがオレという『カード』の名前だ!!!」
「……ギル 時間は?」
「おお いい時間だな?」
「最高の45秒にしようぜ」
概要
金色のガッシュ!!2にて初登場した謎の勢力の1人にして、ギルと合わせて今作における初戦の相手となる存在。
前作における実力者であり、かつファンからの人気も高いテッド・チェリッシュ・レインの3人を纏めて殺害した回想という衝撃的な登場を果たし、物語序盤における「絶望」を読者に突き付けたキャラクターでもある。
人物像
容姿
作中では「人間のような姿」と「怪物じみた姿」を非戦闘時・戦闘時に応じて使い分けており、おそらくレインやアシュロンと同じく、術に頼らずとも肉体を変化させられるのだと思われる。
- 人間態(仮称)
無造作にかき上げた黒髪・こけた頬・口角から耳元まで伸びる不気味な模様が特徴的な長身の男性。
見方によっては「口裂け女」を想起させるようなビジュアルだが、おそらく口そのものが耳まで裂けているのではなく、あくまで模様が伸びているだけだと思われる。
服装に関しては、上下ともに黒を基調としたスーツのような服を着用。
単行本2巻時点では怪物態しかカラーで描かれていないため、黒塗りされていない箇所の色合い等は不明。
また、腹部の辺りはまるで内臓が透けて見えているかのような模様が描かれており、上記の顔立ちと共に異質さを強調する要素となっている。
- 怪物態(仮称)
戦闘時にはシルエットそのものが全く異なるレベルの大幅な変化が起き、全身の筋肉が数倍~十数倍以上に膨れ上がり、背中から新たな3本の腕が生えた巨体へと変貌する。
前作に登場していた魔物の子達と比べても巨大な方で、単純な体格であれば強者であるレインに匹敵するほど。
腕はそれぞれ「剣先のような刃物」「トゲ付き鉄球」「棍棒のような殴打武器」を手にしており、更に「ワイグメイス」という切り札のような武器を隠し持っている(前述の「棍棒のような殴打武器」を一回り大きくし、無数の棘が付いたメイス)。
ワイグメイスについては、ワイグ自身が「レインやテッドを殺害する上で一番役に立った」と語るほどだが、ガッシュ戦では特筆して強力な武器としては描かれなかったので、正確な性能は不明。
また、頭部も剥き出しになった脳をトゲ付きのベルトで固定し、鉄仮面の奥からはギョロリとした1つ目が覗く等、より禍々しさを強調したようなビジュアルに変化している。
人間態で着ているスーツも一時的に消滅し、隆々とした筋肉を強調するかのようなベルトを全身に装着する(人間態へ戻る際、スーツも自動的に再着用されているので、おそらく「破り捨てている」のではなく「身体と同化して変形している」のだと思われる)。
性格
その不気味な容姿に違わず、作中では残忍な言動が目立つ。
「魔物は全て討ち滅ぼす」という使命を躊躇なく実行しており、まだ幼いゼリィどころか赤子であるオルモがいるにもかかわらず、一切の情を見せることなく執拗に追いかけ、何としてでも抹殺しようとするほど。
一方、いざ人間界での調査を始める際には(口ではボヤきながらも)「人間界の生物にはあまり手を出さない」指示(※)を守っているので、どちらかといえば「見境なく殺害を好む性格をしている」というより「与えられた任務には私情を挟まず、忠実に実行する性分」なのかもしれない。
(※)このような旨の指示があったことに関しては、第9話における你好の台詞で示唆されている。
他にも、
- 人売りの組織に騙され、重傷を負ってもなお逃げずに戦う意志を見せたゼリィを「いい度胸だ! 骨のあるやつは大好きだ!」と(皮肉交じりとはいえ)賞賛する。
- テッドとレインに対しても、「術無しでもオレの体に傷を付けるほどだった」と(見方によっては)素の実力を評価しているような発言をしている。
- ガッシュ戦にて自身の敗北を悟った瞬間には、「最高の45秒だったぜお前達」と、ガッシュと清麿の実力を認めたも同然な想いを述べている。
等の点から、本人なりに強者へ敬意を払う面を持っているようでもある(もちろん残虐な言動が大半のため、決して「高潔な武人」とまでは言えないが)。
また、第3話ではバスに乗ったギルに置いてけぼりにされたり、単行本2巻に収録されたガッシュカフェではヨガ教室に通っていたことが明かされ、実際に「コブラのポーズ」をやって見せたりと、ギャグ担当(?)としての一面も描かれている。
実力
「魔物狩り」の先兵として遣わされ、術を奪われた多くの魔物の抹殺を任されているだけあり、前作に登場した魔物達と比べても充分に実力者と言える強さを持つ。
