悪事の高丸とは、日本の伝承に登場する鬼である。安倍高丸とも。
また、同じく陸奥の鬼で坂上田村麻呂伝説に名前が残る悪路王や大武丸と同一視される事もある。
概要
悪事の高丸は『諏訪大明神画詞』9-11段や『神道集』巻4「信濃鎮守諏訪大明神秋山祭事」にその名前が見られる。
桓武天皇の頃に奥州で悪事の高丸が人々を苦しめたため、帝が田村将軍に高丸討伐を命じた。
将軍は清水寺の千手観音に願掛けをすると七日目の夜半に「鞍馬寺の毘沙門天は我が眷族であるから頼れ。奥州へ向かう時は山道寄りに下れ。そうすれば兵を付き従わせよう」とのお告げがあった。
将軍がお告げの通りに鞍馬寺に参拝すると毘沙門天より三尺五寸の堅貪(けんどん)という名の剣を授かった。また奥州へ山道を進軍すると信濃国諏訪大社で二人の武将を得た。
高丸との戦いの時に、将軍が堅貪を鞘から抜くと、剣は自ら高丸に切りかかり首を落としたという。二人の兵の助力も得た将軍は、こうして高丸討伐を成功させたという。