ミラルパとは、宮崎駿著『風の谷のナウシカ』に登場する架空の人物である。
人物
土鬼(ドルク)諸侯国連合帝国神聖皇帝(皇弟)。
皇兄ナムリス以上の権威を持ち、土鬼の実権を握っている。
僧侶の衣装を纏い、大量の目が描かれた覆面をしている不気味な男。
相当の巨漢であり、対比にもよるが身長は2メートル近いと思われる。
ナウシカ曰く「生きている闇」。セルム曰く「闇から生まれた者」。
幽体離脱中、刺すように冷たく焦げるほどに熱い「闇」をまとっている。
この闇は永年に渡りミラルパに蓄積してしまった凄まじいまでの苦しみが具現化したもの。
ミラルパの父初代神聖皇帝の没後、長兄のナムリスには超常の力(超能力)がなかったため、実権はミラルパが握った。
土鬼諸侯国連合帝国は多民族国家であり、常に民族間の紛争の危機にさらされているが、ミラルパは宗教の力で多民族を一つにまとめていた。
超常能力者の代名詞的存在であり、作中では巨神兵やヒドラ以上に多種多様な能力を披露した。
この超常の能力をミラルパはかなり使いこなしており、念動による衝撃波で攻撃したり、相手の心を読んだり、その気になれば幽体離脱して遠方にいる敵の元へ移動し、直接心臓を握りつぶす、などの芸当も可能。
主に狂気的な独裁者として描かれているが、100年前はナウシカにそっくりな人物だったと言われており、当時は実権を奪われていたナムリスでさえ名君と評す程に優れた君主だった。しかし、帝位に就いて20年以上が経過した頃、愚かなままの民衆に絶望し、徐々に現在のような恐怖政治に移行していった。
独裁者に成り果てた後も、身分に分け隔てなく能力を重視して民を重用したため、チヤルカをはじめ多くの臣下から慕われており、墓所の主に仕えるべき一部の博士からも真の忠誠を得ていた。
「帝国の分解」について
帝国成立以前、土鬼から広く信仰を集めていた土着宗教の中で、「青き衣の者」に関する伝説が存在するが、ミラルパはこれを懸念していた。ミラルパは、この伝説が国の滅亡を示唆していると考えていたのだが、その「青き衣の者」とナウシカを同一視するようになる。こうして、彼はナウシカを抹殺しようと図る。しかし、ナウシカの抹殺は失敗し、返り討ちに遭う。瀕死のミラルパは、聖都シュワに存在する、旧世界の人類が残した「墓所」と呼ばれる所で治療を受けることになるが、兄ナムリスの策略により治療用の浴槽に毒を入れられ殺害されてしまう。その後、ミラルパの魂は、なおもナウシカに執着し彼女を憑り殺そうとしたが、逆にナウシカによって癒され「青き清浄の地」にて成仏していった。
「老いと死」について
ミラルパは「老いと死」を何よりも恐れていた。
その理由は、初代皇帝であった父親が延命処置である移植手術の失敗が原因で、肉体が崩れ落ちながら死亡するという大変ショッキングは死に方を目撃したためである。