概要
民間伝承上でその存在が伝えられている暗殺用武器の一種。
清朝第5代皇帝「雍正帝」直属の特務組織が使用していたとされる暗器で、政敵や反逆者を暗殺する際に用いられた…とされるのが定番。
また、この血滴子を用いて暗殺を行っていた組織のメンバーもまた「血滴子」と呼ばれるとされる。
概略図が伝えられているのみで、その正確な構造や機能については謎に包まれている。そうした面から、後述する香港映画内で描かれる縁に刃の付いた帽子のような解釈が一般的となっている。
創作の中での描写
一般的に、金属製の帽子のような形をした暗器として描かれることが多い。頭頂部に鎖や縄などが付けられる構造となっており、外周・内周の縁部分からは刃が飛び出すような構造をしている。
内側の刃は主に首を刈るために取り付けられているとされ、投擲して暗殺対象の頭に被せると投網のような隠し部品が飛び出し、相手の頭をカバーした状態で首を切る→使用者は切った首をそのまま手元に回収できるというメカニズムで描かれる。
劇中で冷酷な悪役として描かれる雍正帝が「暗殺対象が確実に殺されたかを確認するため、首を効率的・確実に回収できる暗器として作らせた」と説明される場合もある。
登場する代表的な作品
『空とぶギロチン』シリーズ
血滴子を映画の中で描き、中国以外でも有名にした作品。上記のような設定・外見はほぼこの作品で確立されたものであり、後の作品にも受け継がれている。
劇中では雍正帝の圧政に反抗する人々や多くの武術家の命を奪ったが、「頭よりも上で受け止めてしまえばその機能を発揮することはできない」という弱点に気づいた主人公、マー・トンは傘の骨組をヒントに対抗する武器を編み出し、血滴子を打倒するという攻防が描かれている。
後に続編やリブート映画も制作された。
片腕カンフー対空とぶギロチン
『片腕ドラゴン』の続編で、上述の『空とぶギロチン』と同年公開。盲目の暗殺者が用いる武器として早くも血滴子をフィーチャーしている。主人公の片腕ドラゴン(チェンロン)を暗殺すべく付け狙ったが、相手が盲目であるのを良いことにバネじかけで手斧が発射される罠で負傷・疲労させて弱らせる、背丈ほどの高さの青竹を無数に立てた決戦場におびき出すことで刃や仕掛けを駄目にするという主人公にあるまじきセコい手段で打倒された。
白黒無常(「IdentityV」)
中国や朝鮮半島、東南アジア圏などで広く知られる2人1組の霊的な存在「白黒無常」をモデルとしたハンター側のキャラクター。伝承は様々だが、多くの場合白い無常は穏やかな老紳士の姿をしているのに対し、黒無常はとてつもなく恐ろしい姿をしており、出くわすと近い内に死んでしまうとされる。スキンの一つにこの武器の名前が元ネタの「血滴子」があるが、直接的に使用するような要素はない。