概要
1995年にモロッコで発掘され、「三角州の疾走者」と命名されたデルタドロメウスは、非常に珍しい獣脚類であった。全長8メートル程と考えられているが、後肢の骨は同じ体格のアロサウルスの半分ほどの太さしかなく、その太さと長さの比はオルニトミムスなどのダチョウ恐竜のものに似ており、前肢も獣脚類としてはほっそりとしていた。
歯も細くて鋭く、肉を切り裂くのに適していたことから、積極的なハンターだった可能性が高い。
かつてはコンプソグナトゥスのような原始的なコエルロサウルス類が大型化した種と考えられたが、現在ではより原始的なアベリサウルス類のうち、マシアカサウルスなど小型の種が多いノアサウルス類の獣脚類だったと考えられている。
また、エルンスト・シュトローマーが1934年に命名したエジプト産の「バハリアサウルス」はデルタドロメウスと同一種ではないかとする古生物学者もいる。