ワカバ(ケムリクサ)
もうひとりのわかば
※この項目には、アニメ『ケムリクサ』の物語の根幹に関わるネタバレを含みます。
「りりは一人になるの人一倍こわいよね...?」
「気づいてあげられなくてゴメンね...ボクのせいだ。」
「駄目だったときは...好きなことをして、楽しく生きて...!」
概要
CV:野島健児
「ワカバ」はEDクレジット表記であり、片仮名なのは現在のわかばと区別する為であろう。
性格は大人の責任感を感じさせる点以外は現在のわかばとほとんど変わらず、他人の過ちに対しても責めるどころか、むしろ優しく励まして慰めるくらい落ち着いている。
彼がこの地球に来た目的は「地球の文明の成果を文化財として転写保存する事」であり、2019年までの日本各地の建造物および地形を複製する業務を行っていた。
その転写方法は我々が知る3D印刷とほぼ同じで、インクやトナーに相当する物もケムリクサであるなど、全ての作業工程をケムリクサというマテリアルに頼っている。
その作業をサポートする役割のドローン(=ムシ)達からは「船長」と呼ばれている。
「途中経過」という台詞から、過去に何度も転写作業をしていると推測されるが、今回の作業はかなり大規模で、この地球では日本の国土全体(少なくとも関東から九州までの範囲は確認)を復元するという途方もない事業をほぼ一人で行っている。
一方で、「自分が呼ばれた」というセリフからこの仕事が自身の目的というわけではなく、彼にそのような指示を出したであろう第三者の存在が示唆されているが、それが一体何者でどういう理由で彼にそんな依頼を行ったのかは最後まで言及される事は無かった。
また、彼自身も自分が使用しているケムリクサという存在について完全に理解、把握しているわけではないようで、以前からこういう復元の仕事をしている職人が平行してケムリクサの研究もやっているのか、逆に本来は純粋なケムリクサの研究者だったのが何かの理由でそれとは関係のないこの業務に駆り出されただけなのかは定かではない。
当時はヌシと呼ばれたシロ達に船長と呼ばれていた理由は作業に使っていた道具が“浮遊型ケムリクサで浮かせたBWEの残骸”で、それが飛行船の様に見えたから、あるいは転写作業をしている空間そのものが"お船(りり曰く)"だからと思われる。
本編での顛末
ある時、何かの転写作業中にイレギュラーな現象が発生し、地球人の少女であるりりをコピーして蘇生させてしまう。
それから彼女と生活を共にするようになるが、純粋で明るく、さらに自分でも気づかなかったケムリクサの新しい扱い方まで見出すほど聡明な彼女を自分の娘か妹のように可愛がり、次第に両者は家族のような関係を築いていった。
しかし、この仕事はワカバにとって非常に負担の掛かる激務であり、時々緑のケムリクサのエネルギーを吸引して体力の補給を行いつつムシ達と一緒に復元作業をこなしていたのだが、そんな過労気味のワカバを身を案じ、りりはケムリクサの転写能力を抑えるつもりで新しい色、赤のケムリクサを作り出すも、それが想定外の働きを起こして空間全体を汚染する事態に発展してしまう。
ワカバは事態の収拾とりりの安全を確保する為に彼女を一番離れた島(後の一島)に転移・避難させた後、赤のケムリクサに確保した水を使い切らせない為に(赤霧の中では発芽すら出来ないので)自身を“プランター”にして緑のケムリクサを生長させ、そこで事実上死亡した。
その現場こそ現在の七島であり、その地表に放置された白衣は彼の物と思われる。
現在のわかばとの関連性
赤のケムリクサを止めるためりりと別れる際に発した「時間はかかるかもしれないがまた逢える」という台詞から、自分が消滅してもいつか彼女とは再会できると踏んでいた節があるが、それがどういう意味だったのかは、それがりん達姉妹の前に現れた「わかば」とどう繋がっているのかは作中では直接描写されていない。
第一話でりつが「ミドリちゃん」と呼ぶ六島から拾ってきた木の枝から落ちた葉が水槽に落ち、そこからわかばが誕生した事が示唆されており、視聴者の解釈ではその「ミドリちゃん」こそ七島でワカバが変異したミドリの木の先端部分であり、“「ワカバ」は自身のデータをケムリクサの中に保存させ、その情報を含んだ葉が水分を吸収して肉体を再構成したものが「わかば」である”という見方が強い。
しかし複製は完全にとはいかなかったようで、再生したわかばは等身が子供のサイズまで縮んでしまい、さらに過去の記憶をほとんど全て喪失した状態になってしまった。