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一式砲戦車の編集履歴

2017-01-04 12:03:29 バージョン

一式砲戦車

いちしきほうせんしゃ

大日本帝国陸軍が装備した自走砲。本来の名称は一式七糎半自走砲だがこちらの呼称の方が有名。

解説

名称について

 この車両は当初、砲兵部隊の兵器として「一式七糎半自走砲 ホニⅠ」(以下一式砲戦車と表記)という名で開発されたが、途中で砲戦車として採用したいという意見が戦車部隊側より提案されたため、ホニの所属を巡って、砲兵部隊と戦車部隊の言い争いが始まる。

最終的には、事前に戦車部隊向けに試作された試製一〇〇式砲戦車 ホイとの比較試験やその後の協議を経てホニ車は、当初の予定通り砲兵部隊所属の兵器、つまり自走砲として生産配備を進められることとなった。

一式砲戦車という名称は、この砲兵と戦車兵との一悶着のさなかに、戦車第三〇連隊側がホニ車を一式砲戦車と呼称したのが大元であり、この争いの名残でもある。

また、この一式砲戦車という呼称は、この後も情報の改定の遅れのためしばらく使われ、戦争末期には戦車部隊の中に砲戦車とは別個に自走砲部隊を組み込むこともあったようである。

(ちなみに、少なくとも一両のホニ車が代用砲戦車としてビルマに配備された。)

また、兵器開発・配備を取り仕切る部署からは砲戦車=対戦車能力が優れた車両全般を指すようになったため、自走砲・砲戦車の区分もあいまいになったことも、一式砲戦車という呼称の方が有名になる原因になったと思われる…多分。


本車の作り

 一式砲戦車は九七式中戦車の車体に直接九◯式野砲を搭載したもので、オープントップの簡単な戦闘室(装甲板の囲い)を持ち、搭載される九◯式野砲は対戦車兵器ではないが装甲貫徹力が比較的に高く、特に大戦中期にM4シャーマンが登場すると日本軍の対戦車兵器では対処困難になったため有力な対戦車砲として活用された。また、大戦初期の突撃砲に似た運用法も想定されていたため正面装甲はチハ車の二倍の50㎜になっていた。


この車両は何なのか

欧米諸国が既存の野砲を自走化し効率と火力を増そうと研究・開発を開始したため日本もこれに倣い

開発研究されたのが本車両である。本車両はあくまでも野戦砲を自走化しただけであり、いわば、自走九〇式野砲といったところであろうか。(後述の一式十糎自走砲も同様である)あくまで野砲なので対戦車戦闘は二の次で、照準器も陣地用のままであり移動目標用の照準器は付いていなかった。


本車の開発はノモンハン事件の直後に始まっており、二年後の1941年半ばには開発が完了した。しかし航空機重点主義や既存の機甲兵器の生産に追われたため生産が始まったのは1943年末だった。(M4シャーマンが太平洋戦線に現れ始めたのもこの頃)。


主砲の九〇式野砲が対戦車戦闘において安価な対戦車砲になりえることが分かると本砲を搭載したこの車両は当初のような歩兵支援用ではなく対戦車戦を意識し、三式砲戦車に改良されることになるが結局温存され、前線に送られたのは素の一式砲戦車である。

主砲は一式徹甲弾をした場合1000mの距離で厚さ70mm弱の装甲板を、500mでは約80mmの装甲板を100mでは約90mmの装甲板を貫通できた。

これはM4を正面から撃破するにしては不十分な物でした。が実戦では500m前後の距離でM4を正面から撃破したという報告例があり本車両を鹵獲した米軍からも「あらゆる連合減車両を撃破しうる兵器である。」という高評価をもらっている。

(実は本車の貫通性能では、500mでのM4の正面貫通は不可能に近くM4の型式の中でも対弾性能が劣るタイプの車両が相手だったのが原因だったか事実誤認ともいわれ、他にも車体下部の垂直部に命中した、起伏に乗り上げ傾斜が減少していたなど様々な説がある。)


活動

 量産車が出始めるとすぐに本車は前線へ送られたものの、片ッ端から輸送船が撃沈されたためほとんど戦地に届かなかった。しかしそれでもなんとかフィリピンに届いた機動砲兵連隊所属の

四両が実戦に参加している。


結局は全滅し戦局には何ら影響も与えなかったが、一式砲戦車は友軍と連携し敵の陣地や車列を攻撃しまくり、輸送トラックを多数、M4戦車を複数破壊したようだ。


この他にビルマの第十四連隊に少なくとも一両の一式砲戦車が配備されたが目立った戦果は無く、フィリピンでの戦いが本車のほとんど唯一の活躍と思われる。


つまるところ

 一式砲戦車は恐怖のM4シャーマンに対して(わりと)積極的に機動して攻撃できる、たいへん心強い車両であったであろう。米軍の本車に対する評価も高い。ただしあくまでも本兵器は即興の対戦車兵器であることは否めず、あくまで本兵器は本質は素早く動ける野砲であるがゆえに対戦車戦闘は苦手であり装甲も限られた箇所しかないため生存性が低かった。

(当然ながら戦場では(対)戦車砲などに直接撃たれる機会より小銃弾や有効距離内で炸裂した榴弾の破片を被弾する機会の方が多く脅威である。)



派生車両

一式十糎自走砲

九〇式野砲の代わりに九一式十糎榴弾砲を搭載した車両。実戦参加は無し。

歩兵支援用だが主砲の九一式十糎榴弾砲はM4シャーマンとの戦闘においても実績あり。

また成形炸薬弾も用意されており、命中すれば距離に関わらず120mmの垂直装甲板を貫通可。


三式砲戦車

一式砲戦車の密閉戦闘室版。砲戦車甲とも呼ばれ一式砲戦車こと一式七糎半自走砲を対戦車戦の中核をこなせるよう改修した物。

固定戦闘室でもいいからと三式中戦車の代用ともいえる車両で、一式砲戦車とは違い四式十五糎自走砲のように最初から対戦車戦闘を想定した対戦車自走砲であり火力支援車両でもある。戦闘室は旋回砲塔風だが前述のとおり固定式なので絶対に回らない。

実戦参加は無し。

関連タグ

戦車 自走砲 突撃砲 駆逐戦車

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