概要
大きさ3~5センチくらいのカエル。
ニホンアマガエルにそっくりだが目の辺りのラインがないのが大きな違い。
また「ニホンアマガエルより大きい(特にメス)」、「頭部が尖ってる」「褐色系になった時もまだら模様が出ない」といったビジュアル、鳴き声、産卵などの生態にも差違があるものの、大半の人は目元のラインで判別するだろう。
※アマガエルは2~4センチくらい。メスの方が一回り大きいのは一緒
主な生態
アオガエル科の多くは水場の樹上で泡状の液に包まれた卵塊の形で産卵する中で、シュレーゲルアオガエルは地上、正確には水場近くの地下の穴に産卵するという大きな特徴がある。卵は雨が降った際に孵化して水場に流れ出る仕組み。
アマガエルと同じく喉(鳴嚢)を膨らませて鳴くのだが、オスの鳴き声は「コロロ、コロロ」とアマガエルとはまったく違い、また多くの場合、穴を掘って隠れながら鳴くので姿を見つけるのは困難。ちなみにアマガエルは「クワックワックワッ(あるいはカッカッカッとも聞こえる)」と大きな声で木の上などで鳴き、卵も水中で産む。
特殊な生態をしているためモリアオガエルと共に飼育や飼育下繁殖は難しい部類とされる。
名前の由来
いかにも海外産のようなネーミングだが、実は日本固有のちょっと珍しいカエル。
ヘルマン・シュレーゲルという学者が分類する前まで日本では特に他のカエルとは区分されていなかった(名無し状態だった)と思われ、彼にちなんでこの和名が与えられた。
ちなみに学名からして「Zhangixalus schlegelii(シュレーゲルアオガエル)」というが、命名したのはアルベルト・ギュンターという別の学者である。
シュレーゲル(1804~1884)
江戸時代末期に日本の動物を研究、分類し、西洋に紹介した博物学者で、本来の専門は鳥。
ドイツ出身だが、博物学者としての活動はオランダで行っていたことから「オランダの学者」とされることがある。
サカタザメ・クロダイ・ロイヤルペンギンなどを命名した他、あのシーボルトと交遊があったことでも有名(そのシーボルトが持ち帰った標本を元に研究した生物も多い)。
なお彼が記載した標本(タイプ標本)は大英博物館に保管されている。
アルベルト・ギュンター(1830~1914)
ヴュルテンベルク(現ドイツ南西部・バーデン=ヴュルテンベルク州)出身の学者。分野は魚類と爬虫類。
当初は神学や医学を学んだが、1857年から大英博物館に勤務するようになり、後にイギリス国籍を得て帰化した。
関連
モリアオガエル:とても近縁な種でアオガエル科の代表格。水場の樹上で泡状の液に包まれた卵塊を生成するという生態は彼が殊に有名だろう。