概要
聖王領ワフマン・ヤシュトと対立する悪側の英雄たる魔将ダエーワ達の頂点に君臨する七つの災厄。善悪二元のこの宇宙における最強個体であり、その数は最大七名で固定されている。
魔王には人類種以外も数えられており、傾向としてその多くが邪悪な星霊であるという。
各々が眷属、親衛隊を有しており、七人全てが美男美女で絢爛無垢な悪人とされる。悪である程美しくなる第一神座では彼らは総じて美神の如き容姿となる。
無邪気なまでの獰猛さを持っており、数億もの人間を虐殺しようが、星を喰らう星なんて魔物を生み出そうが、邪気など欠片も存在しない。
聖王領では守護星霊ウォフ・マナフの神眼により魔王の本質を見抜き、個々の特性や過去の所業から異名が定められている。そのどれもが剣呑な魔名。
善なる者達の勝利条件が全ての魔王を討伐することなので、戦いを避けて通ることは出来ない。
破壊能力
別名「超絶個体」。
およそ生物の範疇に入らないほどの破壊的な力を有する。
魔将が扱う我力は魔王ともなれば桁違いのものであり、惑星を破壊する程度ならば造作もない。まさに災厄そのもの。
現状の聖王領の戦力では、魔王一人を相手に全軍でかかっても討伐することは不可能である。
序列と被害
聖王領の基準により危険度順の序列化がされており、上位の魔王ほど義者への被害数が多い。
序列の上位3名は星を複数滅ぼすレベルの被害を生み出しており、事実破滅工房・クワルナフは序章の時点で既に五百以上の銀河を滅ぼしている。またクワルナフは惑星移動装置などの魔道具を創り出しては捨ててばら蒔くことで遍く宇宙を混乱に陥れている。
そしてその3名は実に千年以上もの期間魔王の地位についている。単純に種族的な特性として寿命が長いということもあるのだろうが、座の世界では肉体よりも魂の方が脆い。それでも未だに生きているのは一重に精神力が桁外れなためであり、我力という想いの力で物理法則を超越している。
魔王の座の交代
魔王同士で戦うことも、挑戦者が下克上でその地位を奪うこともある。魔王交代は日常的と言え、例外のナダレを除けば総じて百年前後の内に地位と命を奪われる。1800年前にバフラヴァーンが現れてから現在までの魔王交代は、九割が彼の手によるものである。
2000年の歴史ある聖王領での戦士による魔王の討伐例は三度しかない。そしてその全てが二十年前に成された事であり、真我のルールの都合上空席は数年もすれば埋まるため、現在は魔王の面子も補充されて入れ替わっている。
魔王の選定は真我により成される。単的に真我の好みで、原則として鮮烈な色彩キャラが優先される。
よって実力が魔王に比肩し、聖王領では魔王候補と見られている特級魔将でも魔王の座に空白が出来れば必ずしも繰り上げで魔王になるわけではない。
例えば己を挑戦者と位置付ける者、仕えることこそ本分とする者、ただ眠り続けたい者などの“魔王でない地位にいることに意味がある者”は魔王と判定されていない。
その他
魔王達は不定期に特異点アンラ・マンユで会合ガーサーを行なう。
これは魔王の意思に関わらず強制的に引き起こされているもので、この法を破ることが出来ている者はいない。
大転墜が起きる前の時代、天将デーヴァ達には七人の「天王」と呼ばれる魔王に類する存在がいた。
黒側の王は時代に関わらず常に七名で固定されており、七大魔王も「黒の七王」の一種である。
七名の黒の王は後代に誕生する神々の元型アーキタイプだという。そのため二元論の終わりを務めることになった黒白のアヴェスター本編時点での七王は後の神座に連なる覇道神と共通した属性を顕著に持つと言われている。もし神座交代時魔王の顔ぶれが違えば、未来に生まれる神と歴史もまた違うものになったらしい。未来とは過去の積み重ね、これはただそれだけの話。
七という数は真我の計画では最終的に七つの時代が誕生し、自分を含めた七名の神が轡を並べると予想したためで、会合もそのシミュレーションである。しかし真我もすべてを見通していたわけではなく、当代の黒の王はあくまで無数にある可能性の一欠片に過ぎないので実際に生まれた神と数が同じではない。PANTHEONの前日譚時点では真我と第七神座も含めれば計九柱の神が誕生している。
本編
魔王は局所的に暴れ回っても義者を積極的に滅ぼそうとする勢力が無いため、壊滅寸前の聖王領を探し出そうと動きもしないので全面戦争は20年前からは一度もない。
しかし聖王領が龍骸星への破壊活動を行ってから風向きが変わり始める。龍骸星でのカイホスルーとフレデリカの激突を経て魔王の会合が開かれ、そこでマシュヤーナがフレデリカに残っていたズルワーンの痕跡を辿り聖王領を襲撃。幾人かの戦士を自らの領土に連れ去る。
その戦いでマシュヤーナはマグサリオンに殺害されるが、ナダレが崩界を使い自分以外の魔王と聖王領を同宙域に集め強制的に善悪の最終決戦を始めさせる。
カイホスルーが以前から接触していたスィリオスと善悪を超えた同盟を結びクワルナフ、ナダレを倒すための算段を練る。そしてマグサリオンがバフラヴァーン、クワルナフ、フレデリカを続けて倒したことで混沌とした決戦は終結。
