今日こそ決着をつけてやるぜ!!!
概要
週刊少年サンデーにて1997年41号より2000年40号まで掲載されていた三好雄己の漫画作品。
魔界での戦いの最中、誤って人間界に落ちてしまった主人公の悪魔ソードと天使イオスがそれぞれ人間の身体に憑依し、元に戻る方法を探しつつ不本意ながらも協力し合って魔物と戦う姿を描く。
憑依、悪魔と天使、正反対の双子、入れ替わり、魔術、格闘技など中二病の要素がふんだんに盛り込まれた作品でもある。
あらすじ
悪魔ソードと天使イオスは長く魔界で争い続けていた。101回目の戦いの際、誤って人間界に落ちてしまった2人は、それぞれ深手を負った身体を離れて人間の身体に憑依するが、偶然にも双子の兄弟に憑依してしまう。ソードは大人しい弟・天野双魔、イオスは不良の兄・天野神無へと、それまでの自分の性格と正反対の人間に憑依してしまっていた。
かつての力を発揮できなくなったふたりは、周囲に正体を隠し「記憶喪失になって性格も変わった」という事にして、人間として過ごし始める。元に戻る方法を探すため、ふたりはやむを得ずお互いに協力しあうことになる。しかし、ソードとイオスは個人的な因縁を越え、魔界・天界・人間界にまたがる巨大な争いに巻き込まれていくのだった。
登場人物
ソード
CV:中井和哉(サンデーCM劇場)
本編の主人公の一人。天使イオスとの101回目の果たし合いの最中、相討ちの末に人間界に落ちてしまう。傷ついた身体を捨てて人間の天野双魔に憑依した。暗黒魔闘術という上級悪魔ですらほとんど扱える者のいない(現に作中ではソード以外にはシバや彼の師ジル・ハーブその孫のリルルしか暗黒魔闘術を扱っていない)悪魔の格闘術の使い手である。
それ故に下級悪魔でありながら魔界最強と謳われていたが、その反面孤立もしていた。頭に血が上ると敵味方見境なく攻撃してしまうため、他の悪魔たちから嫌われ、命を狙われている。
彼が孤立していた原因には他にも理由があり、戦闘中に闘争心から暴走し、天使悪魔見境無く殺したため同族からさえ魔族として認められていない。そのため真実の書には彼の名前は載っていない。
黒髪短髪で若干褐色よりの肌をしている。性格は粗暴で短気。一見すると悪魔らしい性格であるが、弱い相手を嬲る行為を嫌ったり、友のために命をかけたり、人助けをしたりと根は優しく悪魔らしからぬ面を多く持つ。また、七海や多くの人間と触れ合うことでより悪魔らしからぬ性格になっていった。
人間界に落ちたことがきっかけで肉体を失い天野双魔に憑依するが、それまで持っていた魔力を使えなくなってしまう。悪魔の魂を封じ込める物質悪魔の卵を手に入れたことで、一時的に魔力が使えるようになり、それを利用して体を取り戻そうと行動を起こす。
しかし、そのことで悪魔や天使たちからますます危険視されるようになった。
さらに双魔に憑依してからは、双魔の人格の影響か、ときに他の人間を助けるような悪魔らしからぬ行動を取る。
双魔が裏暗黒魔闘術を体得した事により体が魔力に耐えられるようになったりと着実に力を取り戻していき、最終的には元々の戦闘力を大幅に上回るまでになっていった。
イオス
CV:千葉進歩(サンデーCM劇場)
本編のもう一人の主人公。長い金髪の真面目な上級天使で、ソードとの果し合い中に人間界に落ち、双魔の双子の兄である神無に憑依している。長い間戦い続けてきたが、ソードの持つどこかフェアな一面を気に入っており、ライバルとして認めてもいる。
人間界に堕ちたあとはソードと同じく本来の力を十分に発揮することができなくなっている。人間である天野双魔や神無の体を気づかっており、また「互いに決着をつけるのは体を取り戻してから」とソードと約束を交わしたことで、ソードと協力して行動を共にする。そのため天界からはソード殺害の指令が下るが、それを拒み続けている。 天界の神に仕える存在だが、ソードたちと行動することで、次第に神の行動に疑問を抱くようになり始める。
取り憑いた当初、虚弱であったソードとは違い、不良であった神無が元々強かったため、人間相手であれば腕力と勢いだけで圧倒する力を持っていた。
後に、反発していたグレートサタンに力を借り、白と黒の翼を習得し、最終的にはソードと互角の力を手に入れる。
天野 双魔(あまの そうま)
神無の双子の弟でいじめられっ子の気弱な眼鏡少年。人間界に落ちてきたソードと衝突するが、ソードに取り憑かれることで一命を取り留める。元々はメガネをけていたが、ソードの影響で視力も回復しており、以後掛けるのはソード封印用の伊達メガネ。
