概要
正式名称は「FG式回天特機装束」。
特異災害対策機動部二課の技術主任・櫻井了子の提唱する「櫻井理論」に基づき、聖遺物の欠片から作られたパワードスーツの総称。
認定特異災害ノイズに対抗しうる唯一の装備なのだが、一機で一個軍隊を上回るほどの圧倒的な破壊力を持つため、存在そのものが日本の現行憲法に抵触しかねず、装者の情報共々完全に外部非公開となっており、目撃者や報道陣に対しては徹底的な情報管制が行われる。
特徴
基本仕様
装者の戦意にシンクロしてインストゥルメンタルを奏でるシステムが内蔵されており、それに合わせて装者が歌を歌うことによって、ギアを稼働させるためのエネルギー「フォニックゲイン」を増幅し、出力を増大させていく。
要するにギアそのものがアンプとなって音楽を奏で、演奏に乗せて装者が歌うことで戦闘力を引き出す仕組みである。身も蓋もない言い方をすれば「カラオケで強くなる戦闘服」。
また、ギアが奏でる旋律には別次元にまたがって存在するノイズを強制的に現実世界の物理法則下に固定する効果があり、物理攻撃による殲滅を可能とする。
変身中は装者の身体能力も大きく向上する。跳んだり走ったりの基礎体力・運動能力はもちろん、耐久力も常人離れしており、普通なら肉体が四分五裂するほどの衝撃も打撲程度に軽減してしまう。
体表面にはノイズの炭化作用を無効化する特殊なバリアフィールドが常時展開されているが、このバリアは物理衝撃耐性と断熱性能にも優れており、素の耐久力と合わせて南米の密林から極寒の南極、果ては宇宙空間まで場所を選ばず活動できる。
総じて、災害救助にあたっては通常の装備と重機が介在できない現場において至れり尽くせりな仕様になっていると言える。
起動方法
平時は集音マイクの機能を持つ紅色のペンダントとして装者の首にかけられている。
装者が起動キーである胸の歌「聖詠」を口ずさむことでペンダントが展開し、ギアが量子化された状態で解放され、装者の体表面に定着し、ボディスーツとして再構築されることで「変身」が完了する。
ペンダントはギアを稼働させる中枢機関でもあり、変身後は装者の胸元にブローチのように配置される。
衣服はペンダント内に量子化して収納され、変身解除後に元に戻る。ペンダントが破損すると変身が解けても全裸のままになってしまう。
また、ギアに適合していても適合係数(ギアを運用する人間の聖遺物との親和性の高さを数値化したもの)が低いと変身できないか、変身できても多大な負荷がかかるため、適合係数を引き上げるための薬剤「LiNKER(リンカー)」を変身前に服用する必要がある。
そのLiNKERも、使用者の体に馴染むよう調整されていなければ適合係数を充分に上げる事はできず、変身状態も長時間維持できない。加えて劇薬であるため、運用後は適切な洗浄処置がされなければ薬害作用によって最悪死に至る事もある。
ウェル博士が安全なLiNKERの製造工程と体内洗浄法の確立に成功していたものの、パヴァリア光明結社の日本での暗躍が本格化するまでは、二課と敵対していた折に設備不充分で補填が利かなかったために既製品の備蓄を使い潰すのみで、奏が生前に使用していた「model_K(モデル・ケー)」でなんとか持ち堪えていた有様であった。
しかし、魔法少女事変のクライマックスにてウェル博士が今際の際にマリアに託したメモリーチップをエルフナインが解析した事で再度生産が可能になった。
ちなみにLiNKERが聖遺物と人体との架け橋としての効能を示すには、人が普遍的に持つある情動が必要不可欠であり、その情動を司る脳領域にうまく作用させることができて初めて完成するという。
弱点
交戦中、何らかの理由で歌が中断されると、ギアの出力が一時的に低減する事が最大の弱点であり、状況によっては二人以上の重唱(後述のユニゾン)でこれをカバーする。
