概要
アメリカテキサス州の片田舎を舞台に、若者たちが異常な殺人一家の餌食となる姿を描いたホラー映画の古典的作品であり、傑作。
もともとは低予算映画だったが、公開されるや否や多くのフォロワーを産み、その映像描写の芸術性の高さから、現代ではマスターフィルムがニューヨーク近代美術館に永久保存されている。
なお、”殺人”を扱った”史実(記録映画等)以外の作品”は、ジョージ・A・ロメロの『ナイト・オブ・ザ・リビングデッド』と本作のみである。
細かい心理描写や人物の生い立ち、複雑なストーリー構成と言った要素は一切無く、視覚からの情報と作品全体に漂う異様な雰囲気が、観る者に強烈な印象を与える作品である。
音楽も少なく、カーラジオから流れる音源がそのままBGMとして使われていたりする場面もある。
だがその全体的な静けさが、かえってこの作品の、独特な雰囲気を醸し出すことに一役買っている。
また、スプラッター映画にしては珍しく流血描写は控えめで、濡れ場やお色気シーンは皆無にもかかわらず、あまりのおぞましさに上映禁止の州が出るほど当時としては大問題となった。
記録映画のようなざらついた映像は意図したものではなく、予算が足りないため、16ミリフィルムで撮ったものを劇場用のサイズにブローアップしたためである。
劇中のカット割り・アングルなどの完成度が異様に高く、特にエンディングの映像の美しさは必見である。
監督のトビー・フーパーはテキサス・連続ライフル射殺魔の事件現場に居合わせ、その惨劇を目の当たりしたことから、この映画の着想を得たと言われている。また、実在した殺人鬼エド・ゲインの事件をモデルにしたとも言われているが、監督自身はこの件に関しては記憶が曖昧だと言う。
本作の殺人鬼レザーフェイスはその強烈な個性から、本作を象徴するキャラクターとして知られている。
シリーズ化
タイトル | 公開 | 監督 | |
---|---|---|---|
1 | 悪魔のいけにえ | 1974年 | トビー・フーパー |
2 | 悪魔のいけにえ2 | 1986年 | トビー・フーパー |
3 | 悪魔のいけにえ3 レザーフェイス逆襲 | 1990年 | ジェフ・バー |
4 | 悪魔のいけにえ レジェンド・オブ・レザーフェイス | 1995年 | キム・ヘンケル |
5 | テキサス・チェーンソー | 2003年 | マーカス・ニスペル |
6 | テキサス・チェーンソー ビギニング | 2006年 | ジョナサン・リーベスマン |
7 | 飛びだす悪魔のいけにえ レザーフェイス一家の逆襲 | 2013年 | ジョン・ラッセンホップ |
訃報
”Sally”役のマリリン・バーンズ(Mary Lynn Ann Burns)さんが2014年8月5日にテキサス州の自宅にて65歳で、
”レザーフェイス(Leatherface )”役のガンナー・ミルトン・ハンセン(Gunnar Milton Hansen)さんが2015年11月7日、メイン州にて膵臓癌のため68歳で、
トビー・フーパー(Tobe Hooper)監督が2017年8月26日、カリフォルニア州にて74歳で、亡くなった。
謹んでご冥福をお祈り致します・・・。
備考
本作の原題は『The Texas Chain Saw Massacre』であり、直訳すると『テキサス電動のこぎり大虐殺』となる。