おれがあいつであいつがおれで
おれがあいつであいつがおれで
概要
山中恒による児童文学小説で、雑誌「小6時代」に1979~1980年に全12回で連載された。
そのためかメインとなる登場キャラクターに小学6年生の少年少女を据えている。
いわゆる男女入れ替わりものの先駆けとなり今なお時代を越えて愛されている児童書といえる。
内容は突然互いの心と体が入れ替わった少年と少女が、異性という未知の体に戸惑いつつ少しずつ惹かれ合い成長するという、意外にも一本筋の青春ラブコメである。
そして思春期の少年少女が主役というだけあって、乳房や性器など異性の体への興味・嫌悪感、生理などの第二次性徴へ向き合う場面など、児童書にしてはちょっぴりエッチな描写が多いのも特徴的。
何度か映画化・漫画化されており、特に大林宣彦監督による映画版は「転校生」のタイトルで有名。
基本的に原作を忠実に映像化しているが、登場人物が小学6年生から中学3年生に変更されている。
あらすじ
小学6年生の斉藤一夫のクラスに、ある日美少女の転校生がやって来る。
彼女は長らく離れ離れになっていた、一夫の幼馴染の斉藤一美だった。
再会早々ふとしたはずみで大喧嘩になった二人は、帰り道に神社の傍らの石段を転げ落ちてしまう。
目を覚ました時、二人はなんと心と体が入れ替わってしまっていた!
ひとまずお互いになりきって生活を続けることにした二人だが、当然ながら異性の体やそれに応じた生活にすぐに馴染めるはずもなく大混乱。
突然口調が乱暴になりガサツになった一美や、泣き虫で女々しくなった一夫に周囲も不審の目を向け始める。
互いに助け合いながらさまざまな危機を乗り越える中で、二人の間には次第に強い絆が生まれ始めていた。
登場人物
※演:1982年の映画版におけるキャスト。
- 斉藤一夫
演:尾美としのり
読みは「さいとう かずお」。本作の主人公。
一般的な小学6年男児らしく、やんちゃでガサツ、少々口が悪いが、根はまっすぐでお人好しな性格。
一美と入れ替わったことで女子の体や「女の子らしい」口調や振る舞い、男子との付き合い方等に四苦八苦する。
- 斉藤一美
演:小林聡美
読みは「さいとう かずみ」。本作のヒロイン。一夫とは一字違いなことをからかわれる。
親の仕事の都合で小学6年生になるまで他県で暮らしていた。
明るくお喋りでかなりのお節介だが、一夫と入れ替わったことで「男の子らしい」生活への戸惑いを覚えることに。
- 一夫の母親
演:樹木希林
息子と一美が入れ替わったことを信じず、また息子の様子がおかしくなったのは一美のせいだと感じている。
- 一美の母親
演:入江若葉
こちらも入れ替わりを信じず、娘が男勝りになったり成績が落ちたりした理由は一夫のせいだと感じており良く思っていない。
- 一美の兄たち
長兄と次兄。一美の様子がおかしいことは気づいているようだが、母親ほど神経質には扱っていない。
- 一美の祖母
演:高橋ます乃
故人。一美が幼い頃に縁側で座ったまま亡くなっていた。
この時口の中にハエが出入りしているのを見つけた一夫が勢いよく口に殺虫剤をぶっかけたため、一夫は自分が殺したものだと思い込んでいた。
- 大野光子
演:志穂美悦子
一夫たちのクラス担任。快活でさばさばした性格で、よく一夫と一美の喧嘩の仲裁をする。
- 校長
演:加藤春哉
一夫たちの通う小学校の校長。一美(中身は一夫)と階段で衝突したことで怪我を負い揃って入院する羽目に。
なかなかの恐妻家のようで、「アイ子」という不倫相手(?)の発覚をひどく恐れている。
- 山本ヒロシ
演:山中康仁
一美が前の学校で憧れていた男子。勉強・スポーツともに優秀なイケメンとのことだが…。
- 吉野アケミ
演:林優枝
一美の前の学校での友達。男勝りで活発な少女。ヒロシとも仲が良いが恋愛感情は持っていない。
一夫と一美が入れ替わっていることを唯一信じた人物。