そのうえ、変身には必ず聖詠が必要になるため、詠唱中は無防備になってしまう他、人質を取られたり、ペンダントを構える前に銃を突きつけられたりして動きを封じられると変身できなくなる。
また、設計思想はあくまでノイズの殲滅であるため、純粋な戦闘力は錬金術などの他の異端技術にはやや劣るとされる。
ギア中枢のコンバーターユニットが傷つく事でも変身不能になってしまう。(仮面ライダーがベルトを破壊されると変身できなくなるのと理屈は同じ。)
イグナイト搭載前はそのあたりの対策が十分ではなく、アルカノイズによる分解やオートスコアラーのペンダントへの直接攻撃でコンバーターを破壊され、六人全員が一時的に変身不能に陥ってしまった。
LiNKERとは逆に適合係数を引き下げる「Anti_LiNKER(アンチリンカー)」を散布される事で動きを鈍らされ、ピンチになる局面もあったが、翼がギア自体の出力を意図的に引き下げ、ギアの形状をリビルド前に戻して低い適合率でも運用できるようにする即興の裏技「アーリーシルエット」によって対処に成功しており、XDでは響とクリスも体得している。
歌について
戦闘中に紡がれる歌の歌詞や伴奏のメロディは、ギアが装者の人格や心象を読み取り、それを元に生成したものを装者にフィードバックしたものである。
これも簡単に言ってしまうと装者の心が歌になるのである。
そのため、歌詞には装者の精神状態が色濃く反映されており、装者の人格のクセが強ければ強いほど同じくらいクセの強い歌詞が生成される。
リビルド
シンフォギアには総数3億165万5722種類(人間に最も近しい天使の人口と同数)もの機能制限(ロック)がかかっており、装者の技量や成長度、戦闘スタイルに応じて系統的・段階的に「限定解除」され、チューンアップされる構造となっている。そのため、同一のギアであってもそれを扱う者によって形状が異なる場合がある(天羽奏、立花響、マリア・カデンツァヴナ・イヴの三名が特に顕著)。
つまり、ロックの組み換えによってギアの形状を変化させ、装者が扱いやすいよう自動調整が施される過程こそが「リビルド」であり、後述のエクスドライブの発動後にギアの外見がマイナーチェンジしているのは、限定解除によってギアがリビルドされた結果である。
(「機種」の項にて各機の章ごとにリビルドされた姿が掲載されているので、そちらを見ればわかりやすい。)
このロックがあるからこそ、装者は人体・聖遺物間の隔絶による負荷を最大限抑えつつシンフォギアを運用することができると言える。
ただし、より強力に使いこなすには、やはり装者自身の鍛錬と経験の積み重ねによって適合係数を上げ、適宜ロックを外していくことが不可欠であるため、装者たちは日々技を磨き、己を鍛え続けるのである。
戦力
アームドギア
シンフォギアの主兵装。いわゆる剣や槍などの手持ち武器。
変幻自在の可変ギミックを有し、使用方法に応じて特性や形態を変化させる。
アームドギアを形成することで、ギアから供給されるフォニックゲインを効率良く出力し、ノイズを消し炭に帰す必殺の一撃を生み出す。
形状に関しては、ベースの聖遺物の本来の形態の他、装者の心象も大きく関与している。
雪音クリスのイチイバルは、彼女の過去の記憶が弓の聖遺物たるイチイバルから銃火器のアームドギアを生み出している。
また、響の場合は「誰かに手を差し伸べること」を求めた結果、他者と繋がり合うための「無手」の状態そのものがアームドギアとして昇華されている。
絶唱
「Gatrandis babel ziggurat edenal… 」
シンフォギアによる最大最強の攻撃手段。
特別な「歌」によって増幅したエネルギーを一気に放出し、対象に苛烈なまでの大ダメージを与える事が可能だが、体にかかる負荷は変身状態であっても軽減しきれない程に絶大であり、まさに諸刃の剣といえる代物。
