概要
京浜急行電鉄が1998年より投入した快速特急(快特)用電車。
8両編成10本が在籍する。
開発の経緯
創業「100周年」を迎える京浜急行が、その節目の年にふさわしい車両として、また「21世紀」をむかえるにあたり、より優れた車両を開発することとなった。また、それまで快特運用についていた「2000形」の後継とするため、「2100形」と命名された。
つまり、「21世紀」と「100周年」、そして「2000形の後継」というトリプルミーニングで命名された電車である。
外観
先に登場していた通勤型電車、3代目600形を基本としているが、快特用ということもあって2扉車となっている。また座席スペースを広く取るためか、側扉の幅は一般的な1300mmに対し2100形は1200mmと狭くなっている。側窓はドア間に大型の窓ガラスを5枚配置しているが、連続窓風にすることでスピード感を演出している。
前面のワイパーカバーには形式名を記したスリットが刻まれている。登場当時、このスリットには車号が刻まれており第1編成が「2101・2108」、第2編成が「2109・2116」となっていたが、第3編成以後は形式である「2100」となり、第1・第2編成もそれに統一された。
ただし初期のワイパーカバーもそのまま保管されている。実際、他の編成が踏切事故で車前面のワイパーカバーを破損したとき、修復までの間2101号車の「2100」を貸し出し、当人は「2101」を持ち出して装着していた。
なお、前面の車号はカバーデザイン統一後、当初は非常扉の標識等上に白文字で「2101」などのようにナンバリングがなされていたが、現在はその上の白帯部分に車号の下2ケタを表示する方式に変わっている。対応表は以下の通り。
編成 | 浦賀方先頭車の車号 | 品川方先頭車の車号 |
---|---|---|
第1編成(2101F) | 01 | 08 |
第2編成(2109F) | 09 | 16 |
第3編成(2117F) | 17 | 24 |
第4編成(2125F) | 25 | 32 |
第5編成(2133F) | 33 | 40 |
第6編成(2141F) | 41 | 48 |
第7編成(2149F) | 49 | 56 |
第8編成(2157F) | 57 | 64 |
第9編成(2165F) | 65 | 72 |
第10編成(2173F) | 73 | 80 |
車内設備
扉間が転換クロスシート、車端部がボックスシートで、先頭車の運転台背後は固定式のクロスシートである。また出入り口付近に収納式の補助席がある。2000形と違い、ロングシート席はない。
機器類
主電動機出力190kW、VVVFインバータ制御である…とここだけ書けばそれまでだが、このVVVF装置を初めとした電気部品の一部はドイツ・シーメンス社が開発していたことが特筆される。
実はVVVFインバータ制御の車両、特に最初期に登場したGTO制御の車両では発進時の起動音(これを磁励音という)が問題となっていた。子供たちや鉄道ファンにとってはその音すら魅力の対象であったりもするのだが、そうでない一般の乗客や近隣住民にとってはやかましいことこの上ない。日本ではこうしたこともあって、騒音を抑える方向で技術開発を進めていたが、音楽の国でもあるドイツはこれを逆手に取り、「どうせならいっそのことこの音で遊んでしまえ!」という発想に到ったのである。このため発進する際に音階を奏でるようになっているのだが、京急2100形もそのドイツ製のインバータ装置を使用したために「ミーファソラシドレミファソ…」という起動音を発することで「ドレミファインバータ」または「歌う電車」として大いに話題になった
余談1 同制御装置はJR東日本のE501系の方が先に採用されているがマイナー。あちらは減速する際にも音階が奏でられる。
余談2 同じくJR東日本のE2系新幹線には、歌わないセッティングの同制御装置が一部編成で使われている。
…が、登場後15年が経過しようとしている2100形は機器更新の対象となっており、順次三菱電機製のIGBT制御器に換装されている。このため遊び心もへったくれもない普通の起動音に変わってしまっており、更新後の編成は一部のファンから「歌を忘れた電車」といわれ大変嘆かれている様子。ドレミファインバータが聴けるのもあとわずか…ファンは急げ!!
2100形ドレミファ全廃まであと…2両(2012年9月現在)
関連タグ
2000形:先代の快特専用車
1000形:電気部品等を一部共用