ゼリィの発言から、少なくとも孤児院の魔物達を皆殺しにしたことも判明している(さすがに最初からワイグ1人ではなく、レビーといった他の先兵も同時に活動しているはずなので、「魔界にいるほぼ全ての魔物をワイグ1人で殺害した」とまでは解釈できないので注意)。
とはいえ、
- 確かに「テッド、チェリッシュ、レインの3人を纏めて殺害する」という表面上の戦果は大きいものの、当のテッド達は「いきなり未知の勢力から術を全て奪われ、使用不可になる」「孤児院の子ども達を守りながら戦わなければならない」という大き過ぎるハンデを負わされていた。
- テッド達と同じく、ワイグが大量の魔物を殺戮したのは「術を奪う」という多大なアドバンテージを得た上であり、現にガッシュ戦ではザケル・ラシルド・ザケルガしか使用できないガッシュに対して後述の「合力」後もやや劣勢であった。
- 2話で清麿に翻弄された際には頭に血が昇ってしまい、「ゼリィ達を殺す」という本来の任務より感情を優先して暴れ回ってしまった。
- また、5話でも「ラシルドは奴らの拳ごと跳ね返してくれた」と、「瓶にはザケルガだけでなくラシルドも含まれている」という情報をさりげなく漏らしてしまう(清麿との初対面時にはザケルガしか使用しておらず、清麿がゼリィ達から「ラシルドを使われた」と教えられている描写も無いため、ワイグ自ら情報を漏らした形と読み取れる)。
等、作中におけるハンデや頭脳面を含めて総合的に判断した場合、実力としては中堅クラスと見なすのが妥当だろうか。
ただ、少なくとも肉体強度に関しては並の魔物を軽く超えていることは確かだろう。
作中でも、現在のガッシュが使うザケルやザケルガ、つまりギガノ級相当の術を何発くらっても戦闘を継続できるほどの頑強さを披露している。
原作のファウード編終盤にて、「ゴデュファの契約」で肉体が強化されたジェデュンですらザケルとザケルガを1発ずつ受けただけで相当のダメージを負っているため、描写を比較すればワイグの肉体が如何に頑強なのかは明らかである。
また、素の腕力や所持している武器も強力であり、特に拳や鉄球は現在のガッシュの腕をも一撃で痺れさせるほど。
クリア編終盤時点でのガッシュは、修行後ブラゴとも素手で打ち合えている描写があるので、逆説的にワイグの殴打は相応の威力があると読み取れる。
総じて、まさしく「見た目通りのパワー重視・脳筋」なキャラクターであり、「フィジカルという揺るぎないシンプルな強さを持っている」点では理想的な序盤の壁、最初の強敵として相応しい存在感を放っていると評価できるだろう。
術
前述のように、基本的には屈強な肉体を活かして戦い、その上で奪った魔物の術も使用する。
作中で使用したのは、「スーツケースに収納している瓶を介して直接的に発動した術」と「瓶の力を取り込み、ギルと連携して使用した術」に二分される。
スーツケースに収納していた瓶に関しては、読者から見て左から順に「植物」「炎」「雷」「氷」の記号(紋章)となっていた。
この内「雷」に関してはガッシュの力だと確定したが、他の3つに関しては詳細不明。
候補として考えられる魔物としては、
- 植物:スギナorポッケリオ、もしくは千年前の魔物のカルーラ。
- 炎:ファンゴでほぼ確定……と思われていたのだが、後に魔女が「ガデュウガ」(=ファンゴの術)を発動する際に使用した瓶とは微妙に紋章が異なるため、現状では該当者不明となっている。
- 原作本編においては「火」や「炎」そのものを専門とする魔物はファンゴ以外に存在していないが、アニメオリジナル魔物も含めるなら、明確に「火」を扱うグリサが最有力候補となる。
- 一部の読者からはバーゴも候補に挙げられるが、バーゴは公式ファンブック「金色のガッシュ!!まるかじりブック」にて「炎」ではなく「息」属性と回答されているので、ほぼ間違いなく候補外。
- また、そもそもとして魔物狩りは「王を決める戦いに参加していた魔物達限定」ではなく「魔界に住む全ての魔物」から術を奪っているため、この瓶に関しても「たまたま炎属性を持っていた名も無き一般魔物」から術を奪った結果という可能性も充分に考えられる。
- 氷:レイコムorフリガロ。
等が挙げられるだろうか。
瓶を介して発動した術
ラシルド
第1話冒頭にて、ジギーの放った「ガンズ・コファル」を反射すべく使用。術の詳細はガッシュの記事を参照。
