F-4について
もともとはアメリカ海軍向けが「F4H」、アメリカ空軍向けが「F-110」という名称だったが、1962年のアメリカ軍軍用機の命名規則統一により「F-4」となった。
ちなみに初期の海軍向けの名称は、Fが戦闘機、Hがマグドネル社、4が(マクドネル社の)4番目の機体を意味する。つまり「マクドネル社が開発した4番目の戦闘機」という意味である。
概要
そもそもはアメリカ海軍が空母で運用する艦隊防空戦闘機として作られた機体だったが、コストの鬼として知られたロバート・マクナマラ国防長官(当時)がこれに目をつけ、海空両軍で同じ戦闘機を使わせる事で出費をケチるという思惑のもと、空軍も採用させられるハメに。
イヤイヤながらに押し付けられた形の空軍ではあったが、何だかんだと気に入ってしまい大量に発注することとなった。
ちなみに計画当初の型番(後述のF4H-1)と紛らわしいので、H型は欠番になっている。
各型(輸出先での現地改修はとりあえず割愛)
アメリカ海軍向け
・F4H-1F/F-4B
最初の生産型。冷戦中の海軍が何にビビってたかと言えばソ連の爆撃機であり、これを艦隊から離れた位置で迎撃すべく長射程のスパローミサイルと大型のレーダーを組み合わせて作られた。
ミサイル搭載迎撃機と割り切ったせいで機関砲は搭載しなかった。これは後のベトナム戦争、ミグとの空戦で影を落とした。近すぎるとミサイルは使用できないのだ。
・RF-4B
海兵隊で運用された偵察型。機首のレーダーを外し、カメラを収納する。武装は搭載しない。F-4Bの生産ラインから改造された。
・F-4J
B型の改良機種で、レーダーとエンジンを換装する一方で効果の低かった赤外線捜索追尾装置は撤去されたりした。後には余剰機がイギリス空軍に引き渡されたりしている。
・F-4N
既存のB型をJ型相当に改修した機体。今なら予算対策でJ型と一緒くたにされてるとこだ。
・F-4S
F-14がその価格ゆえに配備を遅延するなか、それを補完すべく採用されたF/A-18までの繋ぎとして既存の海軍型ファントムを近代化改修したもの。電子機器とエンジンの変更以外に、空軍のE型に採用されて好評だった空戦スラットなんかも導入された。F-14を買ってもらえなかった海兵隊から優先的に配備された。
アメリカ空軍向け
・F-4C
戦術空軍団向け戦闘爆撃機で、F-4Bがベース。海軍の調達を阻害すべからずとのお達しにより、空中受油方式の変更、不正地運用向けの降着装置など最低限の改造しか出来なかった。
・RF-4C
戦術偵察仕様。RF-4Bとほぼ同一だが、核攻撃能力があった。ベトナム戦争後には自衛用にサイドワインダーの運用能力も付与されている。
敵防空網制圧(SEAD)に最適化された機体で、対レーダーミサイルを運用した。
・F-4D
本格的戦術戦闘機。F-4Cと比較して戦術空軍の要求をふんだんに盛り込む事が出来た機体。電子機器が空軍独自のものになってるぞ。数ヶ国に輸出された。
・F-4E
固定機関砲装備型。しかし引き換えにレーダーは小型のものとなり性能が低下、下方捜索能力を失ってしまった。空戦スラットの導入も生産途中より行われ、これは海軍のS型にも装備された。多数の友好国へ輸出されたのもこのタイプである。
アメリカが運用した最後のファントムは、このSEADミッション機。戦場を交錯する敵レーダー波のなかから脅威度の高いものを選別し、その場でチューンした対レーダーミサイルを撃ち込むすごいやつである。湾岸戦争ではイラク軍レーダー網を無力化する任務において、新型のF-16を差し置く大活躍をみせたが、結局90年代半ばまでに全機が退役。
・QF-4
退役したF-4を改造した標的機(ターゲットドローン)。無人機化によって外部からのリモートによって操作され、主に対空ミサイルの標的等に使用される。正確にはQF-4B、QRF-4Cなど、ベースとなった機体によって名称は異なる。近い将来、QF-16に更新される予定。
輸出向け
・F-4K(ファントムFG.1 イギリス海軍)
・F-4M(ファントムFGR.2 イギリス空軍)
・F-4EJ(日本 航空自衛隊)
・F-4F(西ドイツ空軍)
・RF-4E(米国での採用はなく、輸出専用)
・F-4X・RF-4X(イスラエル空軍向けの水エタノール噴霧装置を搭載した推力増強型。計画中止)
F-4E性能諸元
(一部wikipediaより引用)
全体性能
・乗員/2名
・全長/19.20m
・全高/5.02m
・翼幅/11.71m
・使用エンジン/J79-GE-17(F-4E)
武装
・機関砲/GE M61A1 バルカン×1(20mmガトリング砲)
・短距離ミサイル/AIM-9×4
・中距離ミサイル/AIM-7×4
・Mk-81~84など各種爆弾
・AGM-65などの空対地ミサイル
(日本ではASM-2といった空対艦ミサイルも)
(以降を書いてくれる方、募集中)
運用者
アメリカ合衆国/退役済
・アメリカ空軍
・アメリカ海軍
・アメリカ海兵隊
日本/現役
・航空自衛隊(配備部隊:301SQ.302SQ.501SQ.ADTW)
イギリス/退役済
・イギリス空軍
・イギリス海軍
ドイツ(旧西ドイツ)/退役済
・西ドイツ空軍
ギリシャ/現役
・ギリシャ空軍
スペイン/退役済
・スペイン空軍
トルコ/現役
・トルコ空軍
イスラエル/退役済
・イスラエル空軍
エジプト/現役
・エジプト空軍
イラン/現役
・イラン空軍
韓国/現役
・韓国空軍