I mean if I had my goddamn choice, I'd just be the catcher in the rye and all.
(僕は崖に立って、広いライ麦畑で遊んでいる子ども達が気付かずに落ちそうになった時に、捕まえてあげるような、そんな人間になりたい。それだけなんだ)
内容
大戦直後のアメリカを舞台に、主人公ホールデン・コールフィールドが3校目の寄宿学校を成績不振で退学させられたことをきっかけに寮を飛び出し、落ちこぼれ意識と疎外感に苛まれながら実家に帰るまでニューヨークを放浪した3日間の物語。
解説
J・D・サリンジャーが1951年に発表した小説で、発表以来60年以上経った今でも版を重ねて世界中で読み継がれている青春文学の名作。累計発行部数は全世界で6000万部を超える。
ジョン・レノンを射殺した犯人や、レーガン元大統領を狙撃したジョン・ヒンクリーも愛読していたことでも知られる。
1945年発表の短篇『気ちがいのぼく』を詳細にリライトした内容となっており、ニューヨークを放浪していた主人公が家に帰った後、いくらか月日が経過してから『君』に語りかける構造になっている。くだけた口語体で主人公の主観に基いて叙述されているため事実とは異なると思われる誇張表現や支離滅裂な文体が散見されるのが特徴で、当時のアメリカのリアルな若者言葉や風俗を記録している文献としても扱われている。
物語終盤、主人公が再会した妹に「兄さんは一体何になりたいの?」と問い詰められて語った冒頭の言葉が作品の主題となっており、そこにいたるまでの主人公の苦悩や心理、彷徨が積み重ねられていく。
サリンジャーの特徴とも言える「無垢なるものへの憧れ」が強く込められており、作中では欺瞞に満ちた大人たちを非難し、制度社会を攻撃的な言動で揶揄する表現が多数見られ、「インチキな大人達の社会」を受け入れられず理想と現実の境界で喘ぐ主人公に共感した若者達に熱狂的な支持を受けた。
しかしその攻撃的な言動、アルコールやタバコの乱用、セックスに対する多数の言及、売春の描写などのため、まだピューリタン的道徳感の根強かった発表当時は一部で発禁処分を受けた。
本作の映画化や続編のオファーは過去何度も立ち上がったが、サリンジャーはそのいずれも一切許可していない。
邦訳版は幾つか出ているが、1964年に出された野崎孝版『ライ麦畑でつかまえて』が攻撃的な文体をよく表現しているとして評価が高い。
2003年に村上春樹によって訳された『キャッチャー・イン・ザ・ライ』が発売された。
フィクションでの登場
物語の根幹を成す『笑い男事件』の重要なモチーフとなっている。
第53話で登場。殺せんせーのお勧め。
ヒロインの一人である小早川凛子の愛読書。