本来はエネルギーの運用効率を高めるアームドギアを介して放たれるものであり、その特性はギアごとに異なるが、使用者の技量によってアレンジされることもある。
バックファイアは適合係数に比例して軽減することが可能だが(逆に適合係数が低ければ通常技ですら絶唱と同じくバックファイアが発生する)、翼やクリスといった正規の適合者であってもそれを全て解消するには至らず、軽くても七孔噴血は免れない。
奏の場合、元々の適合率が低い上に、ライブの裏で行われた実験の為にLiNKERを控えていたことが相まって、体がダメージに耐えきれず、塵となって崩壊し死亡してしまった。
ただし、聖遺物との融合症例の場合はその限りではなく、この頃の響のみ他の装者よりもバックファイアを抑え込むことに成功している。
切歌の場合は彼女も奏同様LiNKERでギアを纏ってるが切歌は使う前に戦闘に向かう前に3つのLiNKERを過剰投与して使用して負荷を押さえて使ったため奏の二の舞にはならなかったもののLiNKERの過剰投与による体への薬害が起きてしまっている。
暴走
「もはや──人にあらず。今や人の形をした破壊衝動…!」
装者が何らかの理由で負の感情を増大させ、その限界を越えた時に発現する制御不能状態。全身が漆黒に染まり、眼を赤く光らせた悪魔のような姿と化し、言葉すら忘れて獣のように見境なく暴れ狂う。
この状態に陥ると、装者は抑えきれない破壊衝動に飲み込まれ、理性を失う代わりに戦闘力を爆発的に増大させる。
今のところ暴走が確認されたのは融合症例であった頃の響と、イグナイトモジュールの起動に失敗したマリアのみ。
特に響は、装者になりたての頃は過度のストレスから精神的に不安定だったため、己の不甲斐なさやノイズへの怒りといった激情に飲まれ、たびたび暴走予備軍的な状態になっていた他、デュランダル等の完全聖遺物との接触が暴走のトリガーとなったケースもある。
ユニゾン
想いを同じくする装者同士が、共通の旋律に乗せて共通の歌詞を歌い上げる事でフォニックゲインを相乗的に増幅し、ソロ時以上のパワーを引き出すシンフォギア同士の「共鳴」。つまり「二人以上のコーラスでもっと強くなる」。
ルナアタック事件の最終局面での『FIRST LOVE SONG』に始まり、フロンティア事変のネフィリム戦、およびキャロルとの最終決戦での『始まりの歌(バベル)』など、重要な局面でたびたび行われた。
特に、二課がS.O.N.Gに転身するきっかけとなった輸送シャトル救助作戦において、翼・クリス・響の三人で『RADIANT FORCE』を歌い上げ、墜落するシャトルをブースターの噴射で減速させたばかりか、K2をブチ抜き、杉の森や岩だらけの山道をミサイルと拳と剣で切り拓きながら不時着させ、そのまま町に入るや響がブレーキ代わりとなって直接船の勢いを殺し続け、サビを歌い切ると同時に巴投げで(操縦士の機転もあって)完全に停止させた一連の救出劇は圧巻の一言に尽きる。
シュルシャガナ&イガリマにはユニゾン特性がデフォルトで備わっており、総合的な戦闘力において他の装者にやや劣る調と切歌は、この特性によって条件次第では他を上回る強大なパワーを発揮する事が可能。
これによって、ミカやプレラーティと言った強敵を下す番狂わせを起こしてきた。
ただし、これには調と切歌を分断することで簡単に封じられるという致命的な弱点があるため、パヴァリア光明結社との武力衝突においては、ギアの特性に頼らず装者同士の魂の繋がりを起点とする「絆のユニゾン」を編み出すために、風鳴司令の指導の下で短期集中の特別訓練が行われた。
ザババコンビのユニゾンには及ばずとも戦術的にも組み込みやすく、弱点を補う点においては不足はない。
