概要
AI(人工知能)による画像、文章、音声、動画生成に反対する思想運動。
AI技術が人間の創造性や個性を奪うと主張し、AIによって生成された作品を排除しようとする運動。
またAI使用作品が人権侵害や著作権侵害などの問題を引き起こすと警告し、AI技術の倫理的・法的な規制を求める運動。
及び、上記の目的のため、主にAI利用者とAI利用企業、実際にAI使用したかの有無にかかわらずAIを使用しているとみなした人を攻撃する人達の呼称。
※現在の無断学習AIに批判的であることを自認する立場の人からは、全てのAIに反対する訳では無く、データの無断学習を行った生成AIについてのみ反対しているため『反AI』という呼び方は適切でない、としてAI慎重派、生成AI反対派、無断学習反対派、規制派などの呼称を提唱している。
ただし、AI規制派を名乗る反AIの問題行為により「AI規制派」にも反AI同様の侮蔑的なニュアンスを含む使用法が増えてきている。
生成AIの是非については世界中で巻き起こっている議論であるが、日本の漫画、同人、アニメ等では
・二次創作に寛容
・それでいて絵柄やアイデアについてはオリジナルを尊重することが求められる(詳しくは絵柄パクを参照)
・海外の様にフェアユース(一定の条件を満たしていれば、著作権者から許可を得なくても著作物を再利用できること)の考えがない
などの著作物をめぐる独特の風習が根付いている。これは日本の著作権法の規定とは必ずしも一致しないため、従来の「業界の常識」の中で育ってきたクリエイターと、そのような不文律を知らない業界外の人々(海外ユーザーを含む)との軋轢が目立っている(外部サイトも参照)。
※一般論としてこのように"荒れている"話題においては文化庁が提供する資料等、一次情報や専門家の知見を参考にされたい。
匿名性の高いSNSや個人が編集したwiki、メディアによる二次的な解釈は信憑性が低くなることに留意すること。
反AIの語源
「反AI」という単語は生成AI登場前から存在していた。
また反AIも2023年1~2月頃まで、自分達を「反AI」と自称していた。
しかし、反AIの誹謗中傷、ネットリンチ、人格攻撃で「反AI」という単語の印象が悪化し
2023年3月頃を境に、反AIはAI規制派などと自称するようになった。
「反AI」という単語の扱いの変遷
確認できた最古の反AI呼称は、
人工知能学会誌の連載「AIにおける論争」〔第1回〕黒崎 政男
人工知能学会誌(1986~2013, Print ISSN:0912-8085)1987年12月号
に AI反対者の名称として「反=AI論者」という言葉が出てくる。
「反AI」はAIを題材にしたVivyやAI崩壊など、SF作品において「AIに反対する架空の組織や思想」を指す言葉として用いられてきた。
また、2022年頃には画像生成AI、Midjourneyなどが登場し、SF作品と現実を絡めて「反AI」の登場を予測するツイートが増加した。
「仕事がなくなって、反AI勢力が誕生するSFが絵描き界隈で起こりそう」2022年1月3日
2022年8月29日 AI画像生成サービスmimicβ版が公開
mimicβ版に批判的な言動をした者を反AIと呼んでいるのが初めて観測される。
「イラスト提供したクリエイターまで叩くとか反AI正義マンやばすぎて草 過激な市民活動団体とかと何も変わらんやんけ やっぱ人間が一番こわいし醜い、はっきりわかんだね」
反AI since:2022-8-1 until:2022-9-1
2022年12月13日頃から始まった、オンラインアートコミュニティArtstationを発端としたAIイラストに反対する活動「NOAI運動」が、
2023年1月25日にイラストレーターのよー清水氏(@you629)によってツイッター(現X)上で
と投稿し、NOAI運動=反AI として紹介し、AI反対派推進派間に「反AI」という単語が一気に広まった。
この頃、ツイッター(現X)上で生成AI反対運動をしていた反AIも自分自身を反AIだと認識している。
