« Le plus important est invisible »
大切なものは、目に見えない
概要
砂漠に不時着した飛行士の「ぼく」と、そこへ突然現れた他の星から来た王子さまとの交流、及び王子さまが地球に来るまでの星巡り話を綴った作品。
子供向けの体裁をとってはいるが様々な寓意がふんだんに込められており、内容を読み解くには大人でも少々キツい難解な作品である(特に、かつて持っていたはずの童心をすっかり忘れ去ってしまったおとな達にとっては)。
- 原題は「Le Petit Prince(小さな王子)」。厳密には、この「prince」は「王子」というよりはむしろ「大公」のニュアンスで捉えた方が正確であるという学説もある。「星の王子さま」と原題を改めているのは、実は日本語版だけである。
- 作者の飛行中の失踪により、これが生涯最後の著作となってしまう。
- サン=テグジュペリ自らが描いた可愛らしい挿絵は勿論、読者に深く考えさせる内容は、発刊から60年以上経った現代でも幅広い層から支持を受けている。
- 日本では、1953年に初めて邦訳版が岩波書店から発行され、若い女性を中心に大きな人気を集めた。訳者は仏文学者の内藤濯(ないとうあろう、1883年 - 1977年)。2005年に同社の翻訳独占権が消失して以降は、様々な出版社から多くの邦訳版が発表されているが、岩波書店は「星の王子さま」という書名は内藤氏の創案であり、新訳版にはその旨を明記するか別の邦題をつけるなどしてほしい、としている。
- たとえ名作であっても、只では終わらないのがpixivユーザーである。
大衆文化において
映像化
「星の王子さま」はこれまでに様々な形で映像化されてきたが、中でも最古のものは「市民ケーン」で知られるオーソン・ウェルズによる未完の企画である。
ウェルズは本作がアメリカで刊行された1943年当時徹夜で読み終え、その翌日に映画化の権利を購入した。参照
そして自らが監督、脚本、主演を務めるアニメーションと実写映像の合成映画にするべく、ディズニー・スタジオへと赴いた。しかし、思想などの違いからウェルズとウォルト・ディズニーの関係はお世辞にも良好とは言えなかった。結局ミーティング中に起きたハプニングがウォルトの逆鱗に触れたためにスタジオの協力を得られず、ウェルズの書いた草稿を残して企画はお流れとなってしまった。参照
もしも映画化に漕ぎ着けていれば、これが最初の「星の王子さま」の映像化作品にして、サン=テグジュペリ存命中の最後の原作映画になる筈だった。
また「チャージマン研!」でおなじみのナックが「星の王子さまプチ・プランス」のタイトルでアニメ化している。もちろんあの絵柄だが、真面目に作られており日本でも好評だっただけでなく、アメリカに輸出される等海外でも評判だった。
そしてなんと漫☆画太郎氏により、まさかの漫画化。少年ジャンプ+にて連載中。どんな作品になっているかは、お察しください。
朗読
朗読においても定番の題材のひとつとして多数読まれており、2020年4月には梶裕貴・竹達彩奈夫妻による朗読が前編と後編に渡ってYouTubeに公開された。
その他
手塚治虫による漫画「火の鳥」の「望郷編」にて、メインキャラのアストロノーツ牧村が子どもの頃好きだった本として登場する。クライマックスでは、牧村が涙ぐみながら本作の朗読をするという形で作中の文章が引用されている。
アニメ映画「天空の城ラピュタ」の主題歌「君をのせて」は、本作に強い影響を受けていることで有名である。監督の宮崎駿は、長年サン=テグジュペリの大ファンであることを公言している。参照
1988年に公開されたエディ・マーフィー主演のコメディ映画「星の王子ニューヨークへ行く」という作品があるが、このタイトルはあくまで日本オリジナルの邦題であり(原題は「Coming to America」)、本作とは特に関係ない。
「あはれ!名作くん」でも星の王女さまなるパロディキャラクターが登場する。原作に沿った要素も多いが、同作の滅茶苦茶な作風故に、大分癖の強い人物として描かれている。
「君の膵臓をたべたい」ではヒロイン山内桜良の愛読書として本作が登場。またアニメ版は本作へのオマージュ色が強くなっている。
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児童文学(体裁上のカテゴリー)サン=テグジュペリ フランス 薔薇 王子
この作品をモチーフにしたVOCALOID楽曲