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──過去を変える事は自然の摂理に逆らうこと

つまりは「神に逆らう」ことだ──


どんな危険な事があるか解らない

だから俺は生半可な報酬では動かない


それこそ、あんたの人生を投げ出すほどのギャラを貰わないと割に合わねぇ


──それでも変えたいのか? その過去を

「あんた」が、この世界から消えるとしても?



週刊少年ジャンプ1991年26号から48号まで連載された飛鷹ゆうきの漫画作品。単行本は全4巻。作者の連載デビュー作。


作品概要

タイムテレポート(時間移動)の超能力者である刹那零が様々な悲劇に見舞われた依頼者(ゲストキャラ)から歴史改変の依頼を受け、依頼者の悲劇を「なかったこと」にする物語。

改変後の歴史で救われる依頼者たちの姿と、それを見守って達成感を感じる主人公の姿に、清涼なカタルシスを感じる事が出来る作品で、その部分が大きな魅力となった作品である。


連載途中から(同じ雑誌に連載されてた某名作の影響をモロに受けてしまったのか、テコ入れのために)「ライバルの登場」に伴う「バトル展開」および「特訓展開」と「アイテム探し」の要素を取り入れた「漏尽珠編」が始まったが、作品の方向性がガラリと変わってしまった(特に作品の一番のウリであったカタルシス性が脆弱化した)事で作品の独自性を失い、同編が終わったと同時に打ち切りの憂き目に遭った。

なお打ち切りとは言うが単行本全4巻出されているので、大抵は10週(単行本2巻)で終わる週刊少年ジャンプの連載打ち切り作品(しかも現在よりも打ち切り要件の厳しかったジャンプ黄金期作品)としては頑張った方だとも言える。

多少強引かつ駆け足ながらも張った伏線は自然な形で全回収されている上で「作者が作品を通して語りたかったテーマ(命題)もキチンと描ききっている」(いわゆるジャンプ打切の定形であるおれたた」になっていない)ので、その部分では他の多くのジャンプ打ち切り作品とは一線を画した「きちんとした」終わり方をさせてもらっている作品である。


あとカラシメンタイコキムチあえワサビラーメンという、どっか麻婆とタメを張るトンチキメニューが作品の名物(主人公とライバルの好物)であった。なお、このメニューにはラー油たっぷりぶっかけなるバリエーションも存在する。往時にはレシピを開発して自ら挑戦したツワモノもいた。


後述する作者の実績もあり、なんだかんだと言いながらジャンプ黄金期リアルタイム世代の間では「惜しい佳作」のひとつとして(『AT Lady!』や『かおす寒鰤屋』や『邪馬台幻想記』のように)話題にのぼりやすい作品のひとつである。


連載経緯

連載自体は上記の通り22週だが作者は実は本作のプロトタイプである『タイムウォーカー』を第37回の手塚賞に出しており最終選考で落選している。ゆえに飛鷹は、この作品を本作にて単行本収録する際に「これがボツ原稿の見本だ!」とのたまっている。しかし、この時点で本作を構成する基本設定は出揃っており、いくつかの相違点はあるものの本作本編の一部と言っても遜色ない出来になっている。


実は飛鷹、前回(第36回)手塚賞の佳作受賞者(「一条馨」名義)であった(この時の受賞作も本作の単行本に収録されている)。当然、ペンネームも前回受賞のものとは変えており、前回受賞で自らについた担当には無断で出したものと思われるがタッチは変えていなかった


かくて飛鷹は大慌てした担当に呼び出され最終選考には残ったが賞は取れない(正しくは「運営判断で取らせる事はできない」)事を「説得」されて作品を取り下げる事となり、その見返りとして同じ設定の読み切りを3回書かされる事になった。


その結果を経て上述の連載に至った作品である。


あらすじ

裏の美術界にて動乱の歴史から散逸した美術品を、その動乱よりサルベージするという裏商売を営む男、刹那零。そのがめつさと仕事の高額ぶりから「歩く請求書」とまで呼ばれる彼であったが、実は彼にはさらなる「裏の顔」があった。


