概要
CV:松田健一郎(テレビアニメ版)
『逆転裁判3』第4話『始まりの逆転』に登場。
本編から6年前、綾里千尋と御剣怜侍が初めて担当した裁判の被告人で、脱走した死刑囚の男性。年齢25歳。身長190cm。
大柄で体格が良く、額と鼻、顎には顔を横断する程、大きな縫い目の様な傷がある。
口調は片言気味で、言葉に詰まったりすると、いきなり叫んでしまう癖がある。嘘をついた事を指摘されると、涙ぐんですぐに謝る辺り、見た目に反して気が小さい性格らしい。
死刑囚の為、囚人服を着ている他、手には鎖で足首と繋がれた鉄球を持っている。
20歳の時、家庭教師として勉強を教えていた14歳の少女を誘拐して吾童山に立てこもり、山中にある「おぼろ橋」の上で婦人警官の美柳勇希に追い詰められた末に、人質の少女を橋の上から突き落として殺害した容疑で逮捕された。裁判では勇希の証言が決め手となり、判決は有罪。尾並田は死刑を宣告された。
それから5年が経った今回、護送中の事故に乗じて脱走した尾並田は、5年前の事件現場である吾童山に、勇希を呼び出して殺害した容疑で再逮捕された。
勇希の遺体は、尾並田が移動に使った盗難車のトランクから発見されている。
名前の由来は「涙が美しく散る」から。囚人番号の「073D」は“おなみだ”に因んだもの。
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ネタバレ
勇希を殺害した真犯人は、尾並田ではなく、勇希の義妹にして、5年前の事件の被害者・美柳ちなみである。
あの誘拐事件も、尾並田と勇希、そしてちなみの3人が共謀して起こした自作自演の狂言事件であった。
ちなみの魅力に心奪われ、彼女の言いなり同然だった当時の尾並田は、例の誘拐事件で犯人役となり、人質役のちなみと共に吾童山で勇希を待った。やがて勇希が合流するのだが、ここで尾並田は美柳姉妹に裏切られる。勇希には拳銃で撃たれた上に手錠をかけられ、ちなみはその間に身代金替わりの宝石が入ったリュックサックを持って橋から飛び降り、12メートル下の急流に姿を消した。その後の裁判で尾並田は勇希の証言によって全ての責任を押し付けられ、死刑においやられた。
それから5年が経ち、刑が執行される前に勇希から裏切りの真意を聞いておきたかった尾並田は、事故に乗じて脱走し、勇希を吾童山に呼び出した。そして、おぼろ橋で5年ぶりに勇希と再会した尾並田は彼女から「誰かに責任をとらせたかった。あの時はそれしか考えられなかった」という一応は納得のいく答えをもらい、下山するのだが、この時彼の前に現れたのは勇希を殺害して彼女になりすましたちなみであった。
裁判では検察側の証人として登場した無久井里子の正体が5年前に死んだはずのちなみであることが判明し、千尋はちなみの嘘を暴いて真相に迫っていくのだが、ちなみの犯行を立証できるだけの証拠が無かったため、弁護側は最後の手段として尾並田の証言を求める。
尾並田の証言と証拠品の矛盾から、遂にちなみを追い詰められると千尋が確信した次の瞬間、尾並田は激しくせき込み、血を吐いた。
実は、尾並田は5年前にちなみと「お互いのことが信じられなくなったら、毒を飲んで心中しよう」という約束を交わしており、ちなみの本性を知って彼女を信じる気持ちが揺らいでもなお、ちなみを見限ることができなかった尾並田は、愚かにもちなみとの「約束」を選び、隠し持っていた毒を飲んでしまったのである。
尾並田はそのまま息を引き取り、被告人が死亡したために裁判は続行不可能となり、そのまま閉廷することを余儀なくされた。そして、尾並田の最期を見届けたちなみは、それはそれは美しく微笑んで法廷を後にしたという。
目の前で被告人に自殺されるというこの裁判の結末は、これが初舞台だった千尋にとってあまりにも大きな挫折であり、心に深い傷を負った彼女が再び法廷に立てるようになるまで1年もの時間を要している。
なお、担当検事であった御剣にとっても、判決が下される前に被告人に自殺されるという後味の悪すぎる結末を迎えたことで、千尋にも負けず劣らず嫌な記憶として刻み込まれており、後に「最悪の初舞台だった。私が未熟だったせいで、被告人を死なせてしまった」と回想している。