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AI学習禁止の編集履歴

2024-11-09 17:23:21 バージョン

AI学習禁止

えーあいがくしゅうきんし

「自分の作品はAIの学習に使わないでほしい」という意思表明。法的拘束力は無い。

概要

「自分の作品の無断学習は許さない」という意思表明。多くのpixivユーザーがこのタグをつけたり、イラストにウォーターマーク(透かし)を入れたりしているが、

法的な実効性は無い。

「コンテンツの無断利用」ということで無断転載と同列にされることがあるが、著作権法上は転載AIなどによる情報解析は、複製とは全く異なる扱いになっている(後述)。


ただし、いくつかのサイトでは規約で無断での情報解析を禁止しているほか、AIなどのプログラムが特定の情報を大量に取得すること(Webスクレイピング)を制限している。pixivでもサービス利用規約第14条で「商業・営業目的の活動、営利を目的とした利用およびその準備」「当該投稿情報を投稿等したユーザーの利益を害すると当社が判断する行為」を禁止行為に挙げているほか、Botなどによる作品取得への対策もとっている

(下記「pixivにおける対策」を参照。しかし、完全な対策は不可能なのが現状である)。

確実な機械学習対策は「AIに学習されるのが嫌ならネットに上げない」ことしかない。


なぜ日本ではAI学習が合法なのか解説

文化庁の「AIと著作権」を視聴したのを前提として解説する。


2024年現在の日本では、AIがインターネット上のイラストなどの著作物を収集・加工してAIモデルを作成することは、原則として合法である。

そもそも著作物の学習(機械学習)は、元々著作者の許可をとる必要は無く

学習を拒否する権利、支分権は著作権法に存在しない。


日本著作権法はAI普及のため、著作権法の一部を改正する法律(平成30年法律第30号)が生成AIの普及に先駆けて制定されており

機械学習時のデータセット制作時に著作者の許可なく著作物の複製を行う行為は、権利制限規定により完全に認められた行為になった。(改正前は合法なのか明確になっていなかった)

著作権法では、条約によって許される範囲内で「権利制限規定」と呼ばれる「例外規定」

が数多く置かれ、一定の条件下で権利者の了解を得ずに著作物等を利用できる。)

それが権利制限規定の著作権法第三十条の四である。(AIの機械学習は情報解析に該当する)

著作権法第30条の4は非享受利用であればどのような方法でも基本的に利用してよいとしており、それによって本来複製権によって制限されるはずの利用も認められている。

つまり日本著作権法がAIの機械学習を保護している。


著作権法 第三十条の四

著作物は、次に掲げる場合その他の当該著作物に表現された思想又は感情を自ら享受し又は他人に享受させることを目的としない場合には、その必要と認められる限度において、いずれの方法によるかを問わず、利用することができる。

ただし、当該著作物の種類及び用途並びに当該利用の態様に照らし著作権者の利益を不当に害することとなる場合は、この限りでない。

二情報解析(多数の著作物その他の大量の情報から、当該情報を構成する言語、音、影像その他の要素に係る情報を抽出し、比較、分類その他の解析を行うことをいう。第四十七条の五第一項第二号において同じ。)の用に供する場合


「当該著作物」を享受について

「当該」とは学習に使われた元の著作物

「元の」著作物において表現された思想又は感情、すなわち本質的特徴(画風ではない)

「生成物」を享受する目的

つまり学習対象著作物の著作権を侵害すると評価できるような、類似表現を出力する目的を伴って機械学習を行う場合は享受目的が併存する。

当該著作物を享受する目的(例、鬼滅の刃1巻を機械学習させて、鬼滅の刃1巻がそのまま読める生成物を作ることを目的に作られた)AIモデルは違法になるが

当該著作物を享受しない目的(例、鬼滅の刃1巻を機械学習させて、鬼滅の刃風の画風になる)AIモデルは違法ではない。

享受の意味については「AIと著作権Ⅱ」で文化庁の詳しい解説が視聴できる。

よく言われている「絵柄を享受できるから絵柄LoRAは違法」「絵を見るのは享受だからAIイラストは違法」などは間違った認識である。


またAI生成物は手描き同様、類似性と依拠性があり裁判所が著作権侵害だと判断した場合のみ著作権侵害になる。

(例、鬼滅の刃を機械学習していないAIモデルだとしても、

「生成者が鬼滅の刃1巻を知っていて(依拠性の肯定)、鬼滅の刃1巻がそのまま読めるような形で(類似性の肯定)AI生成物を製作した場合などは、生成者が著作権侵害をしているという判断になる)


