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イワナの怪の編集履歴

2016-11-11 11:22:57 バージョン

イワナの怪

いわなのかい

やめなされ・・・やめなされ・・・惨い殺生はやめなされ

概要

イワナの怪.jpg

イワナの怪とは、昭和49年発行の「日本の民話3 福島篇(未来社)」という本に南会津の話として収録された「いわなの怪」、及びそれに類話した話を参考にして制作されたアニメまんが日本昔ばなしの第41話68回目に放送された、「イワナの怪」のことを指す。


楽をして儲けるために根流し(ね ながし)漁と通称される漁法を計画した木こり達が、それを注意する坊さんの警告を無視し根流しを強行した結果、結果的に因果応報的な結末(詳しくは後述)を受けるストーリーとなっている。

妖怪「岩魚坊主」が登場する話として、細部の異なるものは福島県周辺以外の日本各所でも確認されている。基本的には前述の原作「日本の民話3」に忠実だが若干変更されている部分が存在する。


同じく「根流し漁」も会津地方限定の風習では無く、例えば宮沢賢治の一編には「毒もみ漁」なる別名で、他にも毒流し、アメ流しなる名で同様の漁法が複数の地域の歴史に記録されている。

これは何も日本特有の風習ではなく、世界的にも古来より続いてきた漁法である。古代ギリシャの哲学者アリストテレスの紀元前4世紀頃の著作「動物誌」には「毒物その他による魚の漁法」という題で記録があり、現代でも南米のヤノマミ族などは川や小さな沼などで植物を使った毒流し漁を行っている。


根流しの毒として使う植物は山椒クルミの樹皮・エゴノキムクロジの実などが知られている。魚がマヒして気絶するだけで命まではとらないとされるが、それでも水産資源を守るために「サツマイモのつるで堰を作り、下流に流れる毒を減らす」「決められた日にしか行わない」などの決まりごとはあったようだ。


どうじゃ?酷いことじゃろう?


あらすじ

南会津の山奥を流れる水無川(増水時には水が流れるが、通常は伏流水になるなどして地表を水が流れない川のこと)上流で、四人の木こり達が木を伐っていたが、暑さが続き仕事に疲れた彼らは、明日は仕事を休んで根流しで岩魚(イワナ)を捕り、ラクして儲けようと計画する。


さっそくその晩、木の根や葉っぱを鍋で煮て、「根」と呼ばれる魚を仮死状態にさせる天然物の神経毒を作っていた時の事、山奥にもかかわらず何処からとも無く一人の坊さんが現れ「根を流せば小魚まで死んでしまう、むごい事はやめなされ」と説教を始めた。木こり達は突然現れたこの坊さんを気味悪く思い、とりあえず持っていたキビ団子をご馳走して宥めつつ、親分格の木こりが「明日の根流しはやめる」と坊さんに場当たりな約束をすると、満足したのか彼は去っていった。


しかし心から根流しを止める気など無い木こり達は、翌朝すぐに沢山の根を川に流し大量のイワナを獲り始めた。大漁に気を良くした彼らはもっと大きな魚を捕ろうと上流の「底無しの淵」と呼ばれる、普段は皆が近寄らないような場所にまで到達し、勢い任せに残った根を桶ごと淵へ投げ込むと、並みのイワナのみならず見た事もないほど巨大なイワナまでもが白い腹を見せて浮かび上がってきた。


その夜、浮かれた木こり達が祝杯の肴にするため巨大イワナの腹を割いてみると、ポロポロと見たことのあるキビ団子が転がり出てきた。つまり昨日の坊さんはこのイワナが化けていたのだ、と彼らが理解したとたん、坊さんに根流しの中止を誓った親分格はバッタリと倒れて動かなくなり、それを見た他の者たちは恐怖にかられてその場を逃げ出すのだった。やがて谷川の水はきれいに戻り、魚も住めるようになったが、この不思議な話はいまも人々に語り継がれている。


登場人物

ジャガーノート

岩魚坊主

CV:常田富士男

坊さんに化けて木こり達に根流しをやめる様に警告した、「底無しの淵」の主と呼ばれる大イワナ。正体を隠すためか顔の殆どを立帽子で隠しており不気味に輝く目の光としゃがれた声が特徴。ヌシとして長年生き続けたからか人語や人間社会を解し、人間の姿に化けて手足を生やし陸上も歩けるような妖怪の力がある。

ただし顔は変えられないのか上記の通り立帽子で隠し、食事の時にも口に食べ物を投げ込んで食事する(肉食魚のイワナは歯を持つが、飲み込んだ獲物を逃がさない為の機能なので口内で咀嚼しない)。

木こり達の非道な行いを警告する魚類の鑑だが、自由業風であまり子持ちの雰囲気も無さそうな荒くれの木こり達に親子愛や社会性に訴える例え話で説得を試みる、それを不気味に思った木こり達が勧めてきたきび団子を食欲には勝てなかったのか貰ってアッサリと説教を止めてしまう、彼らの適当なウソをすぐ信じて何の担保も無しに引き返すなど、野生動物故の「悪」に対する免疫がないと見受けられる。

