この車両はもともとパノラマSuper1030・1230系1134Fの一般車である。
1380系誕生に至るまで
この1380系誕生には以下の一件の事故が絡んでいる。
2002年9月26日、名古屋本線大里奥田間を新岐阜(当時)発豊橋行特急第86列車として新岐阜方に1800系1804Fを従えた8両編成で走行中、大里8号踏切から線路内に侵入したスリランカ人の運転する普通自動車(盗難車)と衝突。先頭2両であるモ1134、モ1184が軌道を外れ、東側に設けられていたコンクリート製暗渠の用水路沿いに大きく脱線。特に先頭車のモ1134は用水路に乗り上げた状態で停止した。
この事故でスリランカ人の普通自動車運転手は死亡、特急第86列車の運転士、車掌、乗客の23名が負傷した。
事故当時、現場付近に対向列車が接近していたが脱線した86列車が架線柱をなぎ倒したことで、須ケ口・国府宮の両変電所が送電を停止。現場直前で停車したためさらなる被害の拡大は免れた。
事故の詳細は航空鉄道事故調査委員会の報告書を参照してほしい。
この事故で1804Fは修理の上復帰したが、1134Fのモ1134、モ1184の2両は損傷が非常に激しかったため廃車となった。
特別車2両を失ったことで残された4両はそのままでは動けなくなってしまったが、特別車2両と比較しても損傷はそこまで酷くなかったため、名鉄はこの4両を再生させることとした。
改造点
豊橋側の中間車だったモ1384に運転台を新設。この運転台の機器は廃車されたモ1134より流用したもので、基本的にモ1584と同じもの。運転台スペースにはもともと車掌台が設置されていた関係で車体長がモ1584に比べて950mm長い。
特急運用には原則として就かなくなったため、モ1584に搭載されていたミュージックホーン、パノラマSuperの愛称板は撤去され、塗装も名鉄一般車でお馴染みのスカーレット一色に塗り直されている。
補助電源装置は2代目3300系の廃車発生品であるSIVに変更されている。
車両性能
電装品は変更されていないため、性能については1230系と大差ない。ただし1380系としての落成直後はブレーキ増圧システムが使用停止になっていたため最高速度が110km/hに落とされていた。2代目5000系登場時にブレーキ増圧システムの使用も再開されているので時速120km/hで走行可能。
改造後の運用
平日は広見線、名古屋本線・犬山線東岡崎駅-犬山間の普通、各務原線で運用され、休日は各務原線犬山-岐阜間の機織り運用に就いていた。また突発的な代走で中部国際空港や知多新線、名古屋本線豊橋駅などに入線したこともある。
電装品の多くが7500系からの流用品であるため、一部で廃車の声も囁かれていた。2015年に3300系1編成を導入。これにより、2015年9月2日に運用離脱、9月14日に東名古屋港へ廃車回送となった。