概要
1963年に大平プロダクションを設立、所属を経て、2014年11月1日から死去まで81プロデュースに所属していた。
第1回声優アワードで功労賞を受賞した人物。
昭和初期の生まれにしては珍しく身長180センチの長身の持ち主。
また、俳優から声優に転身するのが当たり前だった時代から活躍していた大御所だが、大平はアナウンサー出身というこれまた珍しい経歴を持つ。
洋画の吹き替え、アニメ、ナレーションなど多岐に渡って活動し、アニメでは主役から渋い悪役、ギャグメーカーなど幅広く担当した。特にタツノコプロ作品との縁が深かった。
最初にスーパーマンの吹き替えをした声優でもある。
地声は演じるキャラクターよりかなり低い声で特にコメディキャラよりはシリアスなキャラクターの声の方が地声に近いとされる。
アナウンサー出身ということもあり、声優と呼ばれることに抵抗がないと語る数少ない大御所の一人であった。それだけに自分の職業には誇りを持っており、芸能人が話題作りのためだけに興味のないアテレコ業に関わろうとすることについて、批判的な態度を取っていた。
晩年は病気療養のため、休業を挟んだ上で活動しており、一部の持ち役には代役が立てられていた。車椅子で生活していた写真も残っているが、病院でのリハビリの合間に参加した謝恩会でコメントを求められて「(喋ると)入れ歯が落ちちゃいそうで」と冗談を飛ばすなど、体調不良の中でもユーモアを忘れなかったという。
思想
ザ・シンプソンズ MOVIEで声優が全交代になった際、ファンの声を受けて製作会社がオリジナル版を制作したことに感銘を受けて、無償で感謝祭イベントを開催していた時期がある。その後はよりファンとの交流を大切にするようになっており、先のイベントでも大平透のサインは抽選の予定だったが、「それでは不公平だ」と大平の負担に配慮するスタッフの心配を他所に、500人分を書き上げた伝説を持つ。
ファンに対して温和に接する一方、後進に対してはプロ意識を厳しく求めていた。中堅どころが手を抜いた芝居をしたり休憩中に酒を飲んだりした際は激怒し、新人の態度が悪ければはっきりと物を言っていたという。田中真弓はそういった大平の厳しい態度を例に上げて「現代はパワハラ・セクハラとなにかと言われて現場が穏便になりがちだけど、良し悪しがあり、大平さんのような厳しい先輩の存在もありがたかった」と語り、その姿勢を評価している。
先の声優交代騒動でファンの代表に大平が「直に会ってお礼を言いたい」と申し出た際、ファンは強面で長身な男性が来たことから圧倒されたという。実際に会ったファン曰く「大平さんは怖いというよりきっちりした性格で、曲がったことが嫌いな丁寧な人」といった印象を受けたと話している。
昨今はネットでファンとプロの境界が曖昧になる中、大平は「ファンとプロには一定の境界を引くべき」という考えの持ち主で、ファンクラブでの会合でも感謝の気持ちはあれど、馴れ馴れしい関係は努めて避けていた。しかし傘寿の祝いの席では長年交流してきたファンからの贈り物に大層喜んで「当時のエピソードを語って聞かせてくれた」など、大平サイドから歩み寄ってくれたという。
自身の演じたキャラクターに対する愛着は凄まじく、ハクション大魔王の番外編「よばれてとびでて!アクビちゃん」では、予算の都合上から当時演じていた他の大御所声優の起用が断念された。そんな中、声優交代の話を聞いた大平が「大魔王は他の誰にもやらせん」と、新人と同じギャラで出演したというエピソードもある。これはスーパーマンの出演後イメージが固着されて仕事が受けづらくなった時期、ハクション大魔王で三枚目役を新たに切り開いた。富田耕生もこれを見て「大平ちゃんがやってるの!?」と驚愕したといい、このことから、一層思い入れが強いのだという。
非常に義理堅い性格で、自身が出演したCMの商品を発売している会社の製品を贔屓にし続けていたという。
主な出演作
アニメ
ハクション大魔王@ハクション大魔王 | ホーマー・シンプソン@ザ・シンプソンズ | 喪黒福造@笑ゥせぇるすまん*1 |
ピート@ディズニー*2 | ガイモン@ONEPIECE | タコキチ@とんでも戦士ムテキング |
南部考三郎@科学忍者隊ガッチャマン | タマゴン@かいけつタマゴン | グズラ@おらぁグズラだど |
岩倉鉄之助@てんとう虫の歌 | デカパン@おそ松くん(平成版) | スカルダート@ヤマトよ永遠に |
権藤透@未来警察ウラシマン | ベルトサタン@ポールのミラクル大作戦 | [[]]@[[]] |
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イラスト無し
カバ@カバトット
吹き替え
ダース・ベイダー@スター・ウォーズ*3 | ボス・ナス@スター・ウォーズ エピソード1/ファントム・メナス | ジョーカー(ジャック・ニコルソン)@バットマン(TBS版) |
ウォーターヌース@モンスターズ・インク | ||
イラスト無し
ジョー・エル(マーロン・ブランド)@スーパーマン(映画・テレビ朝日版)
クラーク・ケント/スーパーマン(ジョージ・リーヴス)@スーパーマン(TVシリーズ)※番組の生CMでは、大平自身が自らスーパーマンの仮装をして宣伝を行った。
指令の声@スパイ大作戦
指令の声@ミッション:インポッシブル(第1作・フジテレビ版)
特撮
帝王ゴア@マグマ大使※ | 皇帝バッカスフンド@超力戦隊オーレンジャー | [[]]@[[]] |
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※ スーツアクターも兼任
イラスト無し
倉田室長@宇宙猿人ゴリ(スペクトルマン)※俳優として出演。
脚注
- *1 後任は玄田哲章(死去後、2017年放送開始の新作テレビシリーズでの担当。大平の希望で喪黒の後任を玄田にやらせるようにと決めてあった)
- *2 後任は北川勝博(療養に伴う休業・死去後に吹き替えが制作された全作品での担当)
- *3 後任は楠大典(療養に伴う休業・死去後に吹き替えが制作された『反乱者たち(シーズン2)』以降での担当)
ナレーター
『スパイダーマン』(東映版)
『秘密戦隊ゴレンジャー』(2代目。15話から)
『ジャッカー電撃隊』
『機動刑事ジバン』