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エンタープライズ(CVN-65)の編集履歴

2018-01-04 22:07:56 バージョン

エンタープライズ(CVN-65)

えんたーぷらいず

エンタープライズ(CVN-65)とは、アメリカ海軍の原子力空母である。

ここでは、アメリカ海軍原子力空母を扱う。第二次大戦時のヨークタウン級空母などについては、エンタープライズ(曖昧さ回避)を参照のこと。


概要

本艦は、1961年11月25日に就役した、世界初の原子力空母である。2012年12月1日の不活性化(原子力艦の実質的な退役)式典まで世界中を駆け巡り、アメリカ海軍の象徴として活躍した。同型艦はコストのため計画中止となり、彼女一隻のみでエンタープライズ級を構成している。艦名は、第二次大戦の殊勲艦であるエンタープライズ(CV-6)から受け継いだものである。このため、あだ名も同じく「ビッグE」とされている。


来歴

1940年代半ばより核の時代が始まり、研究が進む中で、核分裂による膨大なエネルギーが艦船の動力源としても注目されるようになった。長距離高速航行を必要とする空母にとって、原子炉は非常に魅力的な機関であった。そこで原子力空母の構想が立ち上がったものの、当時はまだ空母用の大型原子炉が存在しなかったので、この空母案では巡洋艦用のC1W原子炉を改良したものを搭載することになった。当初は大型機の運用を考え、艦橋の両脇に発着艦用の飛行甲板を設置するという非常に奇抜な設計を採用する予定であったが、これではむしろ航空機の運用能力が低下すると批判を受けた。これを解決するために、キティホーク級を基本とし、原子力化を図ったのがエンタープライズである。


就役後間も無く、キューバ危機での海上封鎖に参加するという衝撃的なデビューを果たしたのち、シー・オービット作戦で原子力艦の機動性を世界に知らしめた。この後もベトナム戦争やイラク戦争など主要な作戦に参加し、2012年12月1日、ついに事実上の退役を迎えた。かつての主敵であったソビエト連邦は既に崩壊し、冷戦の終結を見届けた艦の退役は、一つの時代の終焉を感じさせた。


爆発事故

ベトナム戦争時、搭載機のズーニー・ロケットが排気熱によって誘爆し、飛行甲板での大爆発を引き起こした。多数の死傷者を出し、大破したエンタープライズは修理を余儀なくされ、しばらく戦線を離脱することになる。原因は異なるが、空母フォレスタルでも同様の事故が起きており、その後のダメージコントロールや兵器管理に大きな教訓を残した。


日本にて

1968年、ベトナム戦争の折、日本の佐世保に寄港したことがあるが、当時は学生運動の最盛期であったため猛烈な反対運動が起きた。これゆえ、反戦の象徴としても知られる。


設計

飛行甲板の形状など、船体に関してはキティホーク級を基本としている部分が多く、オーソドックスな一方で、艦橋は非常に特異な形をしていた。艦橋の4面にSCANFARシステムを構成するフェイズドアレイレーダーが装備された上、航海艦橋上部にはECMアレイを備えたパゴダ状の構造物が設けられるなど、意欲的なデザインが施されていた。これは煙突が原子力化により必要なくなったためで、飛行甲板の気流を改善する効果があり、また煙に弱い精密な電子機器を装備できるようになったことを受けたものである。しかしこれらの特殊な装備については改装で撤去され、かなり落ち着いた印象となってしまった。原子炉の採用により、燃料弾薬の搭載量増加などさまざまな恩恵を受けたが、建造費は高騰し、同型艦はキャンセルされた。


船体

キティホーク級を基礎とし、大型化を図った設計であり、使用された鋼材の量はおよそ60,000tである。原子力化による改正と、煙路と煙突が無いことの他は、通常動力型空母とあまり変わっていない。水線長/幅比は7.8と戦後の米空母としてはもっとも長細く設定されており、高速を出すのに向いていた。これは35ノット以上の速力が要求されたからで、キティホーク級に比べて抵抗を抑えることで、同じ出力でより大きな速力を達成しようと考えたからだと思われる。


機関

原子炉としてはウェスティングハウス社のA2W加圧水型原子炉を八基搭載。原子炉は二基ごとに一グループを作り、分散して配置された。出力は一基あたり35,000shpと小さく、かなりスペースを食ったうえ、原子炉の重さに対抗するため、船体をかなり補強したともいわれる。原子炉と四基の蒸気タービンで四基のスクリュープロペラを駆動したが、そのパワーは巨大であった。280,000馬力の出力をもって通常運用時の最大速力33.6ノットを叩き出し、公試では36ノットを発揮したとの話がある。原子炉は加減速の反応が良く、巡航速度が速いため、潜水艦の襲撃に対しての脆弱性を大きく減じた。これに加え、運動性を高めるため、補助舵含め舵が四枚搭載されるという贅沢さであった。また、原子炉が停止したときのことを考え、緊急動力としてディーゼル発電機四基を搭載していた。これは後の原子力空母では標準となる。


ちなみに、原子炉による大電力は、レーダー装備などの充実だけでなく、エアコンにも使われるなど乗員の住環境にも貢献していた。


航空艤装

キティホーク級を基本としたことから、同級とエンタープライズの航空艤装はよく似ており、同一の装備も多かった。格納庫のサイズは262.2m×32.6m×7.6mであり、ニミッツ級より広いが、搭載機全てを収容できるわけではなく、整備用に使われることがほとんどであった。一方、艦型の大型化に伴って、キティホーク級より飛行甲板の面積は増大しており、約20,000㎡の広さである。この数値は戦後の米空母でも最大級で、ジェラルド・R・フォード級に匹敵する。


武装

キティホーク級と同じくテリアを搭載するはずだったが、建造費高騰のためシースパローとファランクスが装備された。後年の改装でRAMも搭載するようになった。


性能諸元

満載排水量93,284t
軽荷排水量75,704t
全長1,088ft
全幅248ft
水線長1,040ft
水線幅133ft
喫水39ft

※排水量はロングトン(1.01605t)


出典:

http://www.nvr.navy.mil/SHIPDETAILS/SHIPSDETAIL_CVN_65_5150.HTML


関連タグ

空母

軍艦

アメリカ海軍

キティホーク級 前級。

ニミッツ級 次級。

ジェラルド・R・フォード級 後継。



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