『かくしごと』は月刊少年マガジン連載の久米田康治作の漫画である。
作品解説
「隠し事は、描く仕事でした」
ちょっと下品な作風を持ち味とする子持ち漫画家・後藤可久士。彼は自身の愛娘にはその職業を隠し、普通の会社員を装って生活していた。連載を続けつつも、娘に漫画家バレしないよう悪戦苦闘する日々を描くハートフル父娘コメディ。
久米田康治の作品としては、珍しく「下ネタ」「時事ネタ」「SFファンタジー」のいずれも、かなり抑えられている。
しかし、お得意の「漫画ネタ」や「あるあるネタ」は本作でも生かされている。
本作に登場する漫画家たちは全て偽名または本名でも苗字だけであったり、顔は全く違っていたりするものの、その漫画家のモデルになっている実在の漫画家について知っている人が見れば誰のことなのか分かるようになっている。
そして、本作で描かれていることの大半は作者の実体験が基になっている為、『さよなら絶望先生』の紙ブログなどで久米田康治のエッセイを読んでいるファンには作者の自伝的な作品としても楽しめる。
しかし、作者自身は、本作の主人公を(自分よりも)イケメンに描きすぎたなどの理由で、「自伝的」と呼ばれることを嫌がっている。
単行本では、雑誌には掲載されていない7年後の後藤姫の物語が毎巻カラーで描かれており、作者自身の体験談も一話毎に新しく書かれている。
2020年内に連載終了することが明らかにされている。約12巻で完結予定とのこと。
TVアニメ化が2019年11月15日発売の10巻帯にて発表された。
2020年4月からTOKYOMX、サンテレビ、AT-XやBS日テレにて放送予定。放送曜日はいずれも木曜日に合わせてあるほか、AT-XおよびTOKYOMXではリピート放送も実施するそうである。
アニメーション制作は亜細亜堂。
登場人物
CVは姫&可久士以外はすべてアニメでのキャスト
後藤可久士 (ごとう かくし)
「私はワンピースやアンパンマンを描いてるんじゃありませんよ」
CV:神谷浩史(PV、アニメ両方)
思い込みの激しい性格の漫画家。代表作は『きんたましまし』。現在は豪談社・週刊少年マンガジンにて『風のタイツ』を連載中。打ち切られない程度の人気はあるようだがヒットまでは至らない様子。
一人娘の姫を溺愛するあまり、自身の「下品な作風・題材の漫画を“描く仕事”」を知られるのを極度に恐れている。
娘には自分は普通のサラリーマンであると嘘をついており、「出勤時には黒いスーツ着用で出発後、途中で着替えて仕事場入り」するという念の入れよう。元々は全裸で机に向かわないと漫画が描けなかったという過去を持っており、娘のために真人間を目指して血の滲むような努力をした結果、短パンにTシャツというラフな恰好でなら漫画が描けるようになって現在に至る。
とある事情で妻を失っており、母親がいない我が子を不憫に思っているが再婚する気はない。しかし、端正な顔立ちをした天然タラシなので、彼と再婚したがっている女性は多い。
後藤姫 (ごとう ひめ)
「カレーって、何味?」
可久士の娘。小学生。
基本的に素直ないい子だが、何を考えているのかよくわからない天然な面も。父親に似てか、思い込みの激しい性格でもある。
東御ひな、古武シルビア、橘地莉子の三人と一緒に子ども探偵団『めぐろ川 たんていじむしょ』を結成している。
父子家庭生活が長いせいか、可久士が思っているほど自分に母親がいないことについてはあまり悲観していない様子。
7年後(18歳)に父が漫画家であることを知る(つまり、それまでは自分の父親が漫画家であることを知ることは絶対にない)。
十丸院五月 (とまるいん さつき)
「漫画家に描きたいものを描かせないのが編集です」
後藤可久士の現在の担当編集者。漫画家を口車に乗せて、うまく利用しようとする。
可久士が娘に漫画家業を隠していると聞いていながら、漫画の原稿や『風のタイツ』の絵が描かれたシャツを後藤家の自宅に持って行き、可久士をイラつかせてしまうなどマヌケな面が目立つ。
可久士からは面倒が多い無能ハズレ編集と見られているが、編集部からも後藤可久士先生は担当を押し付け合う面倒な作家と見られている。なのである意味お似合いかもしれない。
「かっし欲」に反応する褐色肌フェチであり、ナディラのことを密かに好いている。
名前のごとく「止まる印刷機」という事態を起こした事こそ一度も無いが、毎回のごとく可久士を怒らせたり困らせたりはしている。
志治仰 (しじ あおぐ)
「複雑な俯瞰の街並みを描かせていただいているのです」
CV:八代拓
後藤可久士率いるG PRO(ゴトープロダクション)のチーフアシスタント。
背景や動物を描くのが得意であり、G PROの中では非常に有能アシスタントである。
彼が腕を痛めて絵が描けなくなると動物が登場するシーンが作れなくなるなどの問題が発生するほど後藤可久士は彼を頼りすぎている。