デュエットの場合、劇中では翼&クリス、クリス&マリア、翼&調、響&切歌のコンビがユニゾンに成功しており、アダムとの最後の戦いでは、エクスドライブを起動していない状態で『アクシアの風』の6人合唱を披露した。
特訓の成果は錬金術師との戦いの後も遺憾無く発揮されており、南極での「棺」無力化作戦においては『六花繚乱』の6人合唱を披露し、翼とマリアは月遺跡でのミラアルクとのバトルにて、初のタッグライブで共に歌った『不死鳥のフランメ』を戦歌として再び歌い、相手を撃破寸前まで追い詰めた。
機種
現在確認されているシンフォギアは8機(聖遺物の種類で見れば7種)で、その内2機は消失したため、残存しているシンフォギアは6機となる。
『XD』では、平行世界において、ギャラルホルンの存在するアニメ版の世界線では失われているガングニールや神獣鏡の存在が確認されている。
型番は『AXZ』の変身バンク、『XV』の公式サイト用語集で確認可能。
「SG」はシンフォギアの略称で、続く「 r 」もしくは「 i 」は開発経緯・開発環境の違いを指す「レギュラー」「イレギュラー」を意味する。
レギュラーナンバー
天羽々斬
適合者 | 風鳴翼 |
---|---|
型式番号 | SG-r01 Amenohabakiri |
無印 | G |
GX-AXZ | XV |
特異災害対策機動部二課(現S.O.N.G)が管理する第1号聖遺物。
刀身の一部のみが欠片として残されており、これがシンフォギアへと加工された。
アームドギアは刀を始めとする刃物類で、通常の刀による白兵戦の他、脚部に備わったブレードによる攻撃を得意とする。
虚空から無数の刃を生み出す能力を有し、手のひらに収まる鉛筆削りサイズから戦艦をも両断する特大サイズまで、刃の大きさは自由自在。
また、刀身から燃え盛る炎を発生させることもでき、炎を纏って勢いと威力を増した剣技は、彼女の十八番であり必殺の切り札である。
身軽な軽装タイプであるため、数あるギアの中でもとりわけバイクとの相性が良く、自慢の愛車に跨って戦場を駆け回る様は、まさしく現代の騎馬武者である。
脚部のブレードはバイクと組み合わせることが可能で、両脚のブレードを合体させて車体前方に巨大な刃を形成し、立ち塞ぐものを薙ぎ払う。
魔法少女事変以降は、脚部ブレードにバーニアが備わり、滑空しながら攻撃することが可能になった。
イチイバル
適合者 | 雪音クリス |
---|---|
形式番号 | SG-r02 Ichaival |
無印 | G |
GX-AXZ | XV |
フィーネが所有していた第2号聖遺物(ルナアタック事件以降は旧二課、及び現S.O.N.Gが管理)。
弓術の神ウルのイチイの弓。
旧識別コードは「Ichii-Bal」だが、フロンティア事変以降は「Ichaival」が使われている。
第二次世界大戦時、ドイツからガングニールやネフシュタンと共にもたらされたが、10年前の二課設立と前後して失われ、その後はフィーネの手に渡り、シンフォギアに加工されてクリスに授けられた。
本来のアームドギアは弓型だが、戦渦で育ったクリスの生い立ちから性質が劇的に変異しており、忌まわしい記憶の象徴である銃火器の形で発現する。
ハンドガンやライフル、ガトリングガン、果てはミサイルまで多種多様な火力装備を再現でき、他のギアを凌ぐ圧倒的な制圧力を誇る。
火器だけでなく本来の弓型の武装も再現可能で、劇中では光の矢を放つボウガンや長弓を形成している。
ちなみにミサイルは移動手段としても使用可能。ミサイルは乗り物。
後腰部のリボン状のパーツを展開して微細な結晶粒子を放出し、ビームを乱反射させることで球状のエネルギーリフレクターを形成できる。ギアのバリヤーフィールドでは軽減できない威力の衝撃を限界まで軽減できる高い防御性能を誇り、ルナアタック事件においては、絶唱と組み合わせることでカ・ディンギルの砲撃を逸らして月への直撃を防ぎ、本体であるクリスへのダメージを抑えることにも成功している。