「海外のほうが反AIって方が多いので」2022年10月28日
「でも反AIが増えてて本当に嬉しい😭😭😭😭おおおおおんんんん😭😭(泣)」2022年12月18日
「こちらの方は他の方の作品もAIによる改変をした盗作をしていましたね… AIを悪用する連中はこうして反AI派を攻撃してくるのでサブアカウントからの報告になり申し訳ありません…」2023年1月27日
これは、2022年頃は「反AI」はAI反対運動としての意味合いが強く
AI反対運動としての反AIと、AI使用者に対して攻撃的な言動を取る人達に対する呼称(反AI過激派、反AI派等)は呼び分けられていたからである。
しかし、Mimic炎上事件、クリスタのSD仮実装潰し、赤松健議員への誹謗中傷といった
反AIによる事件が起こるたびに「反AI」という言葉そのもののイメージが徐々に悪化し、「反AI」という単語が「AIに対して攻撃的な言動を取る人達」の意味合いを持って使われる事が多くなった。
そのため2023年3月頃より、反AI達は「私たちは反AIではなくAI規制派、AI慎重派である」「反AIはレッテルである」「反AIという単語を使用する人は差別主義者である」と主張するようになった。
理由は「全てのAIに反対している訳ではなく、AIイラストや無断学習される生成AIにのみ反対している」「ディープフェイクなどAI犯罪行為に反発している」というものである。
「「フェミニスト」を名乗ってヘイトをバラ撒く人のせいでフェミニストって名乗れないのと同じ問題が発生しつつあるよね、反AI」2023年3月31日
「反AIと雑な括りはやめた方が良いですよ」2023年3月31日
反AIの主張
著作権法の理解不足に起因する主張
反AIは総じて著作権法の知識が不足しており、いついかなる状況でも著作者が著作物について無制限に権利があるという考え方の傾向がある。
この誤解に基づき「無断で学習されたAIモデルとAI生成物は著作権違反」であり、違法なAIを使用する「AI使用者は犯罪者」だという主張。
(日本著作権法には「制限規定」というものがあり、当該著作物を享受する目的でなければ
機械学習など情報解析のために、著作者に無断で複製行為を行う事が可能である。「当該」という点は特に誤解・読み飛ばしされることが多く、「(AIで作られた)元絵に画風やアイデアだけは似た絵」および元になった画風は「当該著作物」にあたらない。)
「絵柄が保護されないのはおかしい」「生成AI問題に対応した著作権法がない、立法をすべきだ」「生成AIに対する法整備が遅れている」「著作権法30条の4を改正すべきだ」という法律そのものに不備があり、現状合法なAIを使用しているAIユーザーを指し「AIユーザーは脱法行為をしている」とする主張。
(日本著作権法はAI普及のため、著作権法の一部を改正する法律(平成30年法律第30号)が生成AIの普及に先駆けて制定されており、少なくとも生成AIに対する法整備が実施されていないか、又は遅れているという事実はない)
海外の著作権法と日本の著作権法を混合し「著作権法に違反している」という主張。
(海外では日本の様にAIに対応した著作権法整備が進んでおらず、
特にアメリカでは機械学習時のデータセット制作時に複製行為を行う事は
フェアユース規定に相当するか否かで裁判が進められている、また2024年11月にはそのような裁判の一つについて、AI開発企業側が勝訴している。)
またEUでも「AI規制(AIAct)」に関する話が進んでいる点を持ち出すことも多い。
(ただしEU案は、反AIがよく掲げる「無断学習禁止・海賊版対策・(主にイラスト系の)クリエーターの保護」とは関係がない。)
これらの著作権法の無知・無理解に基づいた主張は、文化庁の籾井著作権課課長に「知識基盤のレベル合わせができていない」と評された。
(この発言の背景には反AIが総務省当てに怪文書を送っていた事、文化庁の募集したパブリックコメントに非常識な文章を多数投稿していた事などがあり
