ギギギ、概要じゃのう!
戦時中じゃ
広島市に住む日本絵師で職人の父・中岡大吉と母・中岡君江の三男坊(以下、ゲンと表記する)。
大東亜戦争の敗戦色が濃厚な時に小学2年生で、父は戦争をやめるべきと考えていた。だが、それは主戦派の町内会長・鮫島伝次郎を始めとした隣人達の反感を買い、非国民と迫害される原因になった。そのために父は特高に連行され、長兄の浩二あんちゃんは刑事から暴行を受け、姉の英子ねえちゃんは金を盗んだと決めつけられ、裸にされて取り調べられるなど苦汁をなめる。だが、ゲンは鮫島親子の指を食いちぎったり姉の無罪を晴らすなどリベンジをしたり、朴さんやガラス屋のおじさんと仲良くなったり、家族や仲間を助けて明るく生きていた。
だが、8月6日に原爆が広島に落とされて大吉・英子そして弟の進次は家の下敷きになり、焼死する。君江は道路で産気づき、赤ん坊を生む。ゲンは赤ん坊を助けるためにコメを探して広島各地を巡り歩き、踊り子の大原夏江がケロイドで悩むのを諌め、のちに義弟となる近藤隆太と衝突(夏江は姉、隆太は弟に似ていた)したり、自分も放射能で頭が剥げてしまったりと波乱の冒険を行う。息子を亡くしたおばさんや、子供を置いて広島に来た兵隊さんの死に涙しつつ、戦争と原爆への怒りを深める。江波に身を寄せた時、寄宿先のご隠居さんである林のばあさんに意地悪をされたり、吉田政二と言う被爆者で画学生のお世話をするバイトをしつつ、終戦を迎える。
終戦後の話じゃぞ
隆太と共に次兄の昭あんちゃんを疎開先に迎えに行ってから間もなくし、進駐軍が日本に乗り込んで来る。予科練に志願していた浩二との再会を喜んでいたのもつかの間、彼の生還に嫉妬した林のばあさんは条件の良い入居者が来たことと孫達をゲンが殴ったのを理由に中岡家を追い出す。ゲンと隆太は婆さんと孫達を懲らしめ、防空壕でその日暮らしをする。友子と命名した赤ん坊にミルクを飲ませるべく、復員兵の大場や脱走したムスビと共に米軍基地で盗みをするが裏切られ、殴られたゲンを助けようとした隆太は大場と三次を銃殺して行方不明になる。
その後、クソ森といざこざを起こしつつも小学校生活に復帰したゲンは友子の治療費を稼ぐべくお経屋さんを始めるが、友子は短い生涯を閉じる。髪が生え始めたゲンは学校生活の傍らで隆太やムスビ、夏江と再会し、勝子・平山松吉老人と出会って彼ら被爆者と共に混乱期を生きる。だが、原爆症の恐怖は彼の周りを確実に覆い始め、松吉老人は小説を書き上げた直後、母の君江は念願の京都旅行のさなかで落命したのだった。
旅立ちの時じゃのお
波川中学校に進学したゲンは戦後復興の中で運命に翻弄されるピッチングの天才・相原勝男や恩師の太田先生、絵描きの天野老人、孫の達郎と出会う。充実した人生を送るが、姉と慕う夏江は死んでしまい、家を道路工事で強制撤去されたことで兄達とも離れ離れになる。卒業式では天皇陛下の責任を取らぬ姿勢を批判する一方、不良の横道徹と問題教師達の醜い姿に鉄槌を加えつつ学び舎を後にする。
その帰り道で出会った中尾光子と恋仲になるが、彼女はゲンと対立した看板会社の経営者である中尾重蔵社長の令嬢だった。光子とデートしたり天野老人から絵の手ほどきを受けるゲンだったが、光子を原爆症、ムスビをヤクザの毒手で失う。中尾社長とは光子の死をきっかけに和解するが、隆太はヤクザを射殺して東京へと行ってしまう。ムスビの遺骨を中岡家の墓へ入れてやり、しょんぼりしていたゲンは天野老人に叱咤激励され、東京へ絵の修業をしに向かう。
見送りに来たのは天野老人と達郎、中尾社長の3人だけしかいなかったが、彼らの優しい眼差しを受けてゲンは東京行きの汽車に乗り、未来に挑戦すべく旅立っていった。
その後・・・?
ドラマ版『はだしのゲン』では広島を出てからどのような人生を歩んできたのかはわからないが、年をとったゲンが登場する描写があった。
続編としてまだ草案の域であった『はだしのゲン2』では、東京を舞台に東京大空襲による戦災孤児などと戦争の廃絶を目指すゲンを描く構想があったらしく、ラストでは絵の修行のため貨物船でフランスに旅立つとされていた。
モデル
モデルとなった人物は他ならぬ原作者の中沢啓治氏である。またはだしのゲンのプロトタイプと言える作品『おれは見た』で描かれた当時の中沢少年にゲンの面影を見る事ができる。