概要
商船三井グループのフェリーが使用しているフェリーの愛称。なお、「さんふらわあ」は株式会社商船三井さんふらわあの登録商標(日本第3001824号)である。キカイダー01にも宣伝のため登場した。
商船三井さんふらわあは名門大洋フェリーと共に商船三井の旅客部門を担う企業であり、戦時統合による関西汽船設立で一度は手放した商船三井内航部門の悲願の再統合を実現した企業でもある。
その始まりは1970年代初頭にまで遡り、鹿児島県に本社を置く照国郵船（現マリックスライン）の子会社、日本高速フェリーによって建造され、名古屋～高知～鹿児島航路に就航した初代「さんふらわあ」を起源とした豪華フェリーの代名詞であった。
同船を筆頭とする「さんふらわあ5姉妹」と呼ばれた5隻の船舶は、船内にプールやラウンジ、レストランシアターなどを設置、屏風絵を壁面に描いたデラックスルームなど、丁度飛行機の台頭で最後の長距離航路であった南米航路の廃止により豪華客船の旅が夢物語へとなろうとしていた日本の旅客船事情に一石を投じるエポックメーキング的な役割を果たした。
既に初代の5船舶は現役を退いているが、現在でも大洗発着の北海道航路と、大阪・神戸からの九州航路に同ブランドでの船舶が就航している。
一方で商船三井グループの国内定期航路船舶の代名詞としてその船舶の性格に関わらず使用されるようになっており、北海道航路深夜便の「しれとこ」「だいせつ」などは僅かに特等を設けている以外はモノクラス・オートレストランのカジュアルフェリーであり（元は東日本フェリーとしてコストカットが求められた北陸～九州線に就航していた。オーシャン東九フェリーにも同様の傾向が見られる）、時代の移り変わりを感じさせる。
一方で「さっぽろ」「ふらの」設置のスイートルームではブリッジ見学などの特典をつけていたり、最古参の「さつま」「きりしま」ではグリルなどのかつてのバブル期を彷彿とさせる設備を残す（但し非営業）など、かつての豪華さを伝えていた。
商船三井フェリー運航のフェリーは2017年、2代目「ふらの」が4月27日に竣工し5月13日に就航、3代目「さっぽろ」が10月7日に竣工し同月25日に就航した。フェリーさんふらわあ運航のフェリーは2018年、3代「さつま」が4月20日に竣工し5月15日に就航、2代「きりしま」が8月28日に竣工し9月15日に就航した。
2023年1月13日には日本初のLNGフェリーとしてフェリーさんふらわあに「くれない」が就航。
追って4月14日に「むらさき」が同型船として就航した。北海道航路でも2025年よりLNG船「かむい」「ぴりか」を導入予定。
2023年10月1日、商船三井フェリーとフェリーさんふらわあの2社が合併。商船三井フェリーを存続会社としたうえで社名を変更し、「商船三井さんふらわあ」という社名となった。
日本最大のフェリー運航会社となる。
先述の通り何度も運航会社が変わったり、合併したりしたため時代によりファンネルマークは異なるが、現在の商船三井系列となってからは、他の系列会社とともにマークのないオレンジ色(赤みの強いオレンジ色)のファンネルとなっている。
タカラトミーのトミカのラインナップにも長らくさんふらわあがラインナップされていた。複数の種類があり、トミカくじに含まれていた通常サイズのほかロングタイプが2種類あり、船名のないNO.129とさんふらわあ さっぽろがモデルのNo.130があった。いずれも2024年現在は通常ラインナップからは廃盤になっているが、さんふらわあ（大洗〜苫小牧航路の「さっぽろ」と「ふらの」）の船内限定品として特注扱いに変更して販売が継続されている。
「さんふらわあ」が就航する航路
以下の航路があり、かつては先述していたように商船三井フェリーが運航した北海道航路、くろしおラインとフェリーさんふらわあが運行した九州航路がある。
先述の合併によってすべての航路が「商船三井さんふらわあ」での運航になった。
旧・商船三井フェリーが運航していた航路
大洗～苫小牧