「知識基盤のレベル合わせができていない」人とは反AIの事を指している。
また籾井圭子著作権課長はニコニコ動画の生放送(2023/11/29)に出演した際に、コメント欄で暴れる反AIに「(反AIの)狭い世界ではなく大きな枠組みで物事を考えて欲しい」「そういう閉じた世界ではなくてですね・・・」と述べ、反AIへの直接的な苦言を表明している)
著作権法の不理解による主張は政府批判と結びつきやすく、AI使用者が犯罪者であるという主張は誹謗中傷問題に発展しやすい。
利用者がやったことの責任もAI開発者が負うべきとする主張
生成AIに関連して侵害行為が発生する場合、その行為の主体は「AI開発者」「AI利用者」で分類できるものとして整理されている。
例えば「高頻度で学習元画像が出力されるAIを作り出した」場合の主体は前者、「AIに指示して著作権侵害コンテンツを作成し、さらにSNS等で公開した」ならば後者である。
しかし反AIはこういった基本的な整理をせずに、「新しいAIが公開されると、検証と称して自分自身でピカチュウ等の画像を作成・公開し、その結果をもってAI批判」といった行為が散見される。この例の場合、ピカチュウ画像が誰かの特定のイラストと合致するようなものであると示せるならば「AI開発者」が主体の侵害行為とみなせる可能性があるが、それ以外のだいたいのケースは作成・公開した「AI利用者たるその反AIユーザー」自身が主体となる侵害行為である。
生成AIの構造に対する知識不足に起因する各主張
- AIモデル内部に圧縮された学習元が存在するという誤解に基づき「AI生成物はコラージュである」「AI生成物は複製である」「AIモデルは検索機である」といった主張。
- Stable Diffusionをはじめとする画像生成AIのトレーニング用に使われている「LAION-5B」というデータセットに、児童性的虐待画像(CSAM)が含まれていた問題と合わせて「AIモデル内に児童性的虐待画像が入っている」「児童性的虐待画像で学習されたAIイラストは児童性的虐待画像である」「ゆえにAI使用者は性犯罪者である」という主張。
(モデル内部に画像は無いので、この主張は的外れである。またSDは機械学習時に不適切な画像を除去してから学習している事を公表している
仮にモデル内に画像が再現可能な形態で入っているとしたら、数億の画像を数十GBに圧縮するというトンデモ技術が実現していることになる。)
- 「データセットを開示せよ」「問題画像が含まれているならオプトアウト(データセットから除去)せよ」という主張
(AI生成物が版権キャラクターや特定作家と似た画風を出力するのは、無断転載された画像で機械学習されているためだと信じているため)
- AIモデルの取り扱いを免許制にすべきだという主張。
(ローカルモデルが世界中に普及している今、現実的ではない。)
- あらゆるAIコンテンツにAI製と表示すべきだという主張。
(ゲームやスマホやカメラの高解像度化などにも生成AIは活用されている事を無視している)
反AIの主張の原因
- 生成AIへの生理的な不快感
イラストの技術や質を評価するのではなく、心理的に不快だという理由で「生成AIの使用そのもの」を否定することが動機になっている。
- 反AIにとって生成AIは「穢れ」として捉えられており、穢れた生成AI利用者を社会的に孤立させようとする。
そのため、一度でも生成AIを活用したのならクリエイターでもあっても「この人は異常者なのでブロック推奨」「生成AIを使用したクリエイターはクリエイターではない」という主張。
- 人間の手で作られたものとAI生成物との区別がつかず騙されたように感じる、 AIの能力が人間と同列に扱われることへの生理的な不快感。 (参考:pixiv百科内自作発言)
- 絵が描けることで特別扱いされていた立場を、AIに奪われると感じ自尊心が傷つけられた。
- AIによる迷惑行為の被害者になった(なるかもしれない)
