エルドリッジ
えるどりっじ
概要
1943年2月22日起工、7月25日進水、8月27日就役。
地中海や太平洋の戦線で、船団護衛や対潜哨戒に従事した。
1946年6月17日退役、1951年3月26日除籍。
1951年1月15日、ギリシャへ引き渡され駆逐艦レオンとして運用される。
1992年除籍、1999年にスクラップとされた。
フィラデルフィア計画
ペンシルベニア州フィラデルフィア沖合で行われたとされる、アメリカ海軍のステルス実験(正式名称『レインボー・プロジェクト』)。
当時のレーダーは、「船体が発する、特徴ある磁気に反応するシステムである」と考えられていた。そのため、発明家ニコラ・テスラは、「テスラコイル(高周波・高電圧を発生させる変圧器)で船体の磁気を消滅させれば、レーダーを回避できる」と考えていた。
この実験はフォン・ノイマンに引き継がれ、1943年10月28日、エルドリッジに船員を乗せ、「磁場発生装置テスラコイル」を使い、「レーダーに対して不可視化する」という実験を行なうこととなる。エルドリッジの船内には多くの電気実験機器が搭載されており、そのスイッチを入れると強力な磁場が発生し、駆逐艦がレーダーから消失。
実験は成功した。
……が、直後に不可思議な現象が発生する。
実験開始と共に海面から緑色の光がわきだし、次第にエルドリッジを覆っていったのである。次の瞬間、艦は浮き上がり発光体は幾重にも艦を包み、みるみる姿はぼやけて完全に目の前から消えてしまった。あろうことか、レーダーどころか艦自体が消えてしまったのだ。
しかもエルドリッジは、2,500kmも離れたノーフォークに瞬間移動していたのである。
数分後、エルドリッジはまたもや発光体に包まれ、元の場所に瞬間移動した。
これだけでも相当に不可解な現象だが、真に恐ろしいのはこの後である。
戻ってきたエルドリッジだが、乗員は、
体が突然燃え上がった
衣服だけが船体に焼き付けられた
甲板に体が溶け込んだ
発火した計器から火が移り、火だるまになった
突然凍り付いた
半身だけ透明になった
壁の中に吸い込まれた
という驚くべき状態だった。それ以外の乗員も発狂した。
まさに地獄絵図である。唯一、鉄の隔壁に守られた機械室にいた、一部のエンジニアたちだけは影響を受けなかった。
こうして実験は成功したが、「行方不明・死亡16人、発狂者6人」という、取り返しのつかない結果に終わった。海軍上層部は、この実験を隠蔽したとされている。
……と、いう話が伝わっているが、
エルドリッジは8月27日にニューアークで就役して以来、1943年中には一度もフィラデルフィアに寄港していない。
ノーフォークで瞬間移動してきたエルドリッジを目撃したとされる商船アンドリュー・フルセスは、記録によると10月25日にはノーフォークを出港しており、以降1943年中は地中海にあった。
同船に乗り組んでいた米海軍予備士官ウィリアム・S・ドッジ少尉は、彼も他の乗組員もノーフォーク在泊中に特に変わったものは見ていないという手紙を寄せている。
つまり実験自体行われておらず、「都市伝説」である。
元ネタは、当時行われていた船体消磁の実験とも、1950年代に駆逐艦ティマーマンで行われた高周波発電機の実験ともいわれる。
ティマーマンの実験では高周波発電機から放電現象などが起こったが、乗組員に実験による影響はなかった。