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概要編集

山中恒による児童文学小説で、旺文社の雑誌「小6時代」に1979~1980年に全12回で連載された。

そのためかメインとなる登場キャラクターに小学6年生の少年少女を据えている。


いわゆる男女入れ替わりものの先駆けとなり今なお時代を越えて愛されている児童書といえる。

内容は突然互いの心と体が入れ替わった少年と少女が、異性という未知の体に戸惑いつつ少しずつ惹かれ合い成長するという、意外にも一本筋の青春ラブコメである。

そして思春期の少年少女が主役というだけあって、乳房性器など異性の体への興味・嫌悪感、生理などの第二次性徴へ向き合う場面など、児童書にしてはちょっぴりエッチな描写が多いのも特徴的。


何度か映画化・漫画化されており、特に大林宣彦監督による映画版は転校生のタイトルで有名。

基本的に原作を忠実に映像化しているが、登場人物が小学6年生から中学3年生に変更されている。

実は大林監督は当初原作通り小学6年生を主人公にする予定で、実際にサンリオ協力のもと小学生を集めてオーディションも行ったものの「性を意識した年代の役者が演技しないと映像表現が難しい」と中学生に設定を変更したとされている。

ただこのために当初スポンサーに名乗りを上げていたサンリオが降板するなど製作費の調達が難航、クランクアップが危ぶまれる事態になったが、大森一樹がATG代表の佐々木史朗に救済を頼み、尾道市からのバックアップを受けて撮影にこぎつけた。

ただしATGから資金が届いたのは撮影終了後のことで、セットが組めなかったため主人公の家は外観・内部共にすべて実際の民家で撮影し、地元の建築事務所の協力を得て家具を調達したという。

その後佐々木が日本テレビに話を持ち込んだことで、製作に日本テレビが名を連ねることになった。


2007年には舞台を長野県長野市にリメイクした『転校生-さよなら あなた-』が制作された。こちらも大林宜彦監督作品。

舞台が変更された理由は当時『男たちの大和/YAMATO』を巡る発言で大林と尾道市が疎遠になっていた中、長野市から熱烈なオファーを受けたことと、大林恭子が長野に旅行に行ったときにお寺の堀に落ちそうになったことで「入れ替わりに使える」とひらめいたことがきっかけとされている。

ただし同作でも最終的には大林の強い思いで尾道ロケが実現し、4カットのみだが尾道市が舞台となったシーンがある。

そのほか一美の体が原因不明の不治の病にかかり、余命2~3ヵ月を宣告されるというオリジナル要素がある。

同作の制作後は1982年版を『尾道転校生』、2007年版を『長野転校生』と区別されることもある。


あらすじ編集

小学6年生の斉藤一夫のクラスに、ある日美少女転校生がやって来る。

彼女は長らく離れ離れになっていた、一夫の幼馴染斉藤一美だった。


再会早々ふとしたはずみで大喧嘩になった二人は、帰り道に神社の傍らの石段を転げ落ちてしまう。

目を覚ました時、二人はなんと心と体が入れ替わってしまっていた!


ひとまずお互いになりきって生活を続けることにした二人だが、当然ながら異性の体やそれに応じた生活にすぐに馴染めるはずもなく大混乱。

突然口調が乱暴になりガサツになった一美や、泣き虫で女々しくなった一夫に周囲も不審の目を向け始める。

互いに助け合いながらさまざまな危機を乗り越える中で、二人の間には次第に強い絆が生まれ始めていた。


登場人物編集

※演:映画『転校生』(82年版)、『転校生-さよなら あなた-』(07年版)におけるキャスト。

中学生版「おれがあいつであいつがおれで」


  • 斉藤一夫

演:尾美としのり(82年版)、森田直幸(07年版)

読みは「さいとう かずお」。本作の主人公

一般的な小学6年男児らしく、やんちゃでガサツ、少々口が悪いが、根はまっすぐでお人好しな性格。

一美と入れ替わったことで女子の体や「女の子らしい」口調や振る舞い、男子との付き合い方等に四苦八苦する。


  • 斉藤一美

演:小林聡美(82年版)、蓮佛美沙子(07年版)