- 無断で自身の著作物をi2iされる、自身の絵柄や声や容姿を許可なくAIで模倣された、なりすましを受けた。
- 自身の著作物でなく、好きな絵師・声優等がそれらをされることを嫌がるタイプも存在する。
- 無断で自身の著作物をi2iされる、自身の絵柄や声や容姿を許可なくAIで模倣された、なりすましを受けた。
- 新技術が犯罪に使われるなど、社会情勢悪化への懸念
- ただし警視庁はAIで防犯や捜査を行っており、郵便番号の文字認証は最古の人工知能であるため我々の生活にコンピューター技術は知らずのうちに浸透しているため線引きが難しい。
- AIにイラストレーターの仕事が奪われるのではないかという懸念
- この主張は19世紀初頭において発生したラッダイト運動と比較される。
- サービスの利用規約を読まない、読んでも規約の方がおかしいと開き直る自己中心的思考
反AI活動の発端
日本における昨今の反AI活動はAIユーザーへの誹謗中傷から始まった。
2022年7月31日、ゲームクリエイター852話氏がツイッター上で
Midjourneyβで生成したAIイラストと共に
「AIで自動生成した画像 一切加筆と加工をしていない直データ やばい 本当にやばい 廃墟イラスト完全に勝てない 廃業です 神絵が1分で生成される 参った #midjourney」
と投稿し話題となった。これに絵師を中心に「絵師が廃業するわけがない」と激しい反発が起き、この件以降852話氏がAI生成物を投稿するたびに反発が起き、2022年9月頃に852話氏の自宅を特定した反AIが押し掛け奇声を発しながらドアを叩く警察沙汰になり、852話氏は引っ越しを余儀なくされた、
また仕事用メールやDM、まとめサイト、匿名掲示板等に殺害予告を含む大量の誹謗中傷が投稿されていた。
この頃、他に誹謗中傷を受けたのは、2022年8月10日Midjourneyで生成したAIイラストで『サイバーパンク桃太郎』を発表した作家兼漫画家のRootport氏や、
2022年8月31日イラストレーターのさいとうなおき氏が「AI全般について、そういう技術が現れてしまった以上は時間を戻すことは出来ない。なので、それありきとして表現を考えていかなきゃなって思う。」という投稿など、
画像生成AIに初めて触れたクリエイターがAIの能力に驚愕し、クリエイターの未来について「絵師中間層(プロ絵師とアマチュア絵師の中間)は消滅する」「クリエイターはAIに代替えされる」など
悲観的な見解を寄せた事に反発する形で誹謗中傷や人格批判が行われた。
2022年の画像生成AI初期は、「AI使用者が絵師を馬鹿にしている」「AIが絵画の制作を完全に代替することはあり得ない」というのが反AIの論調だった。
確かに2022年初頭ごろの画像生成AIは未熟であり、クリエイターがAIによって置き換えられるという見方は難しいとされていた。
反AIの活動
長くなったため、反AIの事件に関しては、別記事反AIによる事件一覧にて記載する。
ここでは、まっとうな手段で行動しているもののみを記載する。
日本俳優連合の #NOMORE無断生成AI 運動
日本俳優連合は生身の俳優たちが所属する団体なのもあり、以前より「AI生成物の著作権を認めるべきでない」「パブリシティ権の強化」などを訴えでている。(「AIと著作権」に関する意見を文化庁へ提出しました)
他に各政党へ「生成AIについての公開質問状」を送付など、政治を通した人間の地位向上・権利保護のための活動も努めていた。
そして2024年夏から秋にかけてTwitter(現X)上ではタグ#NOMORE無断生成AIを用いて、有名声優にメッセージを出してもらう動画も発表している。
当初は上にあるよう「AI生成物の著作権を認めるべきでない」など強めの主張も目立ったが、2024年秋現在だといわゆる狙い撃ちLoRAによる学習元への不利益に対する問題提起に焦点を絞りつつある。完全禁止・排除でなく、適切なルール作りという路線をとっており、これは梶裕貴氏や野沢雅子氏の「公式の声AI」を制作し、非公式・海賊版LoRAに対抗しつつも今後の発展に繋げる活動にもつながっている。