それは過去に悔いを残し苦しむ者の依頼に応え歴史改変を行うという「神の摂理に逆らう」究極の裏商売。依頼が達成されれば「依頼した事実が消える」ため、その依頼料は前払い天井知らず。しかし苦しむ者は全財産を吐く覚悟で零の元を訪れる。


依頼人の悔いを胸に零は時を飛び、その時代ゆえの困難に(あるいは時に依頼人本人にさえ)立ち向かいながら、依頼人を苛む「悲劇の運命」に立ち向かうのである。


登場人物

刹那零(せつな れい)

本作の主人公。タイムテレポートの超能力を持つ能力者であり、その力を活かして「歴史から散逸した美術品を現代へとサルベージする」美術品サルベージ業を営む美術界の裏家業に生きる男。

業務が業務であるため美術知識や美術品の鑑定能力は一流。金にがめつく依頼料は超高額(数億クラス)で依頼達成後は技術利用料と成功報酬と危険手当の積み増し(こちらも超高額)を後付けで行う(結果、依頼料総額は当初の契約の数倍から数十倍に跳ね上がる)ため「歩く請求書」の異名を持つ。支払いを拒否してもタイムテレポートで、依頼者の倉庫から値打ちものを推定時価額による請求額分勝手に持っていくので始末におえない。

破格の能力を持つがゆえか燃費が悪く、並外れた大食漢であり美食家。その食への執念はぶっちゃけどっかの美食屋並。されど味覚破壊兵器も同然の例のラーメンを嬉々として何十杯も余裕で食らうあたり結構な辛党。

ダウンジャケット(あるいはダウンベスト)が大好きで夏でも着ている。ちなみに夏用ジャケットはドライアイスを仕込める特注品。(現代ならファンベストになっているかもしれない)

右手に六芒星のアザを持つが、これは超能力の発動に必要な生体エネルギーであるプラナの結節点であり、このアザが薄くなる(時に消える)と超能力が使えなくなる。

金にがめつく自信も無手勝に生きてきた自覚がある事から基本的に他人に冷たく非情な無頼……の"フリ"をしている。実は孤児の出身であり自分と同じ孤独と哀しみを背負う人間を放っておけない。要は本質お人好しの偽悪者だったりする。(ちなみに偽悪者を貫くのは自分で歯止めをかけないと、きりがなくなってしまい、自分が潰れてしまう事を防ぐための無意識のセーフティという意味もある)


火の車のおばちゃん(おばちゃん)

零の行きつけのラーメン屋「ラーメン火の車」を営んでいる女将。今は亡き先代店主(ダンナ)と共に店を立ち上げ現代まで守っている肝っ魂女将。

カラシメンタイコキムチあえワサビラーメンの提供者。零からは密かに「おばちゃん」と母代わりに慕われており、彼女のためならば零も自らの主義を曲げる事もやぶさかではない。ある意味、本作のメインヒロインかもしれない。

零の稼業の事は知らず、いつも羽振りの良い彼の事を不思議がっている。


漏尽珠編

一柳斉はるか(いちりゅうさい はるか)

漏尽珠編のヒロイン。占い師・一柳斎心坊の孫娘で中学生……だったのだが、零のお目付け役として彼と共に時空を越える旅に付き添った事でタイムパラドックスの影響から高校生になってしまった。(本当は物語終盤の展開の都合上ヌードを披露してしまった上で作者が同シーンにて思った程以上にはるかをグラマーに描いてしまい担当編集もろとも「この体つきで中学生は(集英社およびジャンプ編集部における当時のコンプライアンス的にも)無理でしょ」という事になり結果として大人の事情で設定を変更された)

自身もヒーリング能力を持つ超能力者。能力者の証である六芒星を左胸(心臓の上)に持つ。病弱な母を支えるために一柳斎家の家事を取り仕切る健気なしっかりものでもある。


一柳斉心坊(いちりゅうさい しんぼう)

