解説
貨物及び人間の航送を行なう船の総称であるが、一般的に車両航送及び旅客航送を行なうカーフェリーのことを指す。
渡船も一応含まれるが、語彙は長距離カーフェリーに使われることが多い。日本の定期長距離航路は小笠原諸島との航路を除き全てカーフェリーである。
2010年以降、高速道路の1000円通行実施の影響や、対抗交通手段(新幹線、高速バス、航空機)の追い上げにより、減少傾向にあった。現在は下げ止まっているが、たこフェリーなど倒産してしまい復活の兆しが未だ見えない航路もあるなど、交通手段の変化により往時の勢いまで回復しきれてはいない。
他方、離島支援の見直しもあり、短距離離島航路においてはコミューター航空機を撤退に追い込むなど活躍を見せる。これらの手段では高速船ジェットフォイルなどの使用が多い。
日本で寝台特急が減少する中、国内便で「寝て乗れる」「一昼夜を過ごせる」手段としても長距離フェリーは貴重な存在である。多くのフェリーでは、大食堂・大浴場・ゲームコーナーや売店・展望スペースなどの公室に、シティホテル並みかそれ以上の個室(特別室、スイート)>ビジネスホテル並み設備の個室(特等)>個室(一等)>ベッド(2等寝台、半個室と二段ベッドの二階級構成が多い)>雑魚寝部屋(二等)といった等級ランクに分かれた客室、というのが定番であるが、中には客室の単一クラス化・食堂サービスをセルフサービスの売店化するなど省サービス化が進む船もある。
一方で客サービス向上のため、最近では展望風呂・トイレ付で52平米(太平洋フェリー「ロイヤルスイート」)もある部屋を用意したり、二等雑魚寝部屋を廃止し全室寝台ないし個室としたり、公室でも露天風呂やサウナを装備(何れも新日本海フェリー)するなどの新しいサービスも見られる。全体的には客室内のテレビ設置や内風呂の設置・拡張、下位寝台においてもプライベート重視の改善が全社を挙げて進められている。また、公室として展望プロムナードやシアターラウンジなどの設備も見直し、改めて力を入れている例もある。
なお、90年代まで長距離フェリー定番の設備の一つだったプール(冬季はジャグジー)は、現在の船舶ではただ二隻を除き国内から消滅した。
また、下関や博多から釜山へ行く航路や稚内からサハリンのコルサコフへと向かう国際航路も存在する。
主な航路
- 大洗~苫小牧:商船三井フェリーさんふらわあ
- 名古屋~仙台~苫小牧:太平洋フェリー
- 敦賀・舞鶴・新潟~小樽:新日本海フェリー
- 敦賀~新潟~秋田~苫小牧東:新日本海フェリー
- 八戸~苫小牧:シルバーフェリー
- 青森~函館:青函フェリー・津軽海峡フェリー
- 新潟~佐渡:佐渡汽船
- 東京~徳島~新門司
- 東京~志布志(鹿児島県)~奄美大島~那覇:マルエーフェリー
- 久里浜(神奈川県)~金谷(千葉県):東京湾フェリー
- 神戸~小豆島~高松:ジャンボフェリー
- 神戸~大分
- 神戸・泉大津~新門司:阪九フェリー
- 大阪~新門司
- 大阪~別府
- 大阪~宮崎
- 大阪~志布志(鹿児島県)
- 神戸~大阪~奄美大島~徳之島~沖永良部島~与論島~那覇:マルエーフェリー
- 和歌山~徳島:南海フェリー
- 下関~釜山:関釜フェリー
- 博多~釜山:カメリアライン
- 鹿児島~桜島:桜島フェリー
- 鹿児島~奄美大島~徳之島~沖永良部島~与論島~本部(沖縄県)~那覇:マリックスライン