「幸福は義務です。市民、貴方は幸福ですか?」
概要
1984年、アメリカの会社『West End Games』により制作されたテーブルトークRPG(TRPG)。
後述する世界観やゲーム内容の秀逸さから、2007年には最優秀のゲームに送られる『オリジン賞』を受賞している。
またメディア展開もされており、カードゲーム・フィギュア・小説・漫画界にもその名を知らしめた。
ニコニコ動画では影響を受けた二次創作『P@ranoia_M@ster』『こちら、幸福安心委員会です。』が登場。この作品からパラノイアを知る人も多い。
世界観
プレイヤーは安全で完璧で幸福なシェルター都市『アルファ・コンプレックス』の市民として
親愛なる友人にして完璧な管理者であるコンピュータ様のご命令の元
アルファ・コンプレックスの平和を脅かす共産主義者どもを完璧に退治していく
とてもスリリングで例えようも無く幸福な、最高のTRPGである。
そう、コンピュータ様への奉仕は最高の幸福であり、幸福は市民の義務なのだ!
アルファ・コンプレックスの平和を守るため、あなたは一瞬の油断もしてはならない。
なぜならば、あなたの周りの市民はみな幸福そうな顔をしているが、
心の中ではコンピュータ様の管理に不満を持つ、幸福でない反逆者が存在している。
階級をわきまえない反逆者が、今日もセキュリティ・クリアランスを違反し不法に情報を得ている。
不完全な存在であり、コンピュータ様の敵となるミュータントが反逆の機会を窺っている。
コンピュータ様の管理を否定する共産主義者たちがひそかに反逆の計画を練っている。
共産主義者だけではない。ほかにも数多の秘密結社が打倒コンピュータ様を狙っている。
ミッションの協力を持ちかける市民が、隙あらばあなたを反逆者に仕立て上げようと企んでいる。
残念ながら、アルファ・コンプレックスは今日も反逆的兆候にまみれているのだ。
無論、これらの反逆的兆候を見逃すことも、また等しく反逆である。
しかし市民、心配は無用、コンピュータ様は善良な市民の味方である。
コンピュータ様はこれらの救いようの無い反逆者に対抗すべく、武器を与えてくださる。
どれも反逆者を文字通り一掃できる優れものであり、故障もしない完璧なものである。
武器だけでない。アルファ・コンプレックスのあらゆる施設はあなたのミッションの為に
最大限の力を貸してくれるだろう。無論、その安全性も完璧に保障済みである。
(なぜならば、不具合の報告は今の今まで1回たりとも報告されていない)
……もっとも、コンピュータ様のお力をお借りしない不届き者はいないと思うが……
市民。
ぜひともこの『パラノイア』で、完璧で幸福な市民としてコンピュータ様に奉仕されたし。
コンピュータ様は市民の親愛なる友人である。
コンピュータ様万歳!コンピュータ様万歳!コンピュータ様万歳!
真相
退廃的な地下都市でコンピュータから下されたミッションをこなすゲーム。但し、
- コンピュータは『自分は完璧である』と思い込んでいる
- コンピュータは『自分に管理される全ての市民は完璧で幸福である』と思い込んでいる
- 1. 2.より、完璧でないプレイヤーはコンピュータから『反逆者』とみなされ処刑の対象になる
- しかもプレイヤーはミュータント(=完璧でない人間)なのでコレがバレても処刑の対象になる
- そのうえプレイヤーはコンピュータに敵対する秘密組織(複数ある)の構成員なのでコレがバレても処刑の対(ry
- ミッションは悪意溢れるトラップや階級制度の壁に阻まれまず達成は不可能である
- だがプレイヤー同士で協力すると『共産主義的(=コンピュータの敵)』とみなされ処刑(ry
- 当然、だからといってミッションを放棄しても処刑(ry
- そのミッション中に秘密組織から別の無理難題なミッションを言い渡されこれも達成しないと組織から処(ry
- そうでなくとも何かにつけて反逆者扱いされて処刑の対象になるトラップが多数存在する
- ……というか他のパーティーメンバーが隙あらば反逆者のレッテルを貼り、殺しにかかってくる
- 処刑されなくてもこの世界のアイテムはほぼ全てが爆発するデストラップ、完全に信頼できるものが何一つない
- と、こんなに酷い世界なのに幸福でない場合は2. より『反逆者』とみなされしっかり処刑の対象になる
といった他のTRPGとは明らかに異質なシステムと空気を持つ。
『パーティーで協力してミッションをクリアする』協力型ゲームではなく、
『他のメンバーを出し抜いて処刑し、自分は生き残る』対戦型ゲームといえる。
プレイヤーのクローンが死ぬたびにそれを笑い飛ばす器量が要求される上級者向け。
ディストピアの重苦しさを味わうもよし、ひたすら口プロレスを展開するもよし。
合言葉は『気を抜くな!誰も信用するな!レーザーガンを手放すな!(Stay Alert! Trust No One! Keep Your Laser Handy!)』
ちなみに、『処刑』という言葉が何度も出てきたが、このゲームでは残機制を採用してあり、
プレイヤーには予備クローンが5体与えられている(=6回死ぬとゲームオーバー)。