読みは「さいとう かずみ」。本作のヒロイン。一夫とは一字違いなことをからかわれる。

親の仕事の都合で小学6年生になるまで他県で暮らしていた。

明るくお喋りでかなりのお節介だが、一夫と入れ替わったことで「男の子らしい」生活への戸惑いを覚えることに。


  • 一夫の母親

演:樹木希林(82年版)、清水美沙(07年版)

息子と一美が入れ替わったことを信じず、また息子の様子がおかしくなったのは一美のせいだと感じている。


  • 一美の母親

演:入江若葉(82年版)、古手川祐子(07年版)

こちらも入れ替わりを信じず、娘が男勝りになったり成績が落ちたりした理由は一夫のせいだと感じており良く思っていない。


  • 一美の兄たち

演:中川勝彦井上浩一(82年版)、窪塚俊介(07年版)

長兄と次兄。一美の様子がおかしいことは気づいているようだが、母親ほど神経質には扱っていない。


  • 一美の祖母

演:高橋ます乃(82年版)、入江若葉(07年版)

故人。一美が幼い頃に縁側で座ったまま亡くなっていた。

この時口の中にハエが出入りしているのを見つけた一夫が勢いよく口に殺虫剤をぶっかけたため、一夫は自分が殺したものだと思い込んでいた。


  • 大野光子

演:志穂美悦子(82年版)、石田ひかり(07年版)

一夫たちのクラス担任。快活でさばさばした性格で、よく一夫と一美の喧嘩の仲裁をする。


  • 校長

演:加藤春哉(82年版)

一夫たちの通う小学校の校長。一美(中身は一夫)と階段で衝突したことで怪我を負い揃って入院する羽目に。

なかなかの恐妻家のようで、「アイ子」という不倫相手(?)の発覚をひどく恐れている。


  • 山本ヒロシ

演:山中康仁(82年版)、厚木拓郎(07年版)

一美が前の学校で憧れていた男子。勉強・スポーツともに優秀なイケメンとのことだが…。


  • 吉野アケミ

演:林優枝(82年版)、寺島咲(07年版)

一美の前の学校での友達。男勝りで活発な少女。ヒロシとも仲が良いが恋愛感情は持っていない。

一夫と一美が入れ替わっていることを唯一信じた人物。


派生作品編集

『おれがあいつであいつがおれで』を原作とするドラマ・漫画作品は『転校生』以外にも複数存在する。

  • 漫画『なんとかしなくちゃ!』

講談社なかよし」で1981年1月号から6月号まで連載。漫画はいでまゆみ

  • 月曜ドラマランド『転校生! おれがあいつであいつがおれで』

1985年8月19日に第1作、1986年4月21日に第2作がフジテレビ系列で放送。主演は石野陽子松野達也

  • ボクたちのドラマシリーズ『放課後』

「ボクたちのドラマシリーズ」第1作として1992年10月15日から11月12日までフジテレビ系列で全5話が放送。

主演は観月ありさいしだ壱成。主人公たちの年齢は高校2年生に変更されている。

  • ドラマ愛の詩『どっちがどっち!』

ズッコケ三人組』でおなじみNHKの子供向けテレビドラマ枠「ドラマ愛の詩」で2002年10月5日から12月28日まで全12話が放送。主演は飯田美心渋谷謙人

原作通り主人公たちの年齢は小学6年生だが、登場人物の名前は全て異なっており、原作と同名で登場するのは吉野アケミのみ。

NHK名古屋が制作したため舞台は愛知県瀬戸市

  • モーニング娘。サスペンスドラマスペシャル『おれがあいつであいつがおれで』

TBS系列で2002年12月28日に放送。主演は吉澤ひとみ勝地涼

  • 漫画『転校生 さよならあなた』

2007年の同名映画のコミカライズ。著者は三国桃子


関連タグ編集

山中恒 転校生 児童文学

ラブコメ 入れ替わり 男女入れ替わり  思春期


転校生 オレのあそこがあいつのアレで

神社の傍らの石段を転げ落ちて二人は入れ替わって、までは同じだが入れ替わったのは性器のみだったと言うパロディ作品。ちなみに高校生。

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