現在の日本の法制度上は、ネットに公開されているあらゆる情報の機械学習に事実上歯止めはない。

確かに規約で無断学習を禁止しているサイトもあるが、実態としてはほぼ無視されている。pixivのようにWebスクレイピングを技術的に制限しているイラスト投稿サイトであっても、転載サイトを利用するなどの抜け道を使って学習させている。


「AI学習」の定義について

主にイラスト系の生成AIに反発する人が挙げる「AI学習」について、実際のところは「i2i(image-to-image)の機能の参照元にする行為」「大規模データセット・基盤モデルのための情報解析行為」「画風LoRA(Low-Rank Adaptation)」作成のための比較的少数の情報解析行為」が区別されず混ざっていることが多い。


i2iの機能の参照元にする行為

いわゆるトレパク・構図パクに近い結果がもたらされやすいのが一番目の行為で、こちらは現行の著作権法でも類似性・依拠性があれば著作権侵害もしっかり認められる。

ただし単にi2iの参照元にしても、2024年時点の技術でも「実写おじさんの写真を元にi2iし2次元美少女のイラストを生成」といった行為が可能で、元の画像との類似性がなければたとえi2iに利用されても直接に侵害が認められることもなく、そもそも利用されたこと自体に気づくのが困難である点には注意されたい。

これは手描きでも「ネットで拾った実写の写真を資料にして2次元美少女を描く」行為に近い使い方とも言える。

(低ノイズでi2iした場合は元の著作物の類似性を維持するが

高ノイズでi2iした場合は元の著作物の類似性を維持せず、類似性そのものが消滅するため著作権侵害とならない)


大規模データセット・基盤モデルのための情報解析行為

イラスト・画像の解析だけを特別視しようにも、画像に関わる大規模データセットも文字通り数十億単位のデータを解析しており、この中でせいぜい十数枚のイラストが何かあるかというと厳しいところがある。一応、自民党の赤松健議員は講演でクリエイターへの利益還元のため公式絵柄LoRA(こちらは後述)や絵師版のJASRACのような組織を作ろうという提言をしているが、反AIの反対もあり2024年秋の時点で前向きな進展はない。

どのような経緯だったかは反AIの項を参照。


狙い撃ちLoRA作成のための比較的少数の情報解析行為

三番目はいわゆる絵柄パクがもたらされやすい。しかしpixiv百科内の絵柄パクの項目でも解説されている通り、単に画風・絵柄が似たものが出されるだけではそれ自体で侵害行為として認められる可能性は極めて低い。

これは人間によるパクリの場合と同じ運用がなされると解釈されるため、なりすますアカウントを作り作者を偽って投稿、といった問題行為があれば著作権それ自体とは別件で罪に問うたりSNS管理者・運営会社に対応を求めることができる可能性はある。

また、漫画ONEPIECE公式にて写真を尾田栄一郎っぽい画風に変換する「似顔絵メーカー」、

声優業界では梶裕貴氏が関わっている「梵そよぎプロジェクト」のようにいわゆる「公式LoRA」や関連サービスを公開している場合、データセット等が競合するとして現行法でも明確に「ただし、著作権者の利益を不当に害することとなる場合は、この限りでない。」に抵触すると解される。

(例、AI画像生成サービスがワンピース風LoRAで商売を始めた場合、ONEPIECE公式側が損害賠償を請求する事が可能になる)


pixivにおける対策

ピクシブにおける不当な目的での作品取得行為に対する対策技術について


外部サイト

note-bioに「AI学習禁止」と書くのはやめた方がいいと言う話

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