天使と違い悪魔の性質が人間とは大きく異なるため、神無とイオスのようにソードと任意に入れ替わることは出来ない。
「ド」の付くオカルトマニアであり、部活動はオカルト研究会に所属。ソードの魂の影響で魔界の本を読む事が出来た時は悪魔に取りつかれた事を感謝していた。
ソードが乱封に封印されたことをきっかけにして人格を取り戻すが、憑依されていた間にも記憶がありソードの体を取り戻し死の刻印から免れるため、魔界で暗黒魔闘術の修練を積む。 その結果、ソードの魂を武器化する裏暗黒魔闘術を体得するまでに至る。更には誇り高き悪魔の剣士フェンネルとの戦いにも勝利する。
流石にソードと同レベルとまではいかないが、高い潜在能力を秘めた戦闘力を有している。
裏暗黒魔闘術を習得したことで、ソードの魔術やフィジカル面が更に底上げされた。
天野 神無(あまの かんな)
双魔の双子の兄。金髪ロングヘアの乱暴者な不良高校生。
イオスに憑依されてからしばらくは表に出ることは無かったが、魔界を訪れたイオスがソードに恨みを持つ悪魔たちから拷問を受け、休眠状態になったことで人格を甦らせる。ソードと双魔とは違い、人格が復活してからはイオスと任意に入れ替わることも出来るようになっている。基本的に入れ替わりの主導権は神無が握っており、学校をサボるためにイオスを強引に眠らせたり、風邪の辛さを味わいたくないという理由でイオスを表に出したりと、かなり自己中心的な性格。
中盤で神の策略により精神世界でイオスと決闘を行うこととなり、勝者が肉体の主導権を完全に得るという状況になってしまう。同時刻では双魔に危機が迫っており、「(勝ったとしても)天使の力を失った自分が助けに行っても意味はない」と述べ、イオスを助けに向かわせるため、自ら死を選んだりと弟思いな面もある。そんな神無の思いを踏みにじった神の意志にイオスが激怒し反旗を翻したことで精神世界は崩壊。2人の仲はより深まり共同で肉体を使うこととなった。
当初は全校生徒から恐れられる不良と思われていたが、実際には女子からかなりモテており、優等生なイオスとワイルドな神無の二面性を楽しまれている。またイオスが憑依する前から不良にいじめられていた優等生を助けたことがある。
そもそも不良少年で喧嘩のセンスも相当なものがあり、なんの修練も積まずにイオスの持つ天使の力を自分のものとして操ることができ、その力は神無に憑依している状態のイオスをも上回り、シバ・ガーランドにも匹敵する。 その際、背中には黒い翼が現れ堕天使のような姿になる。
後にイオスは神無の力も使えるようになり、天使と堕天使の両方の翼を手に入れた。
聖 七海(ひじり ななみ)
本作のヒロイン。ショートカットの活発な女の子で神無と双魔の幼馴染。
双魔の保護者のような存在でもある。人格の変わった双魔と神無のことは、事故で記憶喪失になったと思い込んでいる。
物語の途中で悪魔と闘うための力を持つが、後にソードによって破壊される。しかし最後には、ソードとイオスの真剣勝負を怒声一発で止めさせるなど、人間としての強さを発揮した。
当初は拒絶するものの、双魔の体を取り戻すためにソードに協力するうちにソードやイオスのこともかけがえのない存在として大切に思うようになる。
コウモリネコ(ナナ)
使い魔。シバの部下。物語の途中からは「ナナ」という名前で天野家で飼われている。人型に変化することも可能。最初、刺客としてソードの悪魔の卵を狙っていたが、なんだかんだで彼と共闘し共に行動をする関係になった。腹黒い割に詰めが甘いが、結構したたかな性格。また、結構情に厚い面も見せる。
シバとの別れ際に「お前は悪魔失格だ」と部下を解任させられ、ソードの力になるように背中を押された。
シバ・ガーランドの部下である処刑悪魔。ポニーテールにした長髪と巨乳が特徴的な女悪魔。
ソードの抹殺を命じられ、人間の女の姿をして彼の命を狙った。並の魔力ならば無効化できるアンチ・マジックの使い手。また妖艶な雰囲気で色仕掛けも得意とする。当初はソード抹殺を命じられ「アンチ・マジック」によって有利に戦いを進め一方的に追い詰めるが、本気を出したソードの「暗黒魔闘術」は無力化できず敗北を喫する。敗北後にシバからの指令がソードたちの監視、護衛に変わったため、偽名を名乗り双魔たちの通う六芒高校に転校生として潜入している。以降は完全に味方としてソードたちに協力し、彼の奇行のツッコミ役に回る。最終決戦にも駆けつけ神の配下の大天使たちと互角に渡り合う活躍を見せた。
