概要
現在では、西洋におけるオーストリアの学者であるジークムント・フロイトが提唱した精神分析や、アメリカで発展した神経科学の考え方を取り入れた心理学など、ヨーロッパ・アメリカにおける『西洋心理学』が主流である。
しかし、東洋を発祥とする仏教は、それとは違った独自の観点から発展を遂げた、『東洋心理学』と呼ぶことが出来るほど、精緻の理論化されたものであり、現在でも世界中の様々な分野において、仏教が説き開いた心理学的な知見は、大きな影響を与えている。
日本の精神科医で評論家でもあり、相愛大学客員教授でもある名越康文氏は、自身の著書でも仏教を非常に優れた心理学として、より良い参考として取り上げており、2015年に出版した著書『どうせ死ぬのになぜ生きるのか』(PHP新書)では、自身と仏教の出会いの経緯なども兼ねて、本格的に仏教について語っている。
例えば、仏教用語の1つで、仏教の根本的な思想であり、この世の真理の1つとされる『無常(諸行無常)』は、現実のありとあらゆる存在・物事は全て、姿も本質も流動し常に変化するものであり、「全く同じもの」や「永遠に変わらないもの」はこの世には無いという意味だが、これは現代の物理学にも通ずる思想である。