ガングニール
二課(現S.O.N.G)が管理する第3号聖遺物。
大神オーディンの無双の槍。
穂先の一部が欠片として残されており、第二次世界大戦時、ドイツからイチイバルやネフシュタンと共に日本にもたらされ、シンフォギアに加工された。
かつては奏が装者だったが、ツヴァイウイングのライブ会場を襲ったノイズ災害において絶唱を使ったことで、奏の遺体と共に風化し、喪失してしまった。
しかし、ノイズの攻撃で砕けた奏のギアの破片が響の心臓に流れ弾として残留し、彼女の生体組織と融合したことで、響が二代目のガングニールとなる。
本来は槍型のアームドギアが形成されるが、響が「誰かと手を繋ぎ合う」ことを第一に考えるが故に、「この手に武器を持ちたくない」という願いが生じたため形成には至らず、その願いによって手を繋ぎあえる「無手」こそが彼女のアームドギアとなった。
体内のガングニールは装着する度に彼女の肉体を侵食し、莫大なエネルギーを生み出し続ける生体核融合炉とも呼ぶべき存在へと変貌させていく。
最終的には肉体の許容限界を超え、命に関わる事態にまで差し迫ったが、神獣鏡のギアの力で響の体内から取り除かれ、完全に喪われた。
XDでは、ある並行世界において引き続き二課によって管理され、翼の代わりに存命していた奏が使用しているのが確認されており、ある事件を経て、XD内シナリオ限定ながら本編筋の世界線の装者達とも度々協力するようになる。
イレギュラーナンバー
黒いガングニール
適合者 | マリア・カデンツァヴナ・イヴ→立花響 |
---|---|
型式番号 | SG-r03' Gungnir |
マリアver | |
GX-AXZ | XV |
※「'(ダッシュ記号)」は同じ聖遺物から作られた「SG-r03 Gungnir」と区別する為に付けられている。また、型式番号ではレギュラー扱いだが、実際はアメリカ合衆国の聖遺物研究機関「F.I.S.」管理下のイレギュラー機であるため、ここで解説する。
日本政府管理外の聖遺物。響のものと同じくガングニールの欠片から作られたシンフォギア。
過去に了子=フィーネがF.I.S.に横流ししたガングニールの欠片から生み出されたもので、アウフヴァッヘン波形のパターンは響のガングニールと同一。
フロンティアでの決戦時、適合者として覚醒した響の聖詠に応え、強制的にマリアから引き剥がされて響に装着される。ネフィリム撃破後は、マリアから正式に譲渡された。
その後、魔法少女事変において、戦意を喪失した響に代わって一度だけマリアが装着した。
XDでは、ある二つの並行世界それぞれに同一の機体が確認されている。一つ目は錬金術協会から本編筋のマリアに譲渡されて再び第三のガングニールとなり、二つ目は幼少期のマリアが所持している。
シュルシャガナ
適合者 | 月読調 |
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型式番号 | SG-i01 Shul shagana |
G | GX-AXZ |
xv | |
元F.I.S.管理下の聖遺物の一つ(現在はS.O.N.Gが管理)。
戦女神ザババの振るう双剣の片割れ。
イラク戦争の折、イガリマ、アガートラームと共に有志連合によって中東より押収された経緯がある。
アームドギアは回転ノコギリで、「肉体を切り刻む紅き鋸」と称される。
ツインテール型のコンテナから大小様々の回転丸ノコを繰り出す能力を持つ。
相手に苦痛を与えて甚振り殺すことに特化した、とても対ノイズ用とは思えない拷問器具のような仕様だが、展開される回転ノコギリは見た目以上に高い汎用性を有し、盾に転用したり、輪状の巨大ノコギリを車輪代わりに走行したり、プロペラを形成して飛行することもできる。
