概要
小田原北条家(後北条家)4代目当主。父は名将と知られる北条氏康。正室は黄梅院(武田信玄の長女)。彼女との間に嫡男・氏直などの子供たちを授かっている。
小田原北条家の最盛期を担った人物で、所領をはじめ関東一円の治世の安定に大きく係わった。為政者としては有能であった一方、猛将と知られる曾祖父・早雲や父・氏康に比較すると武勇の面でいささか威勢に欠けるのも事実で、偉大すぎる先達と比較され、小田原北条家を滅亡に追い込んだこともあってか評は低く、後世では暗君的な扱いを受けることもしばしある。
豊臣秀吉と対立し、1590年の小田原征伐にて敗北。小田原城開城の条件として、北条家の最後の当主であった(家督を譲っていた)氏直と共に、自らの命の代わりに城兵・家臣の助命を嘆願、その舅の徳川家康らの氏政の助命の嘆願もあったが、秀吉から切腹を申し付けられその生涯を閉じた。
小話(ダメ話)
- ご飯に味噌汁をかける「汁かけご飯」が好物だったとされ、その際に味噌汁の量をよく見誤って汁を足していたという。これを見た氏康は「物事の器量も計れんのか」と落胆したという。
- 行軍中に、自領の麦畑に差し掛かった際に「ちょうど昼時だから、あの麦を刈って麦飯にしよう」と言ったという。当然、麦も米も収穫から天日干し、脱穀…と食べるまでに手間がかかるため、こうした常識を知らない氏政を表した話とされる。
- 後世に成立した『北条記』では、「四世の氏政は愚か者で、老臣の松田入道の悪いたくらみにまどわされ、国政を乱したけれども、まだ父氏康君の武徳のおかげがあって、どうやら無事であった」とボロカスに書かれている。また、敬称である『君』をつけられていないのも彼だけ。
名将・氏政
暗愚なイメージが付きまとう氏政だが、実際には……
- 上杉謙信・武田信玄・佐竹義重という猛将としのぎを削り、後北条氏の版図を最大にした。
- 謙信の関東平定を挫折させた。
- 織田信長旗下の大将・滝川一益を関東から追放。
- 骨肉の親族闘争が普通である戦国時代にあって兄弟仲が非常に良く、家中を取りまとめていたため、お家騒動等による家政の混乱や勢力の減退や国力の疲弊を招かなかった。また、愛妻家でもあった(旧説では黄梅院は政治的理由から離別させられたと言われてきたが、近年になって離縁したとする話は1970年代に史料の誤読によって生じた誤りであると修正されている)。
…など相応の力量を持った当主である。父である氏康よりも力量や実績が上と評価する研究者もいる。上記のダメエピソードを含め、暗君的イメージは後世の著作による捏造や故事がネタ元で、それを焼き直しした創作が流布した事による。
彼の治世で(形式上は氏直の代で)後北条氏が実質的に滅んだのは事実だが、それはタイミング悪く秀吉が台頭してきたという要因がほとんどで、結果論に過ぎない。氏康や早雲だったら滅ばなかったのか?
