概要
善なる者。真我アヴェスターの告げる二つの属性の片割れ。
善悪二元の理により生理的、条件反射的、本能的に対極の勢力である不義者ドルグワントと対立するように定められている。
戦う力を持たない民や草木から対立勢力と闘いを繰り広げる戦士ヤザタらまで、産まれる以前より振り分けられた善すべてを含む幅広い語句。
特徴としては誠実で義理堅い。
総じて一般的な意味での「善」に即したあり方をしていると言えるが、不義者であると判断したものに対しては容赦のない敵意と憎悪を抱く場面が少なからずあり、そこのみが極端に前面に出ているマグサリオンのようなものもまた存在している。
傾向として強い善ほど荒んで危ない。彼等は惨く汚れていて、呪わしく、破滅的になり悲劇に憑かれるとされる。
総じて破滅的で敵も自分も破壊し尽くした後には、呪いしか残さない。
義者が人間同士や動植物とは同じ義者としてどう暮らしているのかというと。
①調和と秩序を良しとする義者は、自種の繁栄のみを求めない。
②目先の欲や利便性を優先しない克己心を持っている。
③定命の生を尊び、生物としての理を超えようとはしない。
④そのためお互いが自然という大いなる円環の一部だと弁えて、食物連鎖を築いている。
文明レベルが中世なのも上記の理由によるもの。一部の者が秀でた科学や魔術の技術と知識を持つことがあっても、調和と秩序を乱すことを嫌うため汎用化されることがない。
だがそれらの理由とは別に不義者を倒さねばならない聖王領ワフマン・ヤシュトには高度な知識と技術が存在している。
同時に上記の特性ゆえに不老や不死の概念とは相性が悪い。
また、結束を売りにしているがために、悪における「魔王」のような超絶個体が生まれにくい。
戦闘能力において一般的な義者では武装しようと不義者には絶対に勝てない程強さに隔たりが存在する。しかし数の点では勝っており、軍団を成し協力する事ができる強みを持つ。
個人の我儘で物理法則を歪める不義者に対して、義者はみんなの想いや希望、祈りを束ねることで奇跡を起こす。
多数が一致団結することを売りにする関係上、羽目を外さぬ範囲での多妻制が認めてられている。
神咒神威神楽では、第一天が善を「覇権を狙う者は悪である」「善とは敗北の淵で足掻き続ける光である」と定義していたとされる。善は善であるがゆえに倫理的な拘束が大きく、戦争で不利になるとわかっていても取れない行動が多くあった。結果として悪との戦いで善は常に劣勢におかれていたという。
善教ダエーナー
義者のほぼ全体が共有する道徳。義者世界における善行の規範。
今代の義者の善という属性はウォフ・マナフの善の解釈が規範となっている。すなわち真我に忠実な秩序と調和の概念。
前述している通り義者は一般的な善に即している在り方をしているが、あくまで闘争という前提があるため小の犠牲はそれはそれと割り切る側面がある。彼らの善とは敵である不義者を撃滅して勝利すること。
マグサリオンの苛烈な在り方が部分的に肯定されていたのもこのため。
義者の中で正義や悪などといった概念に対する個々の解釈が異なることは珍しい。
しかし龍晶星の星霊をはじめとした、善悪の概念が入り乱れる混沌期を経験した長命の存在は、また違った解釈の正義を持っている。
- “みんな”の勇者
義者は種族的には個々人は独立しているように見えるが、正確には義者という一個の生物というのが近い。そのため全体の本能ともいうべき意志が存在する。
「善き行いをなし、善き結末へ辿り着きたい」、そうした祈りを叶えるために「勇者」と呼ばれる存在が具現化される。義者という種の意志を受信し実行する強力な存在であり、魔王に対抗するために生み出されたシステム。
戦士のワルフラーン、地雄のランカが該当する。
代々、神剣アフラマズダという白勢力の決戦兵器が勇者を選び力を与えるとされている。正確には勇者という義者の種族的意思を背負った者だけが神剣に認められ、その力を引き出せる。
勇者は義者達の祈りを己に収束し、神剣の宇宙開闢の時より収集された祈りを引き出せるため絶大な力を有する。
その本質は誰よりも二元論世界に従順な優等種。この世界の首席とも言える。
無の境地という白の究極的存在。善の“みんな”の祈りで如何様にもその在り様を変える虚構の塊。祈りの力を重んじる白勢力の頂点に立つ故に心を持たない。
何者にもなれるが故に何者でもない”空“を体現する意思なき偶像の奴隷である。
こういったあり方は、勇者にとっては当たり前のことであるため本人が意識することはない。
勇者以前に高位の白とは道具的な性質を持つ。
“みんな”の想いを代行する体制側の存在であるため、既存法則を崩そうとする新世界の担い手とは相容れない。
また黒の究極であるナダレとは対存在であり、互角であるため時代毎に必ず相打ちになることが決まっている。
- 戦士ヤザタ
義者の英雄たる者達で、個々人が一騎当千の実力を持つ。
真我をより深く読むことで戒律を設け、ウォフ・マナフの星霊加護を扱う。
義者の中枢戦力として戦士ヤザタの殿堂、聖王領ワフマン・ヤシュトが存在する。
本編の20年程前に魔王・破滅工房の手によって中枢勢力である聖王領が壊滅、存亡の危機に立たされたが、
奇跡を理解してから食らうという破滅工房の意向によって見逃され、依然として再編中。
当時の破滅工房によると善側の支配が及んでいる宙域の規模、そこに存在する星々と、最低限思考ができるだろう生物の数は銀河一つ分に相当していた。
歴代の白側
- 地雄アスラ
大転墜が発生する前の時代の戦士。
脆弱で怒りと嘆きに染まり、数の結束によって戦う。
現在の善の価値観とはまた違った解釈のもと存在していたと思われる。
当時の義者は「悪」と世界に定められていた。スィリオスが白とは薄弱で無価値な白痴の色と定義した様に、白は清い光に見えても弱く脆い、退嬰的で度量に欠ける。善や悪という言葉はラベル以上の意味を持たない。
- 白翼マラーク
最後の大転墜後の時代の戦士。
戦士の次であるため、義者は「悪」と世界に定められていたかと思われる。
余談
善や悪という言葉は大転墜が起こるごとに変わるのでラベル以上の意味を持たない。
そのため「善と悪」ではなく「白と黒」で分けると良い。
関連タグ
神座万象シリーズ DiesiraePANTHEON 黒白のアヴェスター