蔦怪獣バサラ
つたかいじゅうばさら
データ
別名 | 身長 | 体重 | 出身地 |
---|---|---|---|
蔦怪獣 | 60m | 4万t | 捨て子塚 |
第11話「血を吸う花は少女の精」に登場
概要
死んだ捨て子を弔う「捨て子塚」で成長した吸血植物で赤ん坊のような鳴き声を発する。
ZATの北島隊員の推測では、寺に土葬されていた死体を喰らって生育していたが、喰い尽くしてしまったので新たな餌を求めて活動を開始したと思われるが、書籍によっては捨て子塚に埋葬された子供たちの怨念の化身ともされている。
捨て子塚の下に潜んでおり、口から蔦を伸ばして寺の付近の人間を襲っていた。
伸ばした蔦からは電撃「サンダーフラッシュ」を発生させることができ、これで獲物を麻痺させ耳から血液を1滴残らず吸い尽くす。また自身の体の一部である花を目印に、捨て子塚から相当離れた場所にいようが、花の周囲にいる生物まで蔦を伸ばして襲いかかる。なお蔦自体は細いものならば人力で引き千切ることも可能。
また、人一人の血液を吸い尽くして殺すたびに、体の体毛に『恨み花』と呼ばれる不気味な血のような真っ赤な花が咲くとされている。
一度ストリウム光線で粉砕されたが、直後に怨念が集まって復活(すぐにまた爆発したが)したので、後のホーのようなマイナスエネルギー怪獣かもしれない。
ちなみに復活した直後、お経のような声が流れて捨て子塚のあった寺を燃やした。
こいつに襲われて失血死する様が怖いのでトラウマ怪獣に挙げられるが、この話で本当に怖いのはバサラではない!
岩坪かなえ
東光太郎「憎んでいたんじゃないのかな……、自分を捨てたお母さんをさ……。いや、お母さんにそうさせた世の中と言った方がいいのかもしれない……」
怪獣でも宇宙人でも何でもない一般市民だが、敢えて記述する。孤児院から岩坪家に養子にはいるが、養母との折り合いが悪く、ハサミ片手に捨て子塚を彷徨い歩いてバサラの花を集めていた。
ウルトラシリーズにおいて所轄「クソガキ」として扱われる子どもは多いが、大抵は事件を起こす場合は無知や不注意のケースが多く、大抵事件後には改心している。しかしこの少女の場合は違う。バサラの習性を理解した上で、花を無関係な人間に笑顔で配っていたのである。いつからバサラの正体を知っていたかは不明だが、少なくとも目の前で養母が殺害された直後に町中で配っている故意犯である。
劇中では明確にバサラの被害にあったのは養母を含め9件だが、養母が襲われる前から知っていた可能性もあり、被害を広げたのは彼女かもしれない。もしそうなら鯛焼きをご馳走した健一くんを笑顔で殺害しようとしたということで、益々寒気がする(実際酔っぱらいが偶然寺の前を通りがからなければ、健一くんと森山隊員は死んでいた)。
上記のような見方がある一方、それ以外の解釈のしかたでは、バサラの習性を理解したのは(世間体を気にして彼女を引き取った)養母が殺害されたのを目撃したことが切っ掛けっぽい感じの描写も見受けられ、(少なくとも最初は、純粋に普通の花だと思って配っていたような感じではある)そのため、一概に最初から知っていた可能性も否定はできないが、そのあたりの詳細は不明である。
なお、物語は新たなバサラを求めて墓場をハサミを鳴らしながら彷徨う姿で締め括られている。つまり反省の色は全くない。
しかし、一連の犯行の動機が、上記の光太郎のセリフにある通り、自分を母親に捨てさせるような環境を作ってしまった社会(=大人達)への復讐であり、そんな社会背景が存在したのもまた事実である(放映当時の子ども、特に孤児への人権意識の低さは現代の比では無い。特に本作の放映された1973年は全国で乳幼児死体遺棄事件が多発し、社会問題化していた。)。
そのため、彼女も大人の身勝手で作り上げられた社会によって翻弄され、心を歪ませられた犠牲者の一人であり、哀しき悪役といった表現が適切なのかもしれない…(とはいえ物語の後半で彼女が行った行為は許されるものではないが…)。
おそらくこのエピソードには当時の世相への批判と同時に、視聴者への「かなえのような子を生み出すような社会を作らないで欲しい」という祈りが込められていたのだろう。