脚部には丸ノコに変形可能なホイールが備わっており、これをローラースケートのように用いた高い接地機動力も持ち味の一つ。ただし、接地面積の少なさと不安定さゆえに踏ん張りが効かず、徒手空拳の戦い方は不得手。
設計思想としてイガリマとの連携を想定しており、ユニゾンによって性能が向上する特性を持つ。
魔法少女事変以降は、新たにヨーヨー型のアームドギアを発現させ、糸(おそらく糸鋸という解釈のもとで新たに発現した)を組み合わせたトリッキーな戦法を編み出すようになった。
イガリマ
適合者 | 暁切歌 |
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型式番号 | SG-i02 Igalima |
G | GX-AXZ |
XV | |
元F.I.S.管理下の聖遺物の一つ(現在はS.O.N.Gが管理)。
シュルシャガナと同じ女神ザババの双剣の片割れ。
イラク戦争時、シュルシャガナ、アガートラームと共に中東よりアメリカに持ち込まれた。
アームドギアは鎌で、「魂を切り刻む翠の大鎌」と称される。
変化球的な用法や形態が多い他のギアと比べると、天羽々斬と同じくアームドギアのシンプルな持ち味を活かした白兵戦を主体としている。
基本的に両手で振るう大鎌タイプだが、柄の尺は片手で扱えるサイズまで短縮可能で、狭い場所でも問題なく扱える。
繰り出される斬撃には、傷つけた対象に霊的なダメージを与えるという特殊効果が備わっている。これは謳い文句通り「肉体に紐付けられた魂に直接攻撃を加える」効果であり、鎌の一撃を受けた相手はかすり傷だろうと治りが遅くなってしまう。
両肩の爪状のブースターは、伸縮自在のロープ状の副腕として機能し、予測不能かつ立体的な戦闘機動を可能とする他、射出して標的を緊縛することもできる。
シュルシャガナとの連携を前提に設計されており、ユニゾンによって出力を高める事が可能。
神獣鏡(シェンショウジン)
適合者 | 小日向未来 |
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型式番号 | SG-i03 Shenshoujing |
元F.I.S.管理下の聖遺物の一つ。仙界の縮図が刻まれた銅鏡。
長野県皆神山にて、奏の両親が了子と共に発掘したが、自らの計画に組み込むべく狙いを付けていた了子によってノイズ災害の混乱に乗じて掠め取られ、アメリカに持ち込まれた後にF.I.S.でシンフォギアに加工された。
アームドギアは先端に鏡が付いた扇。大小の円鏡を生み出す能力を持ち、光の反射を利用したビーム攻撃を得意とする。上腕部には黒い帯状のパーツがあり、これをムチのようにしならせて打撃を加える事も可能。
頭部に埋め込まれたダイレクトフィードバックシステムによって、装者の意識に理想的な戦闘行動を「投影」し、それに倣う事で練度の低い装者でも一端に戦えるだけの出力を発揮できるが、ベースの聖遺物が武器でなく、それも神が遺した秘宝ではなく人が造り出した低ランクの代物であるため、素のスペックが他のギアに劣る傾向がある。
しかし、このギアの最も恐ろしい点は、聖遺物由来の力を中和し、施された術式や呪いを解除・無力化する「凶(マガ)祓い」の力であり、神獣鏡の輝きに当てられた聖遺物は例外なく消失してしまう。
劇中で未来が変身した際は、聖遺物との融合が進み、人間としての存在を保てなくなっている響をこれ以上戦わせたくないという願いから、凶祓いの力が爆発的にアップしており、放たれたビームはイチイバルをリフレクターごと溶かしかけ、天羽々斬による天ノ逆鱗の六枚盾をいとも容易く貫通している。
まさしく最弱にして最凶のシンフォギアであり、最悪のシンフォギア殺しである。
