特徴と生態
ニュージーランドの固有種で、13~25種になるモア科の鳥類では最大の種で、頭頂部を含めた体高は最大3.6メートル、体重250キロほどであったと推定されている。現存する鳥類では最大のダチョウよりもはるかに巨体であり、絶滅種を含めると世界で最も背の高い鳥であったとされる。一度の産卵数は2~4個といわれ、また長いくちばしの先が下に曲がっていた。明確な性的二型性を持ち、オスよりもメスのほうが大型で、体高で1.5倍、体重で2.8倍程度の差があったとされる。
かつてはキーウィに近縁と考えられたが、DNA調査からエミューやヒクイドリに近縁だったと判明している。
ニュージーランドは恐竜時代から大陸から孤立した島であり、恐竜絶滅後も大陸から哺乳類がほとんど進出できなかったため、モアやキーウィ、カカポなど多くの鳥類が羽を退化させ地上生活に適応した。中でもモアの仲間は他の鳥類より先駆けて大型化していった。植物食で普段は大人しかったものの、敵に襲われたら強力な後脚から繰り出すキックで応戦したり、最大時速50キロの瞬足で逃げ切ったと考えられる。しかしこのような手段に出るのは、唯一の天敵であった猛禽類「パルパゴルニス(ハーストイーグル)」に襲われた時だけだっただろう(本来ならば)。
絶滅
自然環境の温暖化も影響しただろうが、最大の要因は移住したマオリ族による乱獲だっただろう。後にモアハンターと称されるマオリ族は、西暦1280年ぐらいにニュージーランドに移住し、約300年はどでジャイアントモアを含むすべてのモアを絶滅に追い込んだ(近年の研究では最低50年で絶滅に追い込んだとも)。
主な狩猟方法としては、彼らが立っている時に後脚などを槍や棍棒で攻撃して地面に倒し、自由を奪ってから殺すというものがある。もう1つの方法には、焼け石を飲ませるというものがある。モアは植物食だったが、哺乳類のように歯がなかったので、ダチョウや一部の植物食恐竜のように石を飲み込み、胃に貯めて消化を助けるという習性があった。この習性に目をつけたマオリ族は彼らに焼け石を飲ませることで、内臓を火傷させ苦しみ悶えさせながら殺していたようだ。
こうした乱獲と、繁殖力の弱さが、本種をはじめとするすべてのモアを絶滅に追い込んだとされている。またモアが絶滅したことで、彼らを獲物としていたハーストイーグルも絶滅の道をたどったとされている。
余談
モアの呼称の由来については、ヨーロッパ人が原住民にモアの骨を集めさせた折に「もっと骨をよこせ」(More bones!)と言ったのを、原住民が鳥の名前と勘違いしたのだと言う説などが存在する。ちなみにマオリ人は彼らを「タレポ」と呼んでいた。
ジャイアントモアの学名は1843年、「恐竜」という語を創設した古生物学者リチャード・オーウェンによって命名された。その名はディノルニス・マキシムス。ラテン語で「とても巨大な恐ろしい鳥」を意味する。