3ヶ月後、カイホスルーと聖王スィリオスの同盟の正式な調印が行われる。善悪常識を崩す催しはマグサリオンとカイホスルーの戦いにて始まる。勝者はマグサリオン、しかし休む間もなくアカ・マナフ(黒白のアヴェスター)が覚醒しスィリオスを混じえた三つ巴となる。
連戦を制したマグサリオンはナダレに特異点に招かれ、正真正銘の魔王との最後の戦いとなる。この戦いにマグサリオンが勝利したことで全魔王が討伐された。
そして、魔王の全てが倒されたことで宇宙全土を覆す大転墜が起こり新たな善悪闘争が始まった。
七大魔王に列する者
本編の20年前に勇者ワルフラーンによって短期間の内に三柱の魔王が討たれた為、下記の第四位・第五位・第七位はここ20年以内に補填された新参魔王。
七体の内クワルナフ、マシュヤーナ、カイホスルーが星霊に該当する。
全員がその所在地は聖王領から光の速さでも数百万年以上はかかる距離に存在する。
序列は義者に与えた被害の規模の順にあくまで聖王領が付けたものであり、魔王達の間には序列はなく対等。その関係は兄弟に近く親愛もあるが、それには殺しも含まれるため非常に剣呑。
年齢順にすると
ナダレ>クワルナフ>バフラヴァーン>カイホスルー>マシュヤーナ>アカ・マナフ>フレデリカ
作中で登場する魔王は真我の常識からするとズレている信念や思想を持った者が多い。
また、魔王のほとんどはバフラヴァーンを除き転墜と何らかの形で関係しているという共通点を持つ。
七大魔王
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- 一位 破滅工房 クワルナフ
場所 絶滅星団サウルヴァ
眷属 絶滅星団 作品こども
権能 物質創造の権能
戒律 天翔ける破滅の戦輪
覇道 満たし万象を救い給え、我が不変なる美よ
- 第二位 崩界 ナダレ
場所 特異点アンラ・マンユ
眷属 なし
権能 崩界
戒律 迷妄の崩れ (第一戒律)
不変なる正義もたらす絶対悪 (第二戒律)
異能 ナダレの不変 (仮称)
- 第三位 暴窮飛蝗 バフラヴァーン
場所 暴窮飛蝗アエーシュマ
眷属 特級魔将ザリチェード
特級魔将タルヴィード
暴窮飛蝗
戒律 殲くし滅ぼす無尽の暴窮 (第一戒律)
終わりなき群生する暴窮 (第二戒律)
- 第四位 殺人姫 フレデリカ
場所 流血庭園バリガー
眷属 特級魔将ムンサラート
殺人鬼
戒律 殺人鬼の掟
虚装戒律パランギーナ (使い捨て)
- 第五位 不浄不動 マシュヤーナ
場所 空葬圏ドゥルジ・ナス
眷属 ナス・ワウサガ
権能 腐敗の権能
戒律 最愛なる天則
- 第六位 貪婪餓龍 カイホスルー
場所 龍骸星ザッハーク
眷属 特級魔将ロクサーヌ
十八寵姫
権能 貴石化の権能
戒律 奪い貪る三首の業報
覇道 不変なる欲望 (仮称)
- 第七位 邪戒廻向 アカ・マナフ
場所 真王領ジャヒー
眷属 なし
権能 取り込んだ全星霊の権能
強制転墜執行能力
過去に存在した魔王
- 元第四位 魔王アパオシャ
場所 ???
眷属 アパオシャの子供達 (仮称)
能力 女や星霊への強制妊娠能力?
戒律 ???
備考 フレデリカの先代
20年前ワルフラーンにより討滅
- 元第?位 ???
場所 ???
眷属 ???
戒律 ???
備考 マシュヤーナの先代
20年前ワルフラーンにより討滅
- 元第?位 ???
場所 ???
眷属 ???
戒律 ???
備考 アカ・マナフの先代
20年前ワルフラーンにより討滅
備考
元ネタはゾロアスター教の聖典アヴェスターの第十九巻ヴェンディダードの七大魔王か。
究極の悪神アンラ・マンユ(アンリ・マユ)に仕えており、悪魔群ダエーワの中でも屈指の魔神とされる。
七大魔王は悪性の擬人化として作られたキャラクターであり、神座世界 神座万象シリーズ>をメタ的に見た場合、第二神座に引き継がれた要素もあるという。
悪性は以下の通り。
クワルナフ 忘却
ナダレ 矛盾
バフラヴァーン 暴性
フレデリカ 無知
マシュヤーナ 退廃
カイホスルー 痴情
アカ・マナフ 虚構
これらは根源的な業であり、本人も自覚していないこともあるらしい。
なお魔王が七大罪に相応するのではないかという意見があるが、アヴェスターはゾロアスター教ベースの世界観であるためキリスト教における七大罪はあまり関係ないとのこと。
本編の魔王を強さ順にすると
クワルナフ>バフラヴァーン=アカマナフ(巫女も込み)>ナダレ=カイホスルー>マシュヤーナ>フレデリカ
となる。
余談
正田崇によるとDies irae PANTHEONにおける実力別区分では、天使、悪魔、メトシェラ、夜都賀波岐らと同ランクとしている(基本的には惑星を破壊するだけの力を持つ)。
天魔は太極の設定上宇宙規模の力を持つが神咒神威神楽ではある理由で大元が全力を出すことができなかったため、スケールが惑星規模に留まっている。
これらの中でも魔王クワルナフ、ベリアル、宿儺や大獄など一部突出した者達がいるため同ランク内でも格差は存在すると思われる。