Pulse Code Modulation(パルス符号変調)平たく言えば、どんな音でも使用できる音源である。無圧縮であることを強調する場合は「リニアPCM」という。
特徴
アナログ音をそのままサンプリングし、デジタル化する。サンプリング周波数が高く量子化ビット数が多いほど高音質(変換前に近い)となる。
規格自体は1960年代からあり、FM音源やPSGなどより古い。デジタル音源の基本とも言える存在だが、メモリの利用効率の悪さのため、かつては音質やサンプリング時間、表現能力に大きな制限があった。
採用例
CD(量子化ビット数16ビット、サンプリング周波数44.1kHz、2chステレオ)のほか、DVD、Blu-rayなどがある。
かつてのパソコンではFMシンセサイザとPCMの録音再生機能,MIDIインターフェースを備えたサウンドボードを搭載する例が多かったが、2000年以降は24ビットPCMステレオに搭載したオーディオコーデックをマザーボードに標準搭載する例が多い。ゲーム機ではスーパーファミコンが久夛良木健設計によるPCM音源チップ(SPU)を搭載したことで注目され、のちにその発展形のチップがプレイステーションに搭載された。プレイステーション3のゲームソフトは最高で7.1ch (48kHz/16bit) にまで対応しており、理論上はCDより高音質のサウンドを演奏できる。
解説
理論上は何でも出来る音源ではあるが、それは「メモリー(記憶容量)」によるという前提である。基本的に高音質になるほどデータ容量は大きくなり、メモリーを消費したくない場合は低音質にせざるを得ない。例えばスーパーファミコンがPCM8チャンネルに対応していると言ってもRAMは64KBと貧弱で、うまく使いこなすのは難しかった。PCエンジンCD-ROM²などでCD音源をそのままBGMとして使用したタイトルの場合、音楽の演奏時間がCDの74分からゲームデータを差し引いた分しか演奏出来ず、CDに収録した音楽データが多くなったのでゲーム本編の一部を削除したという本末転倒なソフトも出るほどであった。ゲーム機において当初、FM音源やPSG音源が普及したのも、メモリーをPCMより消費しないからである。
そのため90年代後半以降は「いかに音質を落とさずにデータを小さく出来るか」を命題に圧縮技術が開発されている(MP3やWMAなどが該当、現在のPCゲーム標準音源的なoggもこの一種)。