また、生み出される輝きによってギア本体から膨大な起電力を発生させ、その大電力を利用した脚部からのイオノクラフト噴射によって空中を自在に飛行する能力まで身につけている。
フロンティアに施された封印の術式を解除し得る唯一の手段だったが、当初はF.I.S.による機械的な増幅技術では解除に至らず、装者不在のままF.I.S.保有の大型ヘリ・エアキャリアに組み込まれていた。
エアキャリアのステルス能力は、神獣鏡本来の特殊能力「ウィザードリィステルス」に由来するもので、姿を視えなくするだけでなく、振動や風圧、アウフヴァッヘン波形などの反応も遮断・隠蔽し、索敵の目をくらます優秀な隠れ蓑である。
ただし、未来が装着した際は、分身などの鏡由来の能力と共にオミットされている。
ウェル博士の起死回生の発案により、装者に仕立て上げられた未来の歌と、機械的手段を組み合わせることで封印解除に十分なパワーを引き出す事に成功し、ついにその役割を全うするが、響との激しい一騎討ちの末に自らの凶祓いの光に飲み込まれ、響のガングニール共々喪われた。
XDでは、平行世界にて同一の機体が確認されており、ある事件を経てXD内シナリオ限定ながら再び未来のギアとして活躍する事となる。
アガートラーム
適合者 | セレナ・カデンツァヴナ・イヴ→マリア・カデンツァヴナ・イヴ |
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型式番号 | SG-x00 Airget-lamh |
セレナver | |
GX-AXZ | XV |
※「x」は出自が特定できない「正体不明の聖遺物」であることを示す。
元F.I.S.管理下の聖遺物(現在はS.O.N.Gが管理)。イラク戦争時、イガリマ、シュルシャガナと共に中東からアメリカへと持ち込まれた。
白銀に輝く左腕を象っており、「アガートラーム」の異名を持つケルトの戦神ヌアザの銀の義腕との類似性を指摘されたていたが、本来ならアイルランド方面に由来するはずのそれがなぜ中東の遺跡から見つかったのかという疑問が浮上し、解析を繰り返しても聖遺物としての特性以上のことはわからず、出自不明の聖遺物として便宜的に「アガートラーム」の仮称が付けられた。
6年前にセレナがネフィリムを封印した際に使われたが、コンバーターの破損とセレナの死を機に登録を抹消された。壊れたペンダントはマリアが回収しており、亡き妹の形見として肌身離さず所有していた。
当初はただのお守りでしかなかったが、フロンティア事変終盤において、地球に住む全ての人(約70億人)の思いを一つに束ねて発動した限定解除によってギアとしての機能が復活。エクスドライブ状態でマリアが装着し、ネフィリムと相対する刃の一振りと相成った。
ネフィリム戦後は深刻なダメージを受けて再び使用不能になるが、その後、エルフナインの手でコンバーターの新造やイグナイトモジュール搭載などの改修が施され、正式にマリアのギアとなった。
アームドギアは短剣とされるが、剣身の尺は片手剣サイズまで伸長可能で、蛇腹剣やソードビットまで展開でき、籠手をドリルを兼ねたビーム砲に変形できるなど、かなり自由度が高いため、正確には武器を展開する起点となる左の籠手そのものがアームドギアと呼べるかもしれない。
XDでは、SG-03'と同じくある二つの平行世界それぞれに同一機体が確認されており、どちらもセレナが所持しているが、一つ目は13歳時の彼女が、二つ目は大人になった彼女が持っている。
エクスドライブ
幾人もの歌を重ねた高レベルのフォニックゲイン供給によって発現する限定解除形態。
白を基調とするカラーリングに光の翼を備えた神々しいフォルムは、まさしく天使そのもの。