ガッシュ自身ではなく、あくまで「瓶」という小分けした借り物の力として発動されているためか、強化前(=雷の紋章が1つだけ)の盾が出現する。
ザケルガ
第2話の清麿戦、及び第5話のガッシュ戦にて使用。こちらも詳細はガッシュの記事を参照。
第5話ではガッシュのザケルで相殺されているため、ラシルド同様に強化前の威力に留まっていると思われる。
「合力」後に使用した術
厳密に言えば術を詠唱しているのはギルなのだが、術の効果を発揮して実際に戦っているのはワイグのため、ワイグの術として記載する(合力に関しては「金色のガッシュ!!2」の記事を参照)。
ワイグ&ギルの場合は「炎」の瓶を使用したため、「合力」後の術は全て炎に関連したものとなっている。
ガン・ロゥ
「その力を多数の弾と化し撃ち出さん」
ワイグが両手を突き出し、出現させた複数の炎弾を乱射する。
魔物の術で例えるなら、ガンズ系/バル系に該当すると思われる。
ウォーロゥ
「マントで熱をよけながらさけるか?」
「では視界をさえぎってからの攻撃を!!」
ワイグが両手を突き出し、前方の地面からまさしく「壁」のように大きな炎を噴出させる。
ギルの詠唱は具体的な文字で表現されていないので不明。
炎の力が付与されたワイグは、炎の壁越しに相手の姿を視認することもできるという長所もある。
まさしく「炎の壁」という点からも、原作227話でファンゴが使用した「ウォル・ガデュン」と効果が似ているようにも見える。
ルカ・ヴォール
ワイグの全身から炎が噴き出し、至近距離の全方位を攻撃。ワイグの認識できない死角への迎撃にも使用可能。
この術はギルが詠唱を省略して発動したので、詠唱部分は不明。
「至近距離の全方位に瞬間的な攻撃を起こす」という特徴からも、前作にてエシュロス・ダルモス・クリアが使用した「~バオ/バ~」系に近い挙動だと思われる。
ガズリング・ジョルト
「おおおぅ!! 強え奴たのむぜぇ!!!」
腕に炎を纏い、相手を乱打する。
術の正確な効果が公式情報として判明していないため、「腕が増えたかのように見える連続パンチを浴びせている」のか「数本の腕が同時に炎を纏っている」のかは解釈が別れる。
魔物の術で似通ったものを挙げるとすれば、ウォンレイの「ガンズ・バウレン」のような「ガンズ系+肉体強化」だろうか。
おそらく手数を重視しているようで、一撃の威力はさほど高くないのか、ガッシュのマントで容易く防がれた(とはいえ、クリア編修行後のマントであれば鎧形態クリアのテオラディスを無傷で防ぐほどの強度なので、並の攻撃で破れるはずもないのだが)。
ガウ・ギ・オーヴァ
既に炎を纏っている拳から、更に加速させるような炎が噴き上がり、勢いよく相手を殴り付ける。
上記のガズリング・ジョルトが「手数重視」とすれば、こちらは「威力重視」のイメージだろうか。
魔物の術で似通ったものを挙げるとすれば、デモルトの「ディオエムル・ゼモルク」のような「中級強化+炎属性付与+肉体強化」が近しいであろう。
作中でもラシルドに触れた際、多少なり電撃が跳ね返っているものの、最終的には殴り抜いて破壊しているため、おそらくギガノ級超え~ディオ級相当の威力だと思われる。
ボ・ルダー・オルグ・ワイグ
「依り代の命と共に全ての力を解き放たん」
ワイグとギルが最後の攻撃として繰り出した術。魔物にとっての「最大呪文」に相当するであろう呪文。
ワイグの全身が猛烈な炎に包まれ、右肩を幾つかの炎弾、左腕を剣のような長尺の武器、胴体を棘の生えたアーマーのような物で武装する。
作中では「右肩の炎弾を発射する」「腹部から巨大なトゲ付き鉄球のような物を発射する」等、飛び道具も使用可能な肉体強化として描写されている。
そのような「炎属性が付与され、かつ応用性に富んだ肉体強化」という面で考えれば、ウマゴンの「ディオエムル・シュドルク」に近い(全身に炎を纏うという点だけであれば、アニメオリジナル魔物のグリサが使用した「ギガノ・ファイドルク」も近しい)。
そのような応用性を存分に活かし、「遠距離攻撃によってラシルドを使用させ、ラシルドが砕けた瞬間に巨体を活かして炎で包囲する」という捨て身の戦法により、ガッシュと清麿をあと一歩で倒せるところまで追い込んだ。
関連タグ
ギル……同僚(?)。
レビー・ジンク/你好剛毛・鼻毛ブー……今のところ本編での絡みは無いが、単行本2巻に収録された「ガッシュカフェ」にて共演。
ガッシュ・ベル/高嶺清麿……作中において唯一の本格戦闘したペア。
レイコム……原作版における初戦の相手。
ハイド……アニメ版における初戦の相手。