墨田羅砂 (すみた らすな)
「先生を貧乏にするわけにはいかない」
CV:安野希世乃
G PROのアシスタントの一人。
可久士曰く「コマ割って描いたことが無い」とのこと。
よく原稿に墨を垂らして怒られているらしく、普段はあまり有能なアシスタントという感じは無いが、デジタル作画の導入を提案して作業効率を良くするなど、時おり可久士を助けている。
筧亜美 (かけい あみ)
「漫豪です」
CV:佐倉綾音
G PROのアシスタントの一人。
仕上げと装飾担当。カケアミを描く作業を主に行っている模様。
ホラー漫画家志望。デビューした時のペンネームも既に考えているが、後藤先生には教えてくれない。
芥子駆 (けし かける)
「ボクが入ってからカラーページ一回もなかったなぁ なんて」
CV:村瀬歩
G PROのアシスタントの一人。
消しゴムかけという誰でも出来るような地味な作業を主に行っているせいか、可久士に無能扱いされている。
思慮が足りずにけしかける失言が多く、そこから可久士の被害妄想が暴走する展開が本作のお約束。
負けず嫌いな一面を持ち、可久士に「マッチョキャラの作画の参考にならない」と言われたのに怒って仕事を休み、体を鍛えてマッチョになる等、間違った方向への努力が得意。
実は日本画専攻の美大出身。
六條一子 (ろくじょう いちこ)
「先生のダークファンタジー読みたいです!」
後藤姫が通っている学校の担任教師。
可久士の大ファン。
いつもジャージを着用し、運動していることが多い。
思い込みがやや激しいのが玉にキズ。
61番のスクリーントーンが貼られたような褐色の肌が特徴だが、十丸院のかっし欲にはまったく反応されなかった残念な女性。
(いつものスーツが使えなくなり、仕方なく近所の教会で借りた白の燕尾服を着た)可久士に愛の告白をされたと勘違いしてから彼に好意を寄せている。
マリオ
「電話BOXで着替えなさいよクラークケント」
古着屋『マリオネット ランチマーケット』の店主。本名不詳。スーツ姿で自宅を出た可久士は、彼の店でTシャツ短パンの仕事着に着替えて仕事場に向かう。同店は奇抜な服の品揃えが充実しており、そういった服を好む亜美も常連客。
不二多勝日郎
「ここダーーって風に! ズーーンて感じで!」
可久士と交友のある漫画家。可久士から漫豪(文豪の漫画家版)に認定されたダークファンタジーの巨匠だが、今は落ち着いている(売れてるかどうか的な意味で)。サタデーSCより『某豪邸焦がすべし』が絶賛発売中。
ナディラ
「何ヤッテル 姫サマ」
家事代行サービススタッフ。後藤父娘の家で家事代行をしている。
褐色の肌が特徴的なインドネシア人。
姫のことを「姫サマ」と呼ぶ。
千田奈留 (せんだ なる)
「いつかアイドルグループのセンターになる!!」
アイドル歌手を目指している女子高生。
漫画に出す予定の「アイドル志望の女子高生」キャラの人物像を掴めず、困っていた可久士と偶然出会った。彼が自分の話を真剣に聞いてくれたのがきっかけで、彼に好意を寄せている。もちろん相手が取材目的の漫画家であったことには全く気づいていない。
絵画教室で週一のボランティア講師をしており、可久士が驚愕するほど(漫画ではなく美術系の)絵が上手い。
汐越羊 (しおこし よう)
「料理の決め手は 塩 こしょう」
クッキングアドバイザー。
彼女が講師をしていた料理教室で、生徒として参加していた可久士に愛の告白をされたと勘違いしてから彼に好意を寄せている。
城路久美 (じょうろ くみ)
「くどいたでしょ」
花屋の女性店員。
客として店にやってきた可久士に花を手渡されて愛の告白をされたと勘違いしてから彼に好意を寄せている。
東御ひな(とうみ ひな) 古武シルビア(こぶ シルビア) 橘地莉子(きつち りこ)
「先生に殿方との密会のウワサあり」
CV:本渡楓(ひな) 小澤亜李(シルビア) 和氣あず未(莉子)
後藤姫のクラスメイト。
姫と一緒に子ども探偵団『めぐろ川 たんていじむしょ』を結成している。
姫の7年後の物語にも登場する。
だてなおと
「君も親になって、少しはこちらの気持ちがわかるんじゃないのか」
「だてなおと」という名義で、姫に毎年ランドセル(最新型高級モデル)を贈ってくる謎の人物。
運転手付きの黒い車にいつも乗っており、資産家であろうことがうかがえる。
姫の写真を持っていたり、姫の母親が飼っていた犬の子孫を可久士に渡すなど、後藤父娘とは密接な関係にある様子。
可久士は彼に対して敬語を用いるが、同時に根に持つような遺恨が過去にあった模様。
関連イラスト
関連動画
TVアニメティザーPV
キャラPV(可久士)
別名・表記ゆれ
かくしごと:ほとんどこちらのタグで登録されていますが、他の「かくしごと」との兼ね合いから記事を分けています。