「AI法」署名活動
2023年6月8日、オンライン署名サイトchange.orgにて「「AI法」を作り画像AI生成からクリエーターを守りましょう!!」署名が開始された。
「コンテンツ生成AIは著作権法30条の4の権利制限の対象外に変更する」「原則オプトインの義務化」「データセットの開示を義務化」「AI生成物におけるAI製明示の義務化」「AI生成物に関してのみ、親告罪ではなく非親告罪とする法律」などを要望している。
なお「※こちらはあくまでも要望であって、この案のまま法整備されるというものではありません。」とも述べられており、この注意書きに関する経緯は反AIによる事件一覧にて解説している。
パブリックコメント等の呼びかけ
パブリック・コメントとは、一般人が行政に意見を直接届けることのできる制度である。
これで生成AIに関わりそうな内容の募集が始まった際、周りに呼びかけ実際に応募するのもひとつの活動である。
残念ながら「AIと著作権に関する考え方について(素案)」のパブリックコメント募集の際には、反AIにより不適切な内容が大量に送られた。
またこのパブリックコメントのまとめが初めて公開された際(2024/2/29)、内閣府が内容を改竄していると反AIが騒ぎ、くりした議員に
「内閣府の人嘘ついてる?」と引用RTしたため、パブリックコメントが全体公開された。
反AIの問題行動
クリエイターに対する魔女狩り行為
AI生成に難色を示す人々が、モラルやマナーや規約を守らないAI生成画像利用者の排斥に過熱した結果、本来の意図から逸脱し、魔女狩りのような行為に発展しているケースも見られる。
また、AIにありがちな絵柄や絵の破綻を根拠に、クリエイターに対してAIを使った嫌疑を掛け攻撃する者もいる。
確かに「ぱっと見でAIっぽいと分かる絵柄や絵の破綻」こそあるものの、それが該当しているからといって必ずその絵がAI生成物であるとは限らない。
前述の通り、AIは膨大なデータを学習して平均値を出力する性質上、AIに似せられたオリジナルが最も多い絵柄パターンでもある。
特に、流行りの絵柄に合わせようと努力してきた人はこの状態に陥る可能性も高く、「元からAIの絵柄に似ている人(AIに似せられた側の人)」は少なくない。また流行りの絵柄を作った側、源流になったゼロ年代エロゲ会社オーガストの新規イラストが炎上させられた事例もある。
別パターンとして、AI生成画像普及初期に見られたような、ラーメンを手で食べたり箸が5本あったり、背景の構造物が物理的にあり得ない構造をしていたり等の作画ミスの部類を根拠として、AI生成だと決めつけられてしまうケースもある。
流石に箸5本とかはあり得ないとしても、指の数が1本違ったり、パースが狂って背景の建物の大きさの整合性が取れていなかったりする程度ならば、昔から手描きイラストでもままあった事例なのだが、この手の作画ミスが1つでもあると「AI生成だ!」と即座に糾弾する人間が残念ながら存在する。
pixivの対応への不満に起因する批判
多くの画像投稿サイトではAI生成イラストが一気に増え始めた際、従来では考えられないほどの大量連投、サーバー負荷の問題が起きた。PixivではAIイラストを禁止せず、代わりに「AI生成」のカテゴリを追加、投稿の際にAI生成か否か必ずチェックボックスを入れる仕組みを導入するにとどまった。
Pixiv事務局は2022年10月22日AI生成作品の取り扱いに関するサービスの方針についてを発表。
この方針により、従来のイラストとAIイラストは住み分けられることになった。
また、Pixiv事務局は「この先、創作過程におけるAI技術の利用がより普及していくと捉えており、AIが関与した成果物の完全な排斥は考えておりません」「AI技術は(中略)クリエイターを大いに助ける技術となり得ると考えております」と述べた。
