概要
PCエンジンでCD-ROMのゲームソフトをプレイするための周辺機器。通称「ロムロム」。1988年12月4日に日本電気ホームエレクトロニクス（NEC傘下）より発売された。世界初の光ディスク採用ゲーム機であり、折しもメガドライブが発売されスーパーファミコンも仕様が発表されたタイミングでの投入となったことから「スーファミ vs メガドラ vs CD-ROM²」の構図が垣間見える形となった。
「CD-ROMユニット」と「インターフェースユニット」の2つのパーツで構成されている。
PCエンジン本体とこの2つのパーツを合体させた上で「システムカード」をPCエンジンのHuカードスロットに挿入することでCD-ROM²システムとして使えるようになる。
PCエンジンの兄弟機・PCエンジンコアグラフィックスとの接続も可能。
光ディスクはこれまでPCエンジンのソフト媒体として使われていたHuカードよりも遥かに大容量であり、全Huカードソフトが1枚のCD-ROMに余裕で収まる程だった。
バッテリーバックアップが搭載されセーブ機能を使えるようになっており、ビジュアルシーンの表示やフルボイスなども可能になった他、光ディスクには低価格かつ短時間で量産できるという利点も存在した。
一方で、PCエンジン本体側メモリが小容量なうえインターフェイスユニットに設けたバッファメモリの容量もコストの問題で充分なサイズを確保できなかったためデータを一気まとめて読み貯めることができず頻繁にロードが発生する上に等速ドライブだったためにロード時間も長くなる欠点を抱えており、CD-ROMの大容量を持て余していた面もあった。
光ディスクの採用は本体の高価格化も招いた。
当初このシステムはCDプレイヤーとしても使用可能で音響機器とみなされ物品税が課せられたことから節税して少しでも安価にするために「CD-ROMユニット」（32,800円）と「インターフェースユニット（システムカード付属）」（27,000円）で別々に販売されていたが、1989年4月に物品税が廃止され代わりに消費税が導入されてからはセットで販売（57,300円）されるようになった。いずれにしてもPCエンジン本体と合わせると8万円以上になる高額商品だったが、当時のPC用のCD-ROMユニットが20万円以上していたことを考えると破格である。
ソフトも見た目が音楽CDと同じことから課税対象とされる可能性があったが、実機での動作デモを課税担当者に見せることで音響製品ではなく玩具であることを納得してもらい課税を免れている。
なお開発環境では大容量のハードディスクを用いてCD-ROMをエミュレートさせていたが、当時はCD1枚の半分の容量の300MBのハードディスクで500万円したとのこと。また当時はCD-Rがまだなかったので、CD-ROMのサンプルを作るのにも工場でマスターを作ってもらう必要があり、それが一回で100万円かかったらしい。
それでもCD-ROM²は約200万台を売り上げており、光ディスクがゲームメディアとして定着する布石を作った。PCエンジンのソフト供給は光ディスクに主軸が移っていくようになり、特に1992年以降はHuカードでリリースされるソフトが激減し、PCエンジンのゲームは殆ど光ディスクで供給されるようになった。CD-ROM²はPCエンジンのコア構想の目玉として、最後まで活躍した。
CD-ROMユニット
メイン画像でPCエンジン本体の隣に並んでいるパーツ。CD-ROM²用ソフトはこちらにセットする。
通常の音楽CDの再生も可能であり、インターフェースユニットに接続しなくてもACアダプタを繋げばこれ単体で卓上CDプレーヤーとして使うことができる。ヘッドホン端子も付いている。
インターフェースユニット
PCエンジンとCD-ROMユニットを接続する「土台」にあたるパーツ。
バッテリーバックアップが搭載されておりセーブデータはこちらに保存される。天の声の代わりとしてHuCARDのゲームセーブも可能。バッテリーはコンデンサを使用しているので通電がないと一ヶ月程度でデータが飛ぶが、別売の「天の声バンク」にバックアップが可能。
ファミコンとは違い「リセットボタンを押しながら電源を切る」という手順は必要無い。
初代PCエンジンにはRF端子しか付いていなかったが、このユニットと接続することでより高画質でステレオも可能となるAV出力端子でテレビと繋げられるようになる。一方で後発のものと異なりAV出力端子(DIN 5ピン)ではなくRCA端子であったため、当時はまだ多くあったAV出力端子を持たないテレビには接続できなくなってしまった。端子が異なっていた事から後に登場したAV出力端子へと接続するRFユニットも使用不能であった。
システムカード
最初期のCD-ROM²がバラ売りされていた頃はインターフェースユニットに同梱されていたカード。
CD-ROM²用ソフトをプレイする時はこのカードをPCエンジンのHuカードスロットに挿入する必要がある。
このカードを「スーパーシステムカード」に交換することで本機をSUPER CD-ROM²として使用できるようになる。SRAMが追加で搭載されることでメモリが強化されるため読み込み回数の多さも幾分か改善される。
「アーケードカードPRO」に交換すれば大容量DRAMが追加され、更にアーケードカード専用CD-ROMソフトもプレイできるようになるが、17,800円という価格のせいか普及しなかった。
（SRAM非搭載の「アーケードカードDUO」ではシステムを使用できない）
ちなみにシステムカードVer 1.0にはバックアップRAMエディタが入っており特殊なコマンドを入力する事で入る事ができた。これでできるのはいわゆるパラメータ書き換え等ができた。いわゆるバイナリエディタである為その知識がないとセーブデータを破損させてしまうので注意。
Duoに旧バージョンのシステムカードを挿すとノーマルのCD-ROM²として起動するので、SuperCD-ROM²用のソフトをノーマルのCD-ROM²で起動した際の警告表示を見ることが可能である。
他に、非ライセンス品でハッカーインターナショナルの「GAMES EXPRESS CD CARD」というシステムカードがあった。それ系のソフトを起動するためのシステムカードで、非ライセンスのソフトを純正のシステムカードで起動できるようにすると、BIOS上のライセンスチェックをかいくぐった地点でライセンス違反となるため、それを回避するためのシステムカードである。
対応しているハードはSuperCD-ROM²システムのみ。システムカード上にSRAMが搭載されていないので、ノーマルのCD-ROM2²システムだとRAMが足りなくて動作しない。
ロムロムカラオケ
別売の「ROM²アンプ」（24,800円）を繋げてカラオケシステムにする「ロムロムカラオケ」というのがあった。どのくらい需要があったのか知らんが、何ぶん高いハード故に家族で色々活用してもらおうという意図で企画されたらしい。
カラオケソフトはビクター音楽産業が製作しており、ROM²アンプが無くてもCD-ROM²ソフトとして普通に動作した。ソフトは全部で10本リリースされており、全部集めるとそこそこの曲数になったようである。
代表的なソフト
作品数は膨大であり、本項に記載していくときりがなく、作品名の羅列のみになってしまうので詳細はPCエンジンのゲームタイトル一覧を参照のこと。