娘(はるかの母)の命を助けるため、歴史の闇に埋もれて消えたプラナの凝縮体となるアイテム六つの宝玉「漏尽珠」を求め、その手助けをしてもらうために零に接触してきた占い師。チビでハゲで色ボケなファンキーじじい。彼自身も能力者で他者の心を読み取る読心能力(テレパス)の持ち主。能力者の証の六芒星は頭頂にあり隠すための帽子が手放せない。


九条京介(くじょう きょうすけ)

一柳斎心坊の弟子であり零と同じタイムテレポート能力を持っている。六芒星の位置は胸の中央。いきなり零の前に現れて「俺の邪魔をするな」と警告してきたが、その時の零はまだ騒動に巻き込まれる前で意味が解らなかった。後に零が漏尽珠探索戦に巻き込まれた事で、零のライバルとなってしまう。

心坊の弟子であるが自身の目論見のために師から離反し、心坊の元から漏尽珠の関連資料を持ち出して独自に行動を開始している。


時の番人(ときのばんにん)

漏尽珠探索戦において怪しい動きを垣間見せる謎の組織。「歴史(時)の支配」を目論み、そのために漏尽珠を狙っている。構成員は各時代に散っており正体を隠しているが、探索戦の実働メンバーは黒い一枚布をフードのようにまとっている。特に零に接触してきたメンバー(零いわく「時の番人A」)は零に瓜二つであり、六芒星の位置も零と同じ場所に持っている。

その正体は歴史の中で迫害された能力者たちの子孫たちであり、その中でも非能力者への報復と復讐を強く志向する武闘過激派。

また「誤解があるから迫害されるのであり、それを解いて非能力者の人たちと仲良くしていきたい」としていた同祖である穏健派の血族を「一族の裏切り者」という言いがかりをつけて排除・迫害し全滅へと追い込んでおり、自らの価値観こそを絶対唯一の正義と定義し人々を力と洗脳で押さえつけるテロル思想の濃い組織でもある。(そして自らへの迫害に対する報復を行動原理に掲げながら、自身も思想が異なる者を迫害している事に見られるように、実はその行動指針自体がご都合主義のタテマエであり、完全に破綻したものである)


作者について

作者の飛鷹は、のちにファミ通の関連雑誌で『アトリエシリーズ』(ユーディーのアトリエイリスのアトリエ)の漫画版を手掛けている。

また『ファイアーエムブレム聖戦の系譜』の多数刊行されたアンソロジーコミックにおいては、「ギャグ話もシリアス話も描き分けられる」独特の強さを持つためか、「執筆陣にいないと安心できない」存在感を醸しだしていた(特に光文社刊行のアンソロジーコミックで顕著)。


本作終了後のジャンプ作品として増刊の読切連作で終わった時代劇ファンタジー『一閃!電光石火丸』がある。

ちなみにジャンプ時代はあだち充ばりのキャラパターナー(ノンキャラクター)ぶりを披露しており、特に各作の主人公は全員同じ特徴(同じ顔、長髪、同系統の能力)の持ち主であった。


また『地獄先生ぬ~べ~』の立ち上げ時、岡野剛アシスタント浅美裕子と共に務めて同作の初期体制を支えている。

ちなみに浅美裕子いわく『ぬ~べ~』連載開始すぐの現場で「(ぬ~べ~の)アニメ化決定!!」というパロディーイラストを書くという、Pixivで言うところの予言者な真似をしでかしていた(そして浅美をはじめとした「ぬ~べ~制作チーム」内ではバカウケした)そうである。


あと最後に本当にどうでもいい余談になるが、飛鷹ゆうきは女性である。


関連タグ

週刊少年ジャンプ ジャンプ黄金期

週刊少年ジャンプ連載終了作品の一覧


超能力 時間移動 テレポート

歴史改変

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