しかしこれを受けて、AIイラストを排除する方針を取らずAIイラストとの共存を謳ったpixivに対し強い不満を示した反AIは、pixivを批判し始めた。
(なお株式会社pixivは生成AIが問題視される2022年以前から自動着色サービス「Petalica Paint」を運営しており、そもそもAI推進企業サイドである。)
生成AIにまつわる法への理解や共存を示した人への異端者狩り行為
反AIは「生成AIの存在を許さない・全否定でないと認めない」といった思想が強く、例えば「完全に無くすのは無理なので、悪用には警戒しつつ適切な活用や利益還元の方法を模索しよう」「手描きならではの強みや味わいを模索しよう」といった立場であってもネットリンチに及ぶ例がいくつもある。燃やされる側は個人ユーザーから大御所クリエイターまで幅広い。
「じゃああなたの作品をAIに食わせますね」といった脅しじみた文句をつける反AIも多い。また音楽や動画といったイラストとは違った分野の人の場合は「イラストの現状を知らないんだ」もお約束、さらには比較的近しい分野であるマンガ家相手でも「マンガとイラストは違うんだ」等都合よく切り離してくる。また知名度がすでにある相手だと「あなたはもう地位が安泰だからそんなことが言えるんだ」もよく見かける。
国会議員であり漫画家でもある還元案など考えを提示した赤松健氏、NOMORE生成AI運動の動画で「歩み寄り」のワードを出した浪川大輔氏、日本漫画家協会常務理事であり当人はAIにも二次創作にも難色を示しているが現状把握もしっかりしている森川ジョージ氏、FANBOX記事で「ツールの一つでありクリエーターの未来が狭まっていくというものではない」と述べてたさいとうなおき氏、「写真があっても画家は絶滅してません。」と述べた岡本倫氏など。
排斥に用いる方法が不適切
これは論ずるまでもなく、手段が間違っていればたとえ真実を訴えていても問題である。
暴言や荒らし行為、各種サービスの規約違反行為などが相当する。
- AIイラストの魔女狩りにて、タイムラプスや作画経緯の配信アーカイブ、psdファイル公開などの証拠を提示しても尚、AI認定を続ける、単純な暴言を続ける、といった行為。
- HIVE等のAI判定サービスに他人の画像をアップロードする規約違反行為の横行
- 企業や自治体から依頼を受けて描かれたイラストが炎上した場合、真実がどうであるかではなく取り下げてしまい、それを以て叩きが加速する問題。
- 画像生成AIでの新サービス、新機能が発表されるたび、暴言や根拠を示さず違法だといいがかりを付ける行為。
- 不適切記事の乱立。pixiv百科内にてAI盗作の記事およびその子記事にAI絵師(トレパク師)、AI絵師(盗作)がある。現在は削除記事のツリーに入れられている。
- 白紙化荒し。この反AI記事も何度もコメント欄での議論を経ずに白紙化を受けている。
他所の団体や運動へのフリーライド・乗っ取り
日本俳優連合の #NOMORE無断生成AI運動については前述した通りである。
だが反AIユーザーが#NOMORE無断生成AIタグをいわゆる魔女狩り・AIユーザーへの誹謗中傷ポストにも利用する、基盤モデルへの学習をも制限する強い主張にも利用するなど、団体が地道に積み上げようとしている信頼やメッセージを損なうような行為が目立っている。
さらに浪川大輔氏のメッセージ動画で「歩み寄り」といった生成AIを全否定しないワードが出たことで過激派の反AIユーザーが批判した出来事もあった。
なおX(Twitter)の規約が11月15日で変更されることに起因する騒動の中で「Xの規約変更を受けて投稿を削除する。Youtube、TikTokではそのまま」と投稿した上の声優メッセージ動画などを削除した。この行動を受けて「問題は追加学習だったのでは」「梶裕貴氏などの公式AI作成の活動との整合性が取れていないのでは」「規約や関係各社が公開している生成AIを考慮するとYoutubeやTikTokの方がむしろ危険なのでは」といった疑念の声が上がっている。
