HD300という型番を持つものは鉄道車両のほかにも存在するが、本項目ではHD300型ハイブリッド機関車について説明する。
JR貨物HD300ハイブリッド機関車
国鉄DE10形ディーゼル機関車の老朽化に伴う入換業務専用機関車(DE10形は汎用機関車)として設計開発された。
国内の機関車としては初のハイブリッド機関車(シリーズ型ハイブリッド)である。車体は保守を容易にするために主要機器はモジュール化され、前位側から主変換機モジュール、蓄電池モジュール、運転室モジュール、発電モジュール(ディーゼル発電機)となっている。また、連結時の作業容易化のためにカメラが装備され運転室のモニタから視認できるようになっており、誘導員の安全確保のためステップが大型化している。また運転室はDE10形と同様に運転台が進行方向に対して横を向いており、左マスコン、右ブレーキという操作系統配置も踏襲している。(国内の本線牽引用機関車は右マスコン、左ブレーキが一般的)
入換業務専用という用途上、低速度の運転が多く高速牽引用に使われている三相誘導モーターでは堅牢な反面どうしてもすべり損失が大きくなってしまうため、すべり率が常に0で誘導モーターが苦手とする微速~低速域の電力使用効率に優れる三相同期モーターが採用されている。
型式記号は従来の機関車の型式記号にはなかった"H"(Hybridの頭文字)が新しく採用されている。
その後ろの"D"は従来どおり動軸数が4軸であることを表している。
余談ではあるが、新鶴見機関区所属の8号機は検査等余程の事がない限り八王子駅常駐となっている。(『八』王子にちなんでか?)
新製コストが本線用電気機関車と変わらないほど高騰化していることから、本機は入換の頻度が高い貨物ターミナルを中心に配備されている。
また、DE10置換え用の汎用ディーゼル機関車としてはハイブリッドではない電気式のDD200が開発されている。
外見は……
はっきり言って麗しくない。基本的な構成こそDE10などと同じ“セミセンターキャブ”だが、平たい外板を直角に組み合わせ、角に“R”も付かない、あたかもブロックか積み木を組んだかのような無骨な姿。前照灯、標識灯などのライト類も手すりにぶら下げており、専用線の入換機や、保線機械、工場機械(モーターカー)を大型化したかのごとき、実用一点張りの飾り気の欠片もない容姿である。
塗装も塗り分けや飾り帯のない赤一色(キャブ周りだけ黒)で、ほとんど消防車(それをネタにしたのが右イラスト)。唯一洒落っ気のある部分が、スカートの警戒塗装(ゼブラ模様)という……。
ちなみに左イラストは試作の901号機で、量産機とは細部が異なるが、量産機も機能的にはブラッシュアップされているものの、美的には磨かれていない……。
置き換え対象のDE10との主な相違点
※・・・入換作業時の最高速度はDE10、HD300ともに45km/h。
関連タグ
入換専用機関車つながりタグ
DB500・・・入換機を基に製造した機関車