分類上は除草剤の一種であるが、ベトナム戦争で使われたものには製造時の副生成物として2,3,7,8-TCDD(2,3,7,8-テトラクロロジベンゾ1,4-ジオキシン。以下TCDDと略)とよばれるダイオキシン類の中でもっとも毒性の高いものが含まれていたため、後に帰還兵の子供や戦地の住民の子供の先天性の奇形が相次ぎ、また帰還兵にも後遺症が現れ問題となった。
ベトナム戦争の枯葉剤
種類
Agent White
2,4-ジクロロフェノキシ酢酸とピクロラムの混合物。発癌性のあるヘキサクロロベンゼンとニトロソアミンを含んでいる
Agent Purple
2,4-ジクロロフェノキシ酢酸と2,4,5-トリクロロフェノキシ酢酸の混合物。副生成物としてTCDDを含んでいる。
Agent Pink,Agent Green
2,4,5-トリクロロフェノキシ酢酸。副生成物としてTCDDを含んでいる
Agent Blue
2種類の砒素化合物、カコジル酸ナトリウムとジメチルアルシン酸の混合物。上記の枯葉剤と科学的に異なるもの。
撒いた理由
建前
本音
北ベトナム兵の隠れ場となる森林の枯死、ゲリラ勢力の生活基盤である耕作地域の破壊。
ベトナム戦争以外
ベトナム戦争時の枯葉剤と成分は異なる。また作戦として撒かれたものは除草剤が主。
アンゴラ独立戦争
ポルトガル軍がアンゴラ解放人民運動に対して使用。
ギニアビサウ独立戦争
ポルトガル軍が人民革命軍に対して使用。
コロンビアやアフガニスタンにて
麻薬作物の除去の名目でラウンドアップ(5-エノールピルビルシキミ酸-3-リン酸合成酵素阻害剤)が撒かれたが、付近の農業に多大な被害が出ている。
ダイオキシン類について
ダイオキシン類のひとつである2,3,7,8-TCDDの催奇形性や発癌性、後遺障碍は確認されているが、他のダイオキシン類についてはまだ判っていないものもあり、また一般毒性、発癌性、生殖毒性、免疫毒性といったそれぞれの毒性も種類によって異なる。そのため、どの種類のダイオキシン類がどういう毒性をどれだけ持っているのか、ちゃんと調べないと混乱を招いたりデマに惑わされることになるので注意。特に日本国内にはデマや誇大報道が好きな連中がいるので要注意。