シェキル・アーリア
イオスを慕う大天使。イオスのかつての部下で、イオスが体を失ってもなお強い忠誠心を持つ。
互いの出自の関係上、ガーベラとは犬猿の仲だが、紆余曲折経て、2人してみずのの元に居候することに。また、イオスの現状を作り出したソードのことも好いておらず、勝手に入れ替わってしまう神無のことも嫌悪している模様。天野神無の姿のままでも扱える、天使たちの手によって鍛えられた剣をイオスに渡し、「ソードを殺せ」という命令を伝達するために人間界を訪れる。 その後はイオスを天界へ連れ戻すという任務を与えられ、魔界から帰還したイオスの前に再び現れるが、天使長ミカエルたちに背き天野神無の魂を救ってしまったために、天界を追放される。
後にガーベラと共にハーフの転校生として六芒高校に潜入する。
シバ・ガーランド
上級悪魔。ソードの数少ない友であり彼に暗黒魔闘術を教えた師でもある。元々はヴィシュヌとともに双子として魔界で生を受け、ソウル・ガーディアンに拾われた過去を持つ。その後、サタンの配下となりソウル・ガーディアンを去った。
サタンとは主従を越えた友であったが、サタンは「サタンの影」に乗っ取られ豹変。シバを辺境へと飛ばし、後に悪魔の卵回収を命じ、裏切れないように66日目の満月の夜に死に至る呪い「死の刻印」を刻んだ。事実を知らないシバはソードと戦うしかなくなり彼と死闘を演じ、その戦いの中でサタンを倒せる可能性をソードに見出す。ソードの憑依した天野双魔の体に「死の刻印」を施し、それまでに暗黒魔闘術を極めて自分を倒すように促す。戦いのさなか、サタンの謀略によって2人まとめて始末されそうになるがシバが犠牲になることでソードたちを逃がし、サタンを倒す可能性を信じて我が身を犠牲にした。その魂はソウル・ガーディアンへと戻り、サタンの影との最終決戦ではソードと双魔の復活に一役買った。
乱封(らんふう)
悪魔祓い師の少年。冷静な性格。天野双魔たちの通う高校に転校し、ソードを狙う。封魔(ふうま)という、悪魔を封印する力を持つ魔物を閉じ込めた傘魔将傘(ましょうさん)という武器を手にしている。「1000体の悪魔を封じ込めた暁には、強力な魔力を与える」という契約を魔将傘と交わしている。 一時的にソードを封印することに成功した。かつては悪魔退治を仕事として請け負っていた。しかし、妹がその巻き添えで呪いを受け、意識不明になっている。一時は敵対したソードたちに同行して魔界を訪れたのは、妹を救う手がかりを得るためという目的がある。
サタン
「魔王」と称される魔界を統べる大悪魔。数千年に渡り天界と争っていたが、神との直接対決に敗れ、魂がバラバラの欠片となって、あちこちに散らばっていた。大サタンの息子でありシャロの父親である。
ソードによって魂を集められ、ソードの作り出していた新しい体を利用して復活を遂げた。 元々は天界・魔界・人間界の調和を望んでい平和主義者だったが、復活後は破壊と殺戮を求める真の魔王となり、魔王軍を率いて天界との全面戦争を引き起こす。
神
天界を統べる存在で天使たちの上に君臨している。数千年に渡って続いた魔界との争いを経て、魔王サタンと直接対決を行い深手を負った。
常にローブで素顔を隠しており神々しさより禍々しさを醸し出しており、配下の天使たちに命じてソードたちの妨害を行わせる。物語の当初から存在が語られており、終盤ではサタンに代わる黒幕としてソードたちと敵対する。卑怯な手段を使って魔界への進行を再開しついにはタブーとされていた人間界への干渉も開始した。
実はサタンと同様に「サタンの影」によって肉体を奪われてしまっており、ローブの中はサタンの姿になっている。
サタンの影
サタンの精神の内に潜んでいた存在。本作における最終的な黒幕にして最後の敵。
その正体はサタンの双子の兄弟。本来なら双子として生まれるはずだったが肉体を持たなかったためサタンの肉体に憑依する形で生まれた。文字通りサタンの影として長い刻を過ごしてきたため精神は歪み、天界も魔界も人間界も全てを滅ぼすことを考えるようになってしまった。手始めにサタンの肉体を奪い、後に天界の「神」の肉体まで奪いとる。サタンの肉体は用済みとなったため配下の天使たちに命じて抹殺した。最終的には巨大な悪魔となって現世に降臨しソードを容易く滅ぼすが、シバの助力によって復活したソードの「真・魔王拳」によって完全粉砕され消滅した。
余談
双魔と神無は見た目も性格も全く似ていないため、おそらく二卵性双生児の可能性が高い。
双魔は父親似、神無は母親似だと思われる。