概要
おもに物事の性質や状態を表して、名詞や代名詞を修飾したり、文の中で叙述されることによって、主語の性質や状態を説明する述部（「叙述される部分」なので「述部」という）になるもの。
日本語における「形容詞」
日本語の形容詞には、意味を表す語幹と活用という名の変化がある活用語尾という部分に分かれ、活用語尾は言い切りの形（終止形）が「～い」となる（文語では「～し」）。
なお、活用形には、文語の場合は、終止形の活用語尾「し」自体が変化するシ活用（暗し→暗く）と、終止形の活用語尾「し」の後に変化部分が現われるシク活用（楽し→楽しく）の2本があるが、変化の基本は同じである。
また、カリ活用と呼ばれる補助的な動詞的活用の系列があり、連用形の「～く」に動詞「あり」が結合し、-kuariから母音uが脱落して融合したものである。「高からず」「高かりき」「高かるべし」のように、一部の助動詞や助詞に接続する際に用いる。
活用の例 ： 楽しい（口語）
| 接続の例 | ||
|---|---|---|
| 未然形 | かろ | 「楽しかろう」 |
| 連用形 | かっ・く(う) | 「楽しかった」「楽しくない(楽しうない)」 |
| 終止形 | い | 「静かだ」 |
| 連体形 | い | 「楽しいとき」 |
| 仮定形 | けれ | 「楽しければ」 |
| 命令形 | （かれ） | （「楽しかれ」） |
活用の例 ： 楽し（文語・シク活用）
| 本活用 | カリ活用 | 接続の例 | |
|---|---|---|---|
| 未然形 | （しく） | しから | （「楽しくば」）／「楽しからむ」「楽しからば」 |
| 連用形 | しく(しう) | かり | 「楽しく(楽しう)なる」／「楽しかりき」 |
| 終止形 | し | ― | 「楽し」／― |
| 連体形 | しき(い) | しかる | 「楽しき(楽しい)時」／「楽しかるべし」 |
| 已然形 | しけれ | ― | 「楽しければ」／― |
| 命令形 | ― | しかれ | ―／「楽しかれ」 |
活用の例 ： 暗し（文語・ク活用）
| 本活用 | カリ活用 | 接続の例 | |
|---|---|---|---|
| 未然形 | （く） | から | （「暗くば」）／「暗からむ」「暗からば」 |
| 連用形 | く(う) | かり | 「暗く(暗う)なる」／「暗かりき」 |
| 終止形 | し | ― | 「暗し」／― |
| 連体形 | き(い) | かる | 「暗き(暗い)時」／「暗かるべし」 |
| 已然形 | けれ | ― | 「暗ければ」／― |
| 命令形 | ― | かれ | ―／「暗かれ」 |
「すさまじ」「いみじ」のように濁るものもある。
なお、意味上は、連用形（用言に連なる形）が動詞や形容詞を修飾している場合（「まばゆく光る」「楽しく話す」など）は、副詞と同じ働きをしている。
形容詞の例
甘い 辛い しょっぱい 酸っぱい 甘酸っぱい 苦い ほろ苦い 渋い
嬉しい 楽しい 恋しい 寂しい 切ない 苦しい 優しい 愛しい 懐かしい
関連タグ
外部リンク
- 形容詞（Wikipedia）
