蔑称としての『ウザク』
劇中、『結果』を重視し目的のためには手段を選ばない手法を取ったゼロ(=ルルーシュ・ランペルージ)に対し、『間違った手段で得た結果に意味は無い』と考え『過程』を重視した枢木スザク。
彼もまたゼロ同様神聖ブリタニア帝国の圧政から祖国を救おうという志を持つ人物であったが、過程を重視する考え方から、例え悪法であったとしても現状のルールに反し、罪も無い一般人を巻き込むテロなどの行為を良しとしなかった。
そこで、敢えて体制側に回って組織に組み込まれることで、ブリタニアの体制を組織の内側から合法的に変えていこうと画策、一方でルールに反する行為に走るものは同胞であっても厳しく取り締まり、あくまでも正道に沿ったやり方で結果を得ようとした。
しかし、そうは言いながらもなかなかそれを実行に移すことはせず、淡々と任務をこなし、むしろ同胞たるイレヴンへの弾圧をひたすら手助けしている描写が多かった。
アニメ第1期終盤に主ユーフェミア・リ・ブリタニアがゼロに謀殺(故意ではなく結果的なもの)されて以降はゼロへの憎悪とテロ行為への怒りを募らせたことで情を捨ててしまい、目的を達するに足るだけの権力を有する地位を得るために苛烈な行動・手法が目立ち、挙句ゼロ同様目的のためには手段を選ばない行為に走るなど、当初の『過程を重視する』という理念にすら矛盾が生じるようになってしまう。
また、そういった目標を持ちながら、過去の行いに対する罪の意識から自己の死を望むという自罰的な願望を心中に秘めており、理不尽な死を迎える危機に陥っても『ルールを破るよりはいい』と言って抵抗せず受け入れようとするなど、何かと独りよがりな行動が目立っていた。
スザクのそういった行為や当初から孕んでいた矛盾にいつまで経っても目を向けなかった姿勢は一部のファンから顰蹙を買い、天然な性格故に空気が読めない一面があることも相俟って『ウザいスザク』、即ち『ウザク』なる蔑称を付けられてしまうこととなった。
しかし、本来のスザクは心優しく良識を持った正義感の強い少年であり、『過程を重視する』というやり方や考え方もそれに基づくものであり、また考え方自体は決して間違ったものではない。
また、当初はナイトメアフレームによる作戦行動中でも人助けを優先したり、相手を撃破するにも脱出する暇を与えたやり方を極力実践するなど、情にも厚い人物であった。
また、物語後半に手段を選ばない苛烈な手法を取るようになったのも、切っ掛けは敬愛する主人にして最大の理解者、そして想い人でもあったユーフェミアをゼロによって謀殺されたからであり、望んで無慈悲なやり方に走ったわけではない。
そういう意味では彼もまた戦争の被害者であると言え、一概に責任を負うべき立場とは言い難い。
最終的には自身の罪を認め、憎き仇敵であるはずのルルーシュの計画に協力、それまでの自身の人生と名前、立場を全て平和のために捧げる選択を取っている。
よって、彼を一概に嫌い批判する行為は好ましくないことであり、蔑称としての『ウザク』を用いたり作品のテーマにする場合には、細心の注意を払うべきである。
ポーズとしての『ウザク』
劇中、並外れて身体能力に優れるという設定から、生身でも何かとアクロバティックなシーンが多く描かれた枢木スザク。
そんな彼が披露したポーズの中でも、ファンに一際ネタにされ親しまれたのがメイン画像にもある『ウザク』のポーズである。
Pixivでは、当然ながらこちらの『ウザク』をテーマにした作品が多い。