夕方便と深夜便が運行される。これらは使用される船が決まっており、入れ替わることはない。夕方便には「さっぽろ」「ふらの」、深夜便には「だいせつ」「しれとこ」が使われる。深夜便は物流輸送の性格も強く、大型トラックの積載数が多く取られサービスや船内設備も簡素なものになっている。なお深夜便の「だいせつ」「しれとこ」は2025年中に新型LNG船である「さんふらわあ かむい」「さんふらわあ ぴりか」に置き換わる予定。
なおこの2隻は従来のさんふらわあとは大きくイメージを変え、深夜便らしく青色を取り入れた青と白のツートンカラーで、白い部分にさんふらわあの象徴である太陽が描かれている。そのため太陽の描かれた位置が後ろ寄りになっている。
- さんふらわあ さっぽろ(3代目)
- さんふらわあ ふらの(2代目)
- さんふらわあ だいせつ(旧ニューれいんぼうらぶ)
- さんふらわあ しれとこ(旧ニューれいんぼうべる)
- さんふらわあ かむい
- さんふらわあ ぴりか
東京～宇野・岩国・徳山、博多（くろしおライン 日本海運と共同運航する貨物航路）
使用される船舶(当航路の船舶にはさんふらわあ(太陽のマーク)模様が描かれていない)。
またトラック専用の貨物フェリー(RO-RO船)であるため、一般乗客及び一般車の利用は不可。
- さんふらわあ はかた
- さんふらわあ とうきょう
旧・フェリーさんふらわあが運航していた航路
神戸～大分
※かつてはダイヤモンドフェリー（旧名・九四阪神フェリー、1968年設立）が運行。
使用される船舶
- さんふらわあ ごーるど
- さんふらわあ ぱーる
大阪～別府
※かつては関西汽船（1884年、商船三井の前身・大阪商船が設立）が運行。
使用される船舶
- さんふらわあ くれない(2023年1月13日就航、LNG燃料を用いた日本初の長距離フェリー)
- さんふらわあ むらさき(2023年4月14日就航)
- さんふらわあ あいぼり(2023年1月12日引退)
- さんふらわあ こばると(2023年4月13日引退)
実は、横浜のレストラン船として有名だった「ロイヤルウイング」はかつて「くれない丸」としてこの航路で運航しており、2023年6月に解体のため(牽引と言う形ではあるが)約40年ぶりに横浜の外へ出た。
当初は瀬戸内海を通るルートではなかったため「往時の再現」は叶わないと思われた。
皮肉にも、別府発関西方面行の便に「さんふらわあ くれない」が充当されることが決まっており、なんとかすれ違わないかと願うファンも多かっただろう。
しかし、奇跡と言うものは起きるもので、播磨灘近くで、「さんふらわあ くれない」と「くれない丸(ロイヤルウイング)」が2023年6月30日午前3時頃にすれ違った。
公式ツイートなどでは「瀬戸内海へは海上荒天により急遽なルート変更の為に航行した」とされていたが、きっと、海の神様が「最後にくれない丸とさんふらわあ くれないを対面させてやろう」と思ったのかもしれない。
大阪～志布志
※かつては日本沿海フェリー⇒ブルーハイウェイライン⇒ブルーハイウェイライン西日本が運行。
使用される船舶
- さんふらわあ さつま(3代)
- さんふらわあ きりしま(2代)
「さんふらわあ」が登場する作品
キカイダー01（26話に登場）
仮面ライダーV3（劇場版 仮面ライダーV3対デストロン怪人、20話、21話に登場）
仮面ライダークウガ（41話に登場）
仮面ライダーアギト（42話に登場）
ガールズ&パンツァー（『劇場版』に登場する。）
秘密戦隊ゴレンジャー（劇場版 秘密戦隊ゴレンジャー爆弾ハリケーン に登場）
ゴジラ対メカゴジラ（作中で登場）
特捜最前線（123話に登場）
太陽にほえろ!（556話に登場）
私鉄沿線97分署（59話に登場）
テーマソング
「さんふらわあの唄」
作詞：増永直子 作曲：渋谷毅
さんふらわあに乗船した方ならおそらく一度は聞いたであろうテーマ曲。最初期のバージョンから時代が下るごとにアレンジされ、現在は3代目ならびに4代目が使用される(動画は服部克之編曲・コーヒーブレイク歌唱の3代目)。
「さんふらわあの歌」
作詞：サトウハチロー 作曲：中田喜直 編曲：藤家虹二 歌：ダークダックス
日本高速フェリー時代に使用されていた初代テーマソング。
のちに上述の「さんふらわあの唄」が作られたことで使用されなくなった。