劇中ではガングニール、イチイバル、天羽々斬、アガートラーム、シュルシャガナ、イガリマがこの形態に至った。
俗に言う最強形態であり、通常攻撃が必殺級の威力を有し、街を埋め尽くすノイズの群れをものの数秒で全滅せしめる圧倒的な戦闘力を発揮する。
また、機能の拡張によって単独での飛行能力やテレパシーによる意思疎通と言った、通常のギアには無い特殊能力も解禁されている。
さらに歌唱中断による戦闘力低下のデメリットも解消されている。歌わなくても強いが歌えばもっと強い。
この状態で絶唱を放つことも可能で、地球に落下する月の一部を破壊して流星に変える途方もない破壊力を発揮する。
この形態そのものが奇跡の産物に等しく、起動条件があまりにも厳しいため、戦術的起用はほぼ不可能に近い。
しかし、ウェル博士がシンフォギアの運用に奇跡はあり得ないと一蹴した通り、装者たちは幾多の戦いを経てその奇跡を軌跡と手繰り、ついには協力者となったキャロルの助力もあって戦術に組み込むことに成功している。
そしてついに、最大最強の脅威たる地球最後の神シェム・ハとの最終決戦において、自らの胸の歌で奇跡を形にし、新たなエクスドライブを発現させた。
決戦形態
イグナイトモジュール
アルカノイズを始めとするキャロルの錬金術に対抗すべく、エルフナイン主導のシンフォギア改造計画「プロジェクト・イグナイト」によって追加された決戦用ブースター。
ギアに組み込まれた聖遺物・魔剣ダインスレイフの力で装者の心の闇を増幅させ、意図的に暴走を引き起こし、三段階のセーフティロックと装者の強い精神力で抑え込む事で、理性と意識を保ったまま暴走状態と同等の戦闘力を発揮する。
○○型ギア
XDにのみ登場する決戦形態。
装者の心象にギアが強く反応したり、外部から何らかの調整が加えられる事で発現する。
水着や幻獣、メイド、和装、海賊、果ては怪獣まで、様々な形態が確認されている。
アマルガム
アダム・ヴァイスハウプトとの最後の戦いにおいて、シンフォギアにラピス・フィロソフィカスのエネルギーが融合し、イグナイトと引き換えに発現した新たな決戦形態。
イグナイトやエクスドライブなどの単純な出力アップとは違い、攻撃⇔防御の極端なステータスの振り分けというクセの強い特性を持つ。
S2CAヘキサリボルバー
これまでの最終決戦で度々見せていた自身のアームドギアのエネルギーを響のガングニールに集約してパワーアップさせるという芸当を一つの必殺技として昇華させたもの。アームドギアのエネルギーをギリギリまで一転に収束させてスナイパーであるクリスがタイミングを見てgoサインを出すことで放つ決戦兵器。しかしこの状態になるとアームドギアを構成するエネルギーを弾丸として放つため全員インナーのみとなり防御が手薄になる弱点を抱えている。
類似するテクノロジー
ファウストローブ
錬金術の粋を集めて製造された戦闘用プロテクター。
本質的にシンフォギアと同格の代物だが、起動に聖詠を必要としない点と、女性にしか装着できない点で異なる。
メックヴァラヌス
とある平行世界において、シンフォギアに代わり対ノイズ兵装の役割を担っていたバトルスーツ。ドラゴンを模した造形が特徴。
エレクライト
聖遺物や錬金術と言った異端技術に由来しない、純粋な科学によって製造されたスーツ。単独で並行世界を渡り歩くオーバーテクノロジーの塊。
変身バンク
シンフォギアを語る上で外せないのが、装者各位に用意された変身バンクである。
クオリティはシリーズを追うごとに向上しており、特に『G』で新調された変身バンクが公開された際は多くの適合者を驚かせた。
そして最終シリーズである『XV』では、無印から『AXZ』までの要素が盛り込まれたほか、新要素として装者各人の戦闘スタイルを意識したド派手なパフォーマンスが追加され、まさしく集大成と呼ぶべき仕上がりになった。
まとめ動画