概要
古代バビロニア北方の都市キシュの都市神、「石を粉砕する者」という異名も持つ。
鷲の頭のついた杖をシンボルとし、戦いや王の遠征の守護、条約の誓約等を司るとされた。
配偶神はフルサグカラマの都市神である、'キシュのイシュタル女神'。
(注:キシュ市はキシュ市+フルサグカラマ市で構成された複合都市だった)
ザババ神の神殿
彼の神殿は「エメテウルサグ(英雄にふさわしい家)」と呼ばれ、ハンムラビ法典の序文でも言及されている。
他にもヒッタイトの首都ハットゥシャに神殿があり、春の例大祭アン・タフ・シュムの一部も行われていた。
現在でもウハイミル(キシュの現代名)には、ザババ神を祀った古バビロニア時代のジッグラトの跡が、インガラ(フルサグカラマの現代名)には、新バビロニア時代にネブガドネザル二世(BC604~562)が建立した神殿の跡が残っている。
他の神との習合
古バビロニア時代以降(BC2004~1595)は、同様に戦闘神の一面を持つニヌルタやニンギルスと同一視されるようになってゆき、またフルリ人の神アスタビスや、ヒッタイト人の神ウルンカッテとも同一視されていた。
ザババを象徴するとされた星、星座
A.MUSEN :鷲の意味、現在のアルタイル。
d.ZABABA :ザババ座、現在のへび座+蛇遣い座。
('d'は*に似た形を持つ楔形文字で、続く名詞が神であることを表す限定詞)
ザババ神が用いたとされる武器
エンヘドゥアンナ王女の神殿賛歌(BC2300頃)中のザババ神の神殿を讃える歌の中で、彼の神像の両脇には、その武器である2本の戦闘用のメイス、「クルドゥブバ」と「エリムサルエ」が安置されていると記されている。
イガリマ・シュルシャガナ
イガリマとシュルシャガナはグデア王(BC2200頃)のニンギルス神殿の建設を誇る碑文においてはニンギルス神の息子達として、ウルカギナ(ウルイニムギナ)王(BC24世紀中頃)の改革碑文中でも、神として言及されており、ザババの武器として扱われていない。
この2柱の神の名をザババ神の武器とする記述は大英博物館所蔵のBM33055粘土板にあり、Wiggermann氏の論文によると、「獅子と鷲を象徴するシミター」と書かれている。
また、同博物館キュレーター、Irving Finkel氏の論文によれば、この粘土板の年代は上記2つの碑文に遅れること1700年以上、ザババ神がニンギルス神と同一視されるようになってから、はるか後の前1000年紀後半(BC500頃~)のものとされる。
参考文献
・「Babylonian Star-Lore. an Illustrated Guide to the Star-Lore and Constellations of Ancient Babylonia」Gavin white, Solaria Publications
・「Gods Demons and Symbols of Ancient Mesopotamia」Jeremy Black,Anthony Green, University of Texas Press
・「THE BABYLONIAN ASTROLABE」The Neo-Assyrian Text Corpus Project,Helsinki and the Foundation for Finnish Assyriological Research
・「Transtigridian Snake Gods] wiggermann著
・「Drawing on Tablets」Irving Finkel著
・「Princess, Priestess, Poet The Sumerian Temple Hymns of Enheduanna」 Betty De Shong Meador著
・「古代オリエント事典」 日本オリエント学会編 岩波書店
・「筑摩世界文学体系1 古代オリエント集」三笠宮崇仁、杉勇編 筑摩書房
・「古代メソポタミアの神々」監修:三笠宮崇仁 岡田明子、小林登志子共著 集英社
・「古代オリエント資料集成1 原典訳 ハンムラビ「法典」」 中田一郎訳 有限会社リトン
関連タグ
『戦姫絶唱シンフォギア』:原典では男神だが、本作では女神として言及される。
二期『戦姫絶唱シンフォギアG』から、ザババの二つの武器をモチーフとした兵装を使うキャラクターが登場する。
月読調:シンフォギア「シュルシャガナ」を持つ。
暁切歌:シンフォギア「イガリマ」を持つ。