カヲシン
かをしん
概要
『新世紀エヴァンゲリオン』およびその関連作品の登場人物、渚カヲル×碇シンジのカップリングを示す。
現在で言うところの過剰にブロマンティックな二人の関係描写は、TVシリーズ放映当初絶大なインパクトを残し、以降幾多の二次創作物を生み出し続ける事となった。
主なメディアでの関係性
TV版&旧劇場版
カヲルが登場するのは実質第24話「最後のシ者」のみ。
しかし瞬く間に二人は打ち解けており、カヲルの誘いで一緒に入浴した際に彼が「好きってことさ」とシンジに告げた後、シンジから頼む形でカヲルの部屋に泊まっている。
その後の展開については「渚カヲル」「碇シンジ」の項目を各々参照のこと。
第24話からTV版25話・26話と、旧劇場版25話・26話にストーリーが分岐し、劇場版26話『まごころを、君に』では、カヲルがレイ(リリス)と一体化して現れた際、それまで怯え震えていたシンジが一転、安堵の表情を浮かべ「そこにいたの? カヲルくん」と恍惚と語りかけた。
貞本漫画版
二人の接する期間が第9~11巻とTV版より長い。シンジのカヲルへの呼称は最初のみ「渚くん」で、以後は「渚」。ただし、「君(きみ)」と呼ぶのはTV版と変わらない。
第10巻では同じベッドで眠り、シンジの過呼吸を治療するための(もしくはそれにかこつけた)キスシーンがあるなど、身体的な距離はより縮まっている。しかし、すぐさま親密になったTV版とは違い、カヲルの言動に怒ったシンジが彼に掴みかかる場面も多く、両者の関係はあまり良くない。TV版に比べ、シンジは気が強く少し皮肉屋で、カヲルは人の感情に疎く、それ故時に残酷で空気が読めない(読まない?)性格である事、出会った時期がアスカや2番目のレイに悲劇が起こる前だった事などが原因と考えられる。
結末こそTV版と同じであったものの、関係性の変化からシンジがカヲルを手にかけるニュアンスは大きく異なっていた。なおシンジは、自分の心に遠慮なく近付こうとしてきたカヲルを長く拒絶していたが、彼の死後、「惹かれていたんだ、僕は」「あんなやつを、好きになってはいけないと、思っていたのに」と独白している。
新劇場版
第3作『Q』で出会う。展開については「渚カヲル」「碇シンジ」の項目の『Q』に関する記述を各々参照のこと。
二人の関係はTV版に近く良好。しかし身体的接触は他メディアと比較すると少ない。
ちなみに『破』の最後のシーンで月より飛来したカヲルの顔つきが若干険しかったのは、「俺のいない間に他の女とイチャイチャしやがって」という思いによるらしいので、公式が病気なのはあまり変わらない様子。
ピアノ連弾で二度目以降カヲルの足が椅子の高さに合っていない事から、シンジの背丈に合わせて椅子を調節したことが伺える。「いつも君の事を考えているから」Qでは常にシンジを思って行動している。
また、カヲルはTV版でシンジに対し「僕は君に会うために生まれてきたのかもしれない」と発言したが、『Q』では「僕は君に会うために生まれてきたんだね」と断言している。
なによりTV版との大きな相違は『Q』のカヲルは終始シンジの味方であり、描写されている限りでは「シンジの幸福」を切望する心が行動原理であるという点であろう。
その他のメディアでの関係性
渚カヲル養成計画
PCゲーム『碇シンジ育成計画』の番外編。端的に言えば「カヲルでシンジを堕とすゲーム」。
正気の沙汰とは思えない展開とエンディングで度肝を抜かれたプレイヤーも多い。
碇シンジ育成計画(漫画版)
あからさまにカヲルは同性愛者のような描写がされており、シンジを付け狙っているとされる。
もっとも本人が意図してそう演じている部分もあり、女性関係に振り回される彼を面白がっている節もある。
エヴァンゲリオン2
カヲルがメイクアップアーティストが将来の夢とシンジに告白しており、練習の為シンジに化粧をする。
鋼鉄のガールフレンド(漫画版)
二人の仲はアニメ版に近く良好。カヲルがレイやアスカに対抗意識を持つ描写も成されている。
この作品における二人の関係の発端は、シンジの両親の中学時代にまで遡る。
学園堕天録
初のシンジとカヲルをメインに据えたスピンオフ漫画作品で、本編やどのスピンオフ作品よりも「同性愛者的でない」カヲルが描かれ、シンジとの関係は「同士」「仲間」といった風に描写され、友人として非常に良好な関係を築いていた。
ぷちえゔぁ(漫画版)
カヲルが手作りのシンジ人形をコレクションしていたり、自分(生身)とシンジの像の題名が「僕は君の紙袋」(恐らく上記の貞本版における過呼吸の場面が元ネタ)だったり、そもそも紹介文が「シンジを愛する美少年生徒会長」だったりとやりたい放題。なお、珍しく二人が共存できるエンディングを迎えている。
幻の24話
TVシリーズ24話の脚本を担当した薩川昭夫による、没となった初期稿が、1996年発行の「別冊JUNE」6月号に掲載され、当時「幻の24話」として話題を呼んだ。
この第2稿では、カヲルがシンジにキスをする場面がハッキリと書かれている。
カヲル、シンジと口づけを交わす。
シンジ、拒むことなく、自然に受け入れる自分に気づく。
またさらに遡って第1稿では、二人で裸で泳いだり、シンジが転校生であるカヲルに明確な恋愛感情を抱き「カヲル君、僕は君のことが…」と告白するも、カヲルにやんわりとかわされ落ち込むなどのシーンがある。
第1稿も第2稿も、検索すればネットでも見られる。
なおこれらの案が没になった経緯として「演出家(摩砂雪)が、これは自分にはできん、と投げ出してしまった」というインタビュー記事が残っている。