――――※この記事には戦姫絶唱シンフォギアXVのネタバレが含まれています。未視聴の方は閲覧にご注意ください――――――
「許してくれ、フィーネ…。」
概要
シンフォギアの世界で神々とされる種族「アヌンナキ」の男性。緑がかった青髪で精悍な整った顔の青年。
アヌンナキにおける保安・防衛の要職を務めていた。
XV1話の冒頭で月の遺跡から「バラルの呪詛」を地球に放った張本人にしてフィーネの想い人だった。
しかし、「人が神に近づく事を許さずバラルの呪詛と言う罰を下した」というフィーネの言葉に反し、呪詛を起動させた際には左腕を失った瀕死の状態で、冒頭にあるフィーネへの謝罪の言葉を絶命直前に独白し、バラルの呪詛は彼らアヌンナキにも不本意な物だった事を視聴者に示唆した。
真実
未来を依り代に顕現したアヌンナキ、シェム・ハの眷属となったノーブルレッドを追い、月の遺跡に辿り着いたマリアと翼はアガートラームに導かれるようにして遺跡の中枢に辿り着き、そこでエンキを再現したオペレーションシステムのAIからアヌンナキとバラルの呪詛の真実を教えられる。
種として限界に来ていたアヌンナキは閉塞した未来を打開すべく、生命を創り出し、目的に応じてその進化に干渉し星の環境を改造し、生命の行き着く果てを解明しようとしていた。人類もその試みの一つであり、惑星環境改造装置「ユグドラシル」の生体演算端末群として、ネットワークを構築するために肉体より脳を進化させた生命体だったのである。
しかし、改造の担当者、改造執刀医であったシェム・ハは権力と力を欲し、アヌンナキを裏切り彼らに戦いを仕掛けた。シェム・ハが行動を起こす前に緊急任務遂行部隊を率いて討伐に向かったエンキは、部隊の仲間全てを失いながらも激闘の末、銀に変換されかけた左腕を切り捨てながらもシェム・ハと刺し違えて彼女を倒した。しかし、シェム・ハは自らを言語化し様々なネットワークに潜伏しそこから何度でも復活でき、しかも地球人類の遺伝子に自分の情報を紛れ込ませて自らのスペアボディ、依り代にしていたのだった。
人類を保護し、シェム・ハの復活を阻止するためには統一言語という脳波ネットワークによって繋がった人類を月の観測ベース「マルドゥーク」からのネットワークジャマーによって分断する以外になかった。
それこそが後に「バラルの呪詛」と呼ばれ、人類の相互理解を阻む忌むべき元凶とされるものだった。
左腕を切り落とし、致命傷を負ったエンキには時間が残されておらず、すぐに復活するであろうシェム・ハの野望を食い止めるにはすぐにバラルを起動させなければならなかったため、フィーネに何も語る事が出来ずに月遺跡を起動させた直後、命を落としてしまった。
残されたフィーネはそれを知る由もなく、他のアヌンナキ達もシェム・ハの遺骸を「棺」に納め南極の厚い氷の下へ埋めた後で地球を放棄し去ったと思われるため、「エンキが近づこうとした自分を拒んだ」と誤解してしまったのだ。
だが実際はエンキも常に寄り添ってくれた人間であるフィーネを大切に想っていたのだ。バラルを起動すれば言葉を交わす事も叶わなくなるとしても、彼は死の間際まで彼女の事を想い、生体演算端末群として作られながらも進化の果てに自分達と同じ「個」を獲得した人類の生命と尊厳を、シェム・ハから護るためにバラルを起動させたのである。
そして銀に変換されて切り落とされたエンキの左腕は、中東にて出自不明の聖遺物として発見され、後に「アガートラーム」と言う便宜上の名前を与えられてシンフォギアへと加工される。
つまり、カデンツァヴナ姉妹は知らずして神の一部を纏っていたのである。故にシェム・ハはアガートラームを纏うマリアを「エンキの末」と呼んだ。
余談
モチーフはシュメール神話に登場するアヌンナキのエンキからでルル・アメルを創造し知識や魔法、淡水、繁殖、豊穣を司る神とされており、人間に知性を与え改良しようとしそれをよく思わない兄のエンリルとの争いなどシュムハとの争い関係の元ネタになっている。彼は蛇やドラゴンを象徴として描かれており、アマルガムを発動したアガートラームの腕もそれに倣ってか蛇やドラゴンのようなものになっている。
人間のために尽くしたその一方、旧約聖書でアダムとイヴを唆し禁断の果実を手にしようと差し向けた蛇、キリスト教などではサタン(ルシファー)、ギリシャ神話のプロメテウスなど様々な宗教で罪の象徴にされている神や悪魔と同一視や原型とされ悪や争いに利用されており神話的に見ると人間のための行動が結果的に、彼自身を争いの象徴にしてしまったという皮肉な結果になっており、バラルの呪詛による忌むべき神やアガートラームが中東で発見されたネタなどもここから来ていると思われる。
ちなみに魔女狩りもサタニズム(サタンを信仰する宗教)などから生まれた現象のため、ある意味キャロルの父が死んだ元凶とも言える。