キティホーク級
きてぃほーくくらす
キティホーク級は、フォレスタル級の改良版に位置付けられる、二世代目の超大型空母である。アメリカ海軍空母艦隊の一翼として、冷戦時代のアメリカの安全保障を支えた。老朽化と予算削減の煽りを受け、現在では全艦が退役している。本級の後継は全て原子力空母のため、米海軍最後の通常動力型空母となった。
一番艦の艦名は、キティホークというアメリカの町の名に因む。
ライト兄弟がここから6キロ離れた「キル・デビル・ヒルズ」で初めての動力飛行に成功し、キティホークから飛行成功の電報を父親に打ったことから、「キティホークが人類初の動力飛行成功の地」と誤解されることが多い。
本級は、フォレスタル級が抱えていた問題を解決するために生まれた。すなわち、左舷エレベータの位置を後方へと移し、着艦作業の妨げとならぬよう配慮したのである。1960年代より、その航空運用能力を活かし、多くの作戦で活躍したが、冷戦終結後は老朽化のため退役が進んだ。
その後の運命は異なるが、特筆すべきは、三番艦アメリカが実爆試験に供されたことであろう。大型空母の抗堪性について調査し、将来の空母に活かそうという実験であったが、元乗組員たちの反発を受けた。しかし、元乗員たちの保存活動は実を結ばずに終わり、彼女は試験で貴重なデータを提供したのち、ハッテラス岬沖にて海没処分された。このため、アメリカは人為的に沈められた最大の軍艦となっている。
来歴の項にあるように、フォレスタル級を改良したものである。艦橋とエレベータの位置を変更し、航空機の移動を改善するなどしたが、それ以外は小改正にとどまる。
兵装
当初は中距離防空用のテリアミサイル発射機を艦尾スポンソンに搭載していたが、途中でこれを個艦防空用のシースパロー、およびファランクスCIWSに変更した。RAMを搭載したこともある。就役時から艦対空ミサイルを搭載していたので、「ミサイル・キャリアー(ミサイル空母)」と呼ばれていた。これは、ミサイル万能論から派生した「戦闘機はミサイルを運ぶだけの運搬機になる」という思想のもと作られた航空機を「ミサイル・キャリアー(ミサイル運搬機)」と呼んでいたことに因んだ洒落であると思われる。(空母も運搬機も、英語ではキャリアーで表すことができる)
同型艦の差異
本級は四隻建造されたが、その間にエンタープライズを挟んでいる。このためか、各艦の設計に異なる部分がある。三番艦アメリカはAN/SQS-23ソナーを艦首に搭載しており、これを傷つけないため、碇の配置が変更されている。しかしながら、最も変更があったのは四番艦ジョン・F・ケネディであり、様々な改良が行われた。艦橋の煙突は斜め煙突となり、飛行甲板の形状が左右対称に近くなった。艦内の区画配置までも変更が加えられた結果、キティホークよりもむしろ後続のニミッツ級に近い姿になっている。この改良のため、アメリカでは、彼女一隻のみをジョン・F・ケネディ級として分類することが多い。
満載排水量 | 81,780t (82,655t) |
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軽荷排水量 | 60,933t (60,728t) |
全長 | 1,069ft (1,052ft) |
全幅 | 282ft (252ft) |
水線長 | 990ft |
水線幅 | 130ft |
喫水 | 38ft (36~37ft) |
機関出力 | 280,000shp |
速力 | 32ノット |
※キティホークの諸元。()内はケネディのもの。
※ft=フィート。1ft=30.48cm。排水量はロングトンで、1ロングトン=1.01605トン。
参考: Naval Vessel Register
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