概要
南海グループ。南海和歌山港線の終点である和歌山県和歌山市の和歌山港駅から、対岸の徳島県徳島市にある徳島港との間に短距離フェリーを運航している。
また同航路は南海本線・和歌山港線(最寄り駅:和歌山港駅)との連絡輸送を実施している鉄道連絡船であり、公式に鉄道連絡を実施しているものとしては、JR・広島電鉄宮島連絡船や富山県営渡船などと共に現存する数少ない航路である。
現在の徳島側着岸港は徳島港だが、1999年3月までは徳島側着岸港は小松島港だった。小松島港には1985年まで国鉄小松島線の小松島港仮乗降場が置かれていた。しかし国鉄仮乗降場とフェリー乗降場の間における乗り換え連絡の往来は座席確保のために激走する者が絶えない非常に激しいものであり、宇高連絡船における宇野高松両駅の乗降連絡・窪川駅バス乗換連絡と並び四国三大走りと呼ばれた。この危険な往来は1985年に訪れた国鉄小松島線の廃線と1999年の徳島港への航路変更によって、ようやく解消となった。
2002年まで同区間にて高速船「南海徳島シャトルライン」も運営していたが、明石海峡大橋の開業によって利用客が減少しフェリーのみの営業となった。また明石海峡大橋開業による利用減は他航路にも響き、現在四国・淡路島と近畿地方を結ぶフェリーは同航路の他は兵庫県各地とを結ぶ「淡路ジェノバライン」「ジャンボフェリー」などに限られるほどとなってしまった。その点でも同航路は貴重な生き残りである。
その他、昭和時代末期までは四国側でも国鉄小松島線に接続していた。同路線との接続時代は徳島側の港も徳島市の隣にある小松島市内の小松島港であったが、路線廃止後は連絡輸送手段がバスのみになり、更に高速船の廃止後は同航路が就航していた徳島港へと移転した。
徳島県内最大のバス会社である「徳島バス」は南海グループだが、徳島港から徳島駅・市内方面への連絡バスは徳島市交通局(徳島市バス)が運行している。いいのかそれで…?
2015年に南海フェリーとして就航40周年を迎えるが、前身である南海汽船(南海観光汽船)から数えると60年以上の歴史を誇る航路である。
船舶
2023年現在は二隻を保有する。
設備はほぼ共通で、桟敷席と椅子席で構成された2等普通席、グリーン座席、展望デッキ、売店、ビジネスコーナー、ベビールーム、ドライバー施設などを備える。
トイレはもちろんあるが、所要2時間程度の短距離航路であるためか入浴施設はない。他に船内にはカップ麺の自販機もある。
フェリーあい
就航:2019年10月 総トン数:2,825トン 全長:108.00m 全幅:17.50m 旅客定員427名 乗用車150台積載
「つるぎ」の置き換え用として新たに就航した新鋭船。
船名は徳島県の名産品である「藍染」と、コンセプトテーマである「愛と出会い」から命名された。船体は白地に藍色のライン。船体中央と船尾にハートのワンポイントが描かれている。
バリアフリー対応で、電気自動車用の充電設備も船内に備えている。
フェリーかつらぎ
就航:1999年10月 総トン数:2,571トン 全長:108.00m 全幅:17.50m 旅客定員450名 乗用車150台積載
「よしの」置き換えのため、「つるぎ」の僚船として1999年より就航。名前は和歌山県と大阪府の間にある和泉葛城山から。
当初より和歌山航路の専属。2013年の塗装変更・内装リニューアル以後は船体下部が薄いみかん色に塗られている。
過去のフェリー・旅客船
フェリーつるぎ
就航:1997年7月 総トン数:2,604トン 全長:108.00m 全幅:17.50m 旅客定員450名 乗用車150台積載
りんくう航路(泉佐野~徳島)用として1997年より就航。後に同航路廃止により和歌山航路にコンバートされ、「フェリーたちばな」置き換え。名前は徳島県最高峰の剣山から。
2013年の塗装変更・内装リニューアル以後は船体下部が薄い緑色(すだち色?)に塗られている。
フェリーくまの
フェリーよしの
あるご
就航:1992年 総トン数299トン 全長43.2m 全幅10.8m 旅客定員300名
高速船。先代「マリンホーク」置き換え用として登場し、航海速力は最大で40ノットを越える当時国内最速の双胴船であった。
オリジナルキャラクター
2011年に「和歌山徳島航路活性化協議会」が企画したオリジナルキャラクター2人をプロデュースしており、現在では船内の至るところでも見ることが出来る。いわゆるご当地キャラであり、萌えキャラである。
キャラクターデザインは和歌山市在住のもえぎ若菜氏。なお一度公式の絵柄がリニューアルされているが、基本デザインに変更はない。
うたか三姉妹を擁する「宇高国道フェリー」が運行を休止し活動停止状態にある今、フェリー業界のキャラクターとしての期待を一身に(?)背負って今もPR中である。
高野きらら
和歌山県生まれで和歌山県育ちの高校二年生。実は設定されたのはまいより先。
明るく活発な性格で、趣味は旅行と音楽鑑賞。髪型は二つ結び。青系の制服を着ており、靴も青のスニーカー。みかん色じゃないのは気にするな。
阿波野まい
和歌山県生まれで小学三年生以降徳島県育ちの高校二年生。きららとは幼馴染。
おしとやかな性格で、趣味は旅行とお菓子作り。髪型はロングヘアーで、南海のCIマークをつけたヘアピンを付けている。緑系の制服を着ている。靴下も緑。今でもきららとはメール文通をしているようだ。
関連項目
南海電気鉄道 - 親会社。暗にライバルでもある(子会社の南海バス・徳島バスは本四連絡ルート徳島線の最大手)。
サザン - 和歌山側で連絡する特急列車。他に和歌山港線には急行も直通する。
フェリー 連絡船 宮島航路 宇高連絡船
やまじシスターズ びんちょうタン - 和歌山県中南部を中心に活躍するご当地キャラ
阿波あわな - 四国萌隊のうち徳島県を擬人化したご当地キャラ
たま駅長 - 和歌山電鐵貴志駅駅長の猫。南海電鉄時代から飼われていた。たま駅長をモチーフにした着ぐるみなども存在。