高精細度テレビ
こうせいさいどてれび
高精細度テレビ(HDTV High-definition television)とは1970~1980年ごろに提唱された「次世代のテレビ」の概念である。
当時の既存のテレビより進んだものを目指し、世界各国で研究や開発が進められた。
その後、80年代には実際に撮影が始まり、90年代には放送が開始。
00年代には急速に普及し、2020年現在では一般的なテレビとして君臨している。
日本ではHDTVを「ハイビジョン」と呼び、普及名称とした。
- ワイド画面(横長の画面)
既存のテレビのほとんどは縦横比が4:3であったのが、HDTVは16:9と横長の画面になった。
これは、人間の視野の研究に基づき、より迫力を感じられるようにしたものである。
オマケで先行してワイド化を進めていた映画との親和性も高まった。
- 高解像度
既存のテレビより解像度はおおよそ2倍とされた。(704x480 → 1920*1080)
高解像度化することでリアル感が高まるのと、テレビ画面により近づいて視聴できるため迫力が増すとされた。
- デジタル化
HDTVは高画質であるがゆえに情報量が大きいため、送信するのに大量の電波帯域が必要なのがネックだった。
そこで、テレビ放送そのものをデジタル化してしまい、映像をデジタル圧縮してしまうことでこの問題を解決した。
ほとんどの国はHDTVの開始とテレビのデジタル化がセットで行われた。
東京オリンピックでやることをやり切ったと感じたNHK(正確にはNHK技研)は次のテレビを模索して色々試した結果、高精細度のテレビに行きついた。
他の国でも70年代に次世代のテレビの研究が行われた。
NHKと関連する日本企業は世界に先駆けてHDTVを押し進め、1980年代の初めにはカメラやディスプレイなどの放送システムをすべて揃えるところまで到達した。
この頃から「ハイビジョン」という名称が使われ始める。
80年代の終わりごろには日本国内でHDTVの試験放送が開始。
これとほぼ同時に世界各国でもHDTVの機運が高まり、国際的な標準を決めることとなった。
その結果上記のワイド化や高精細化などの標準が定められた。が、各国の既存のテレビ規格との兼ね合いで揉めに揉め、世界統一標準は定められず、国によって調整を許容した規格となった。
とりあえず、縦横比は16:9で解像度は1920x1080となっている。
90年代には実用的なHDTVの放送が進められたが、HDTVをアナログテレビのままで放送するには電波を使いすぎるため、各国はテレビのデジタル化を選択。急速にデジタルテレビが普及する。
日本はHDTVをアナログで普及させていたが世界の流れに抗えず、混乱を承知でデジタル化に踏み切った。
2010年代になると先進国はデジタルのHDTVに移行完了。