概要
写植記号BA-90とは、例の顔みたいな記号のことである。
メイン画像を見てもらったほうが早い。
写研(写真植字機の日本最大手メーカー)の記号で、1960年代までに作られたものと考えられる。
同じく写研の記号BA-88が顔付きの上弦の月、記号BA-89が顔付きの下弦の月であることを考えると、欧米で暦などに用いられた顔付きの満月の記号をモチーフとしたものとみられる。
1980〜90年代にかけて雑誌や漫画などでよく使われた。決まった意味は特になく、単にふざけた印象をつけるために使用されていた。
なお、Unicode 6.0では絵文字“Full Moon With Face”に文字コード「U+1F31D」(🌝)を割り当てているが、例示されている字形はBA-90と異なっており、多くのフォントもBA-90のデザインを採用していない(明らかに月に見える場合が多い)。BA-88にあたる“First Quarter Moon With Face”(U+1F31B、🌛)、BA-89にあたる“Last Quarter Moon With Face”(U+1F31C、🌜)もある。
正式名はほとんど知られておらず、顔記号などと通称される。
著作権
この記号は写研がデザインしたもので、当然著作権は同社が保持していた。
しかし、この記号を収録したフォント見本が1965年(昭和40年)に発行されており、これにより著作権法第53条「団体名義の著作物の保護期間」に拠り遅くとも2015年(平成27年)12月31日限りで著作権保護期間は終了したと考えられる。
このため、現在ではこの記号のデザインはパブリックドメイン上に在り、従ってイラスト等の作品に用いる際の著作権上のリスクは存在しない。
印刷・表示する方法
この記号を印字できるのは写研の写植機だけである。写研はパソコン向けのフォントをリリースしていないため、どうしてもこの記号を使いたかったら写植を利用するか、手書きするしかない。最近は出版社でもDTP化が進んだため、プロでも気軽に使えない記号となってしまった。
…というのが長年の常識だったのだが、実はイワタの「イワタアンチック体B」にBA-90が収録されている。
CLIP STUDIO PAINTを使っている人はこのフォントのライセンスを持っているはずなので、IMEパッド(Windows)や文字ビューア(Mac OS X)でイワタアンチック体を選択してUnicode U+E5BBを探してみよう。ただしこちらは外字である為、インターネット上でこの記号を打ち込んでも環境によって表示が全く異なる。
さらに無料の「GLアンチックPlus」や「にしき的フォント」にも収録されたため、いつの間にか誰でも無料で使えるようになった。にしき的フォントであれば「U+1F13D」にも収録されている。
別名・表記ゆれ
ぽげムた/ぽげムたマーク - 1980年代後半頃から90年代初頭にかけて、エンターブレインのゲーム雑誌「ログイン」で「ぽげムたビゲなみょ〜ん!!」という意味不明な文字列の後ろに様々な記号が並べられるという演出が多用されていたが、その中に決まってこの記号の上に1本毛を生やしたものが含まれていたため、通称ぽげムたマークと呼ばれるようになった。由来は読者がふざけて送ったハガキに書かれていたもので、編集側が気に入って多用するようになったとのことだが、この記号と組み合わせたのは当時の編集者の思いつきである。
関連タグ
こちら葛飾区亀有公園前派出所 - 長らくサブタイトルの頭にこの記号が用いられていた(後に顔文字の「(^o^)」に変更)。
ラムちゃん - 母国語(というか母星語)を話すと吹き出しの中が記号だらけになる演出が使われ、その中にこの記号が頻繁に含まれていた。