「やめなされ・・・やめなされ・・・惨い殺生はやめなされ」など数多くの名言も特徴。

最後は木こり達の深く汚い欲望により仲間もろとも根流しで死亡してしまう。


・アゴヒゲクマ男

木こり達のリーダー的存在で、デカイ図体とアゴヒゲが特徴のワイルドな山男。根流しで楽してガッポリ儲けることを仲間に提案しイワナ坊主の警告を無視、数多くのイワナを大量殺戮した。根流しは川の水が少ない時期でないと効き目が薄く日照りで川の水量の減っている時に根流しを決行しようとするなど、漁の知識や山での生活の経験が豊富な様子。

原典では割かれた大イワナの胃の中のきび団子が発した毒気によって死ぬという因果応報的な最期を迎えており、アニメ版もナレーションや台詞などで明言はされていないが、呻き声を上げた彼が直後に不自然な姿勢で崩れ落ちる、という描写によって男の死を暗示している模様。

CVはイワナ坊主と同じ常田富士男氏。


・その他の男達

ヒゲクマ男の取り巻きの3人。ヒゲクマ同様年配の男だが、まんが日本昔ばなしの役者2名のみで登場人物すべてを演じ分ける事情から市原悦子氏が声を当てている為、妙に女らしく甲高い声が特徴。

人気のあるセリフは「根流しするとよ、魚がみんな白い腹見せてよ、プカプカ浮くんだから面白えよな。」や「一発でドカーンと獲れてしまうだよ」など。

アニメ版では坊さんの正体に驚き逃げ出したラストだが、原典では発狂しておりヒゲクマ同様因果応報的な最期を迎えている。


名台詞

・根流しすっぺ

・根流しとは、川の中に毒のようなもの(毒とは言わない)をまいて、浮いた魚を獲るという方法じゃった。連中は小屋へ帰ると早速根を作る作業を始めた。山の木を伐り葉っぱと皮を焼き、灰でグツグツと煮ると根が出来るのじゃった。

・根流しするとよ、魚がみんな白い腹見せてよ、プカプカ浮くんだから面白えよな

・根は淵に流すに決まっとるっぺ。根を流せばよ、面倒な事は何にもいらね。一発でドカーンと獲れてしまうだよ。えーっ!

・やめなされ・・・やめなされ・・・惨い殺生はやめなされ


ネットにおけるイワナの怪

あのさぁ…

上記の通り何の変哲も無い、いわゆる自然と共生するための知恵が含まされたよくある展開の昔話であるが、かねてからその素人演者たちの棒読み具合からゲイ向けアダルトビデオ「真夏の夜の淫夢」の雰囲気を連想したネットユーザー達からからかわれていた東方二次創作作品「クッキー☆」の、霧雨魔理沙役を担当した出演者UDK姉貴の、ニコニコ生放送における「あのさぁ・・・イワナ、書かなかった?」という発言がごくごく一部の界隈で大ウケされてしまったため、このエピソードも巡り巡って注目を浴びることになった。


上記の発言の背景は、放送以前に彼女自身が行き過ぎたイジリに対して掲示板へ”書き込んだ”警告内容についてニコニコ生放送内で怒りと共に言及しようとした際「言わなかった?」と途中まで言いかけてから訂正したことによる結果(つまり、イワナ=言わな)。


これが前述の「真夏の夜の淫夢」第2章の1シーンのセリフ「あのさぁ・・・もうバックはいいから。フェラやってもらってさ、終わりでいいんじゃない?(棒読み)」と、以前から2ちゃん界隈でのゲイネタお笑いコピペとして著名だった「イ、イサキは?イサキは、と、取れたの??」を彷彿とさせる言い間違いに偶然なってしまったこと、そして元々日本昔ばなし自体が以前からニコニコ動画に違法アップロードされた際の動画IDに「sm893893」(=ヤクザ ヤクザ。該当動画は既に削除済み。イワナの怪とは別のエピソード。)が採番されたことや、ホモ臭い男達と数々の名台詞、空耳のせいでホモネタ愛好家達に「日ぺ昔話」として注目されていたことが結びつき、この「イワナの怪」も淫夢民の中でもマナーが悪い人に目を付けられ風評被害を受けることとなる。

本項目のトップ画像のように東方の魔理沙とただのイワナがなぜかセットで描かれる絵が見られ、かつそこが同性愛ギャグの飛び交う場になっているのはこのため。


以降、川などの水場はもちろんのこと、小さい水たまりや海、果ては天の川ですらも見かけ次第「根流しすっぺ」と言いながら根流しを敢行しようとするようになった。

なおこのイワナの怪で根流しが大きく注目されたことにより、根流しのニコニコ大百科記事がGoogle検索で再上位に表示されるようになっている。内容も根流しについて非常に詳しく書かれている。

余談

「ふるさと再生日本の昔話」では「ものいう魚」というタイトルで放送された。相違点はあるが、構成は同じ。


関連タグ

まんが日本昔ばなし

イワナ

岩魚坊主

東方雄野郎


風評被害 ジャガーノート (坊さんの台詞「じゃが、のう!」の空耳

真夏の夜の淫夢 クッキー☆ UDK姉貴


青酸カリ ダイナマイト 電気ショック …根の代わりに近代になって使われるようになったもの。まさに惨い殺生そのものであり、環境問題でもある。

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