中にはタグの「『無断』生成AI」というネーミングがいわゆる「無断学習」「無断転載」等と語感が近いゆえに著作権法含めた現状や運動の真意への理解が浅い過激なユーザーを引き付けているという指摘もあるが、名称を変更する様子は見られない。
他には森川ジョージ氏が常務理事の日本漫画家協会に生成AI関係の問題を「解決」するよう押し付けも見られる。森川ジョージ氏以外にも役員はいるが、森川ジョージ氏がX(Twitter)でよく発言するタイプなので関連して語られることが多い。
定款には「公益社団法人日本漫画家協会は健全なる漫画の普及に関する事業を行うと共に、漫画創作活動を奨励し併せて諸外国との漫画文化の交流を図り、漫画に関する調査研究を行い、もって我が国文化の発展に寄与することをもって目的とする。」(漫画家協会サイトより)とあり、労働問題の解決は主題として据えていないことが分かる。
著作権等管理事業も行っているが「著作権に関して利用者に許諾する業務を漫画家さんに代わって漫画家協会が行い、利用料を徴収、委託者に分配する仕組みです。つまり、許諾代行が漫画家協会でできるようになったというわけです。」とあり、生成AIとは直接的な関係が薄いことがやはり分かる。
デマの拡散
世の中のトラブルは無数にあり、クリエイターには関係するが生成AIには関係ない事案も無数にある。
だが反AIはしばしAIと関係ない、あるいはAIが関わっていてもそこは問題の本質でない事案をAIと結びつけて飛びつくことがある。また著作権法や生成AI技術に関するデマもよく広げている。
- 「AIイラストに著作権はない」「学習されない権利がある」といった著作権法デマ
- 「生成AIはコラージュである/検索機である」「タイムラプス公開すると学習される(公開を迫るのはAI推進派の陰謀である)」「手描き偽装のための機能がある(タイムラプスっぽいものができるPaintsUndoやcopinter等のレイヤー分け機能)」といった生成AI技術に関するデマ
- 単なるトレパク疑惑炎上に、AIを関連づける行為(一例(togetter))
- 2024年11月のマンガ図書館Zが閉鎖騒動に伴う、親会社の生成AIコンテンツ販売が原因というデマ拡散。詳しくは反AIによる事件一覧より
- 書籍「荒木飛呂彦の新・漫画術 悪役の作り方」からAIに否定的な内容のページのみを切り抜いた事案。反AIによる事件一覧より
- ある加筆修正の過程の投稿が炎上した際に「pngはイラスト専用の拡張子(魚拓)」「使用ツールはSD(※stable diffusionの省略形)と書いてあるが、『AI』とは書いてないのでこれはツール詐称(XのCN機能より、役に立たなかった欄にて)」といった珍説
また2024年11月15日にX(Twitter)の規約が変更され、全ての投稿物がAI学習されるとして(実際はオプトアウトが可能だった)イラスト界隈はパニック状態に陥った。
無意味な「AI学習禁止の意思表示、技術的な予防にウォーターマークが有効(※Graze等の学習阻害ツールではなく、文字を被せる狭義のもの、当然、学習予防効果は無い)」「BlueskyならAI学習される心配はない(実際はBlueskyはAPIを開放しているためXよりも機械学習されやすい)」といった根拠のない情報が飛び交うことになった。
外部サイト
日本人クリエイターが持ちがちな"自身の生み出す著作物に対する極めて独占的かつクローズドな考え方"は、自分にとって非常に理解し難いものがある、という話
関連タグ
人工知能 AIイラスト 生成AI 反ロボット主義グループ 正義マン
フェミニスト共通点が多い。
絵柄パク…法的に問題がなくとも、「他者と絵柄が似る・他者から絵柄を取り込んで似せる」ことはモラルやマナーの違反であるとする思想であり、「無断での学習」や「絵柄を似せる行為」などを問題だとする反AI思想の祖先と言える概念。生成AI以前から存在した。
反反AI…反AIを良く思わない人