それとも「義を捨てての栄華と義に従っての滅亡では天と地との差がある」という家訓に従うか?それは誰にも分からない。
創作物
戦国大戦
『北条五色の力、結集させよ!』
概要
(イラスト中央の人物)
妻の黄梅院から遅れること1バージョン、「15XX五畿七道の雄」からの新勢力、北条家の武将として参戦。レアリティはSRで、二つ名は「獅子の後継者」。
北条家共通意匠の五色のラインの入った金の鎧を身にまとう、従来の歴史物とは一線を画す好青年としてデザインされている。
スペックはコスト2・武力6・統率7とやや控えめ。特技は魅力と防柵を所持しているが、兵種は槍足軽なのに何故か北条家の中コスト以上の槍足軽の殆どが所持している盾槍は所持していない。
が後のバージョンで盾槍の特技をもらった。
固有計略は士気6の『五色の采配』は範囲内の味方北条家武将の武力を5上げる計略。計略対象者が氏政を含めてちょうど5人の場合、追加効果として統率も上げるため、五色の采配から繋げる計略の効果時間の延長を図る事が出来る。
『関東の乱世は、俺が終わらせてみせる!』
英傑大戦
戦国大戦の後継作品の英傑大戦でもVer.1,10から、参戦。勢力は碧で、特技が前作の「魅力」に相当する「昂揚」、流派ゲージが増加する「技巧」、撤退時の復活時間が短くなる「復活」に変更されたが、スペックと絵師はそのままである。
『五色の采配』は5部隊揃った時の追加効果が味方の知力(旧作の統率)上昇ではなく、武力によるダメージを軽減するようになった。
北条氏政(戦国BASARA)
詳細は上記該当記事を参照。
戦国無双での北条氏政
「北条一族万歳…!」(2での死亡時の実機デモ)
「三郎!我が愛しき弟よ…遅れてすまん!北条の絆見せてくれようぞ!」(真田丸での景勝救援戦にて)
武器:2:刀剣 3:槍 CV 江川央生(1)、高塚正也(2)、山田真一(3からchronicle2まで) 宮坂俊蔵(4及びchronicle3) 龍谷修武(無双OROCHI)
1作目では、小田原城潜入にて北条軍の総大将をつとめている、猛将伝では今川義元の無双演武で北条氏照と北条氏邦と共に登場し彼ら3人を倒す「北条三兄弟」というミッションがある。
戦国無双2では一般武将の智将グラで登場するが、2empiresでは何をどう間違えたかグラフィックが一般武将の帥将でボイスが智将のままというちぐはぐ仕様で登場。(息子の氏直も同様でグラフィックが一般武将の豪将でボイスが帥将という仕様で登場した、おそらく川中島の戦いのシナリオが最初であるため父氏康も登場してることを逆算したためだと思われる)
2empiresでは前述した麦飯と汁かけ飯の逸話の他に徳川家康からオレンジが送られてきたがみかん(橙)と勘違いし、弟の氏照に「ダメだ、駄目すぎるぜ兄者…」と突っ込まれるイベントがある。
『戦国無双3』では氏康が無双武将として登場した事により若返っているが、氏康が生存している展開が多い為に空気扱いが多い。
しかし、風魔小太郎の無双演武第5章や戦国史モードでは再び総大将として登場しており、更に戦国史モードの小田原征伐では前作同様秀吉に決死の突撃をかけるなど、『2』の活躍を彷彿とさせる場面がある。
『Chronicle 2nd』は甲相駿三国同盟で武田から嫁いできた黄梅院を心底愛していた。氏康は汁掛け飯の逸話からできれば自分の代で乱世を終わらせる事を考え、小太郎からは「ぬるま湯に浸かっている」と酷評される。しかし北条幻庵からは家族思いの優しい子だと評され、主人公を実の弟/妹のように可愛がり、切腹間際に豊臣軍に捕まった主人公のために書状を書き、北条とは関係がないので彼を助命して欲しいとの願いを秀吉に残すなど、大名として領土も民も全てを失っても、兄として最後まで庇い通した。
100万人の戦国無双では無双武将として登場。
上記のイラストのように汁かけ飯の逸話についてのイベントがあった。
戦国無双4では、氏照と氏邦ら北条三兄弟そろって固有グラフィックの一般武将として登場した。
戦国無双真田丸では史実重視の路線から氏康が早期に退場することから、当主となって上記の2ndに似た立ち回りとなり、昌幸の策謀に翻弄されながらも姉の早川殿と共に家族を守る為奮闘する。
Fateシリーズ
詳細はこちらを参照。
その他登場作品
北条氏政を演じた人物および作品
- 『真田丸』:高嶋政伸氏。第1話から汁かけ飯(一見すればお茶漬けを食しているように見える)のエピソードで登場。上記のとおり、飯に汁を足しているが、それらの行動をみずからの国盗りになぞらえてわざとやっており、冷徹かつ有能な誇り高き野心家で油断ならない戦国武将として描かれている。一時期真田家とは気